自動車のカテゴリ
市販車-システムでの区分-
市販車とは、その名の通り公道走行・販売を目的として製作されてクルマ(例外あり)。
レーシングカーとの対比としてロードカーとも呼ばれる。
公道を走る為のクルマであるから、各国ごとに定められた保安部品を装着している必要がある。
その範囲は幅広く、軽自動車から各セグメント車(A-Eまでの5段階)。
セグメントに囚われないスポーツカーやスーパーカーなど多種多様。
ここでは、サイズ・動力源・使用用途などの「システム」別にグループ分けをする。
全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下のボディ寸法、かつ、排気量660cc以下(現在)を満たし、最大定員4名、最大貨物積載量を350kg以下とする車両を指す。
カタログ上の最大出力を64馬力(47kW)までとする自主規制も持つ。
一口に軽自動車といっても時代とともにサイズアップを果たしており、現在の規格は1998年10月に施行されたもの。
意外かもしれないが日本独自規格であり、日本以外に軽自動車と呼ばれる規格は存在しない。
- 日本独自規格車であることにより、欧米各国の自動車メーカーより自国の車が日本で売れない原因として槍玉に上げられる事がよくあるが、そもそも同じようなCセグメントセダンですら売り上げの差があることを考えると、まったく関係性はない。
- 似たような規格としては、韓国において「輕車(キョンチャ)」と呼ばれる排気量1,000cc以下のカテゴリが存在する。
- 一時期はとにかくコストダウンが第一とされたため、エンジンやミッションを旧世代のまま延々使い回している事もあり、1500ccクラスの車にも効率で劣る点があった。
しかし、2010年代よりボディ自体の軽量性に目をつけ、それらを一新し、第三のエコカーというキャッチフレーズで、低燃費を追求したモデルが登場した。
それ以降セダンタイプからトールワゴンに至るまで超低燃費になっており、現在では、2014年12月22日発売の8代目 スズキ アルトが、37km/Lでガソリンエンジン単独駆動の車*1としては世界一の低燃費を誇る。
- また、燃費向上のための各種エンジン抵抗の徹底した低減などにより、自然吸気エンジンの軽自動車であっても加速性能がかなり向上している。
- 年代によって規格が異なり、150cc→300cc→360cc→550cc→660ccと順次排気量が上がっている。基本的には「発売時の年代」で区別されるため、現代の軽自動車規格より小柄で基準を満たしているホンダ S600やフィアット 500が普通車判定なのは、この2台が発売されたのが360cc規定だったためである。
- 一応、「一時抹消後の再登録」など色々手間を掛ければ軽自動車登録も可能な模様。
- ダイムラー傘下のスマートが発売しているスマートクーペは軽自動車に近い車格のため、わざわざ軽自動車規格に合わせた"スマートK"を発売した。
しかし、軽自動車規格にあわせる修正の結果、ベースモデルよりも値段高騰を招くという本末転倒な結果に終わり、販売台数は伸びず短期間の販売にとどまっている(ベース車のエンジンがモデルチェンジにより、598ccから698ccになってしまったのもあるが)。
- 馬力の自主規制は国内メーカーによるものであるため、実際には64psオーバーの軽自動車を生産、販売することも可能。実際に海外製のケーターハム「セブン160」は80psだが、軽自動車扱いで販売されている。
- 本作ではビート、コペン等が該当する。
その名の通りボディラインがコンパクトに纏まった車両で、明確な定義はない。世界標準的にはBセグメントに入る車両がこう呼ばれる。
室内空間を稼ぐ為にハッチバックボディが多いが、セダンボディを持つものも稀ながら存在する*2。
- 軽自動車ほどのサイズまで小さくなるとマイクロカーと呼ばれ、Aセグメントの区分になる。
AかBかはそのメーカーで最小クラスかそうでないかが判断基準とされることもあり、やはり明確な基準は特に無い。
- 安価で実用性が高く、誰でも気軽に乗りこなせるのが特徴だが、速さとは基本的に無縁である。
ただし軽量なボディとその扱いやすさから、ドライビングを楽しめる手軽なクルマとしても親しまれている。
また、控えめな速さを逆に活かし、フォルクスワーゲン ルポ等、レース入門用レーシングカーのベース車両として採用される事も多い。
特にグループRと呼ばれる現行のラリーカーは、ベース車両の多くがこのカテゴリーに属している。
- 1.6~2.0L程度の高出力エンジンやターボチューニング・メカチューンしたエンジンをコンパクトカーに搭載したモデルは俗に「ホットハッチ」や「ボーイズレーサー」とも呼ばれ、フォルクスワーゲン ゴルフが元祖とされる*3。
- 基本的に、量販車グレードがありそれをメーカーがチューニングしたスペシャルモデルの呼称で、出荷後にチューニングしたものはホットハッチとは呼ばれず、単なるチューニングカーである。
- 日本には、現基準で言う「コンパクトカー」に該当する車両は過去にも多数存在したが、当時は「小型車」「大衆車」と呼ばれていた。
同単語は、爆発的なヒットを記録し、市場に絶大な影響を与えたトヨタ ヴィッツによって認知され、広まったとも言われている。
- 本作ではミト、プジョー 208等が該当する。
Hybrid Car
異なる2つ以上の動力源(Hybrid)を持つ車両(Car)である。
日本ではしばしば狭義にハイブリッド電気自動車の意味で使用される。
- いろいろな方式があるが、プリウスに関して言うと、発進時などにバッテリーの電気で走行し、高速運転時などにはエンジンの力で走行する自動車のこと。
- 減速時には回生ブレーキを用いて、減速時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し充電システムに蓄える。充電システムにはバッテリー(市販車に多い)、キャパシター(一度に大出力を得られるため、レースカーに多い)、フライホイール(あまり例が無い)などが使われる。
- これを更に電気自動車側に寄せ、超大容量の電池とそれを外部から充電するための給電プラグ、そして電池を充電するのをメインにしたエンジンとしたプラグインハイブリッド車も開発が進んでいる。
- 発進停止をこまめに繰り返す日本では、環境がマッチしていることもあり、開発がかなり進んでいる。
プリウスのように大げさなシステムを積まなくとも、小容量のバッテリーとスターターモーターをアシストとして使うSエネチャージなど、軽自動車にも導入出来る事が実証されているほど。
- 逆に長距離がメインとなるアメリカやユーロ圏ではあまり旨味が無いことから別のアプローチが主流となったが、それはまた別の話。
- どのくらい旨味がないかというと「アメリカの一部でエコカー扱いされなくなった」というレベルである。
- 世界的にはハリアー、CX-5、ジュークのようなクロスオーバーSUVの事を指す場合もあるので(乗用車とライトSUVというジャンルがハイブリッド)、ひとえにハイブリッドといってもどちらの意味かは特定できない。
特にハリアーはジャンルもハイブリッドだが、パワーソースもハイブリッドなので、余計分かりづらい。
- 現行F1に搭載されているKERS(カーズ)も一応はハイブリッドシステムである。ただしKERSは「環境のためのシステム」では無く「追い抜きorタイム向上目的の加速システム」である。
またR18 e-tron quattro '12~'13はレギュレーション上120km/hからしかKERSを利かせられないため、ディーゼルの苦手としているトップエンドでパワーをブーストするために使っている。
- 本作では一部のビジョン グランツーリスモ車両の他、市販車ではNSX、レーシングカーではTS050などが収録されている。
電気をエネルギー源とし、モーターを使用して走行する車両。
レースファンにもフォーミュラEが登場したこともあり、無視出来ないジャンルになってきている。
- 電気モーターの特性上超低回転から最大トルクを発生できるので0発進加速は通常動力を大きく上回る。過去作でGT by シトロエン コンセプトの加速にびっくりした人も多いだろう。
- 一般向けの低価格帯の車も数台出てきたものの、まだまだ一般人には厳しい高額車ばかり。また、充電環境のインフラ整備がされておらず、バッテリー寿命などまだまだ問題点が多い。
- バッテリーの問題が大きいらしく、小型で軽量、蓄電容量もあって、気温や湿度の環境変化に強く、レアメタルやレアアースを使わない・使用量の少ないバッテリーが実用化されれば、発展に弾みが付くといわれている。
日本では研究開発されている物の一つとして、炭素を用いるバッテリーがある。
- 本作ではBMW i3が該当する。
- 日本の高速電気自動車として、慶應義塾大学中心に複数企業が携わったエリーカが有名。
- エンジンを積んでいるという点ではハイブリッドに近いが、エンジンでは動輪を駆動させず、発電専用としたレンジエクステンダーEVという研究も進んでいる。プラグインハイブリッドの考えをさらにEV側に寄せたと考えればOK。
レンジエクステンダーEVに近いが、小型バッテリーに小型エンジンを組み合わせ、エンジンはほぼ常時稼働させて電力のみを生成、動力も全部電力で賄うタイプは「シリーズ式ハイブリッド」と呼ばれる。レンジエクステンダーEVは基本バッテリーのみで駆動させ、電欠しそうな非常時だけエンジンが始動して、充電器までの航続距離を稼ぐため、実は真逆の存在。
- レンジエクステンドエンジンをガソリンなどの内燃機関ではなく、燃料電池を利用した車も考案されており、2014年末に「トヨタ・MIRAI」が販売されている。
スポーツドライビングを主な目的とし、高速走行時の運動性能及びその楽しさに重きを置いて設計・製造された自動車の事を指し、はっきりした定義はない。
どちらかと言うと最大馬力よりも軽快さを狙った車が多い。
- 基本的に同クラスのクルマに比べて性能のよい部品を使用することが多いことから『速い・高価・燃費が悪い』。駆動方式も車種様々。なお、レーシングカーのベース車として使用される場合が非常に多い。
- ただし、運動性能こそ高いがあくまで公道を走るクルマであり、ごく一部のレースベース車などを除いて市販車状態でのサーキットでの走行は前提にされていない。
- 本作ではRX-7、NSX、GT-R等が該当する。
- 下記の"スーパーカー"の項目にもあるが定義がやや曖昧でGT-RやNSXは"和製スーパーカー"と呼ばれることもある。
広義にはスポーツカーの一種だが、一般的に『(スポーツカーと比べ)独創性のある外観で極端に性能が優れるもの』を指し、はっきりした定義はない。
また、近年ではスーパーカーの中でもより高額・希少・高性能な車両をハイパーカーと呼ぶ事もある。ただしこちらも明確な定義はない。
- スーパーカーと呼ばれるクルマの特徴について大まかな共通点を挙げると、速そうな外観、豪華な内装、多気筒*4で2シーターのクルマがほとんどであるが、これらの要素は大量生産に向かず手作りとなるものも珍しくないことから、使用される素材の値段もあいまって極めて高価な価格となる傾向にある。
- スポーツカーとの一番の違いは「車重は気にしない、コーナリング性能も気にしない、でも数字は気にする」かもしれない。
車重は気にしないがインパクトのある数字(たとえば0~100km/hの最速記録)は狙うため、重量増をパワーアップやフルタイム4WD化で強引に挽回する車も多い。
また、限られた顧客(いわゆる大富豪)に向けて販売されるため、希少性も重要なファクターとなる。
- しかし、近年ではスーパーカーの定義がかなり曖昧になっており、専門家の間で度々議論が交わされている。
- 例1:ランボルギーニ社は、ガヤルドやウラカンはスポーツカーだが、ムルシエラゴやアヴェンタドールはスーパーカーであると定義している。ただ、一般人からしてみればどちらも"スーパーカー"なことに代わりはないのだが。
- 例2:R35 GT-Rはメーカー側はスーパーカーとしており、性能的にも十分にスーパーカーの水準を満たしているが、価格・量産性の点で見るとスーパーカーに入るかは微妙な所。同様にポルシェ911もスーパーカー扱いされる事が多いが、価格的にはやはり微妙な線である*5。
- 現段階での最先端技術を惜しげもなく投入し、デザイン・走行性能共にスポーツカーとは比較にならないが、実用性・経済性・整備性・耐久性・量産性等は一切考慮されていないため、一般人にはまず手が届かない。
ただ、近年はランボルギーニがアイドリングストップを実装したり、フェラーリがHVを出したりと、愚直なまでのストイックさは薄れつつある。
- 駆動方式はMRやFRである場合が多いが、近年では4WDやフロントドライブのスーパーカーも増えてきている。
- この括りの車がGT3車のベースにされる事が多いが、元々の重量が凄いのでレースベース車になるとびっくりするぐらいの軽量化が施される。例を挙げればGT-R ニスモ GT3の1740kg→1300kgや、SLS AMG GT3の1620kg→1320kgなど、-300kgを超えるのも珍しくない。ベントレー コンチネンタル GT3は-700kgという超大型減量を行っていたりする*6。
- 本作ではマクラーレン F1やヴェイロン等が該当する。先述したハイパーカーとしてはヴェネーノ、ラ フェラーリあたりが該当するだろう。
市販車-形状での区分-
ここでは、市販車を「形状」別でグループ分けする。
セダン
最もベーシックなスタイル。
エンジンルーム、居住スペース、トランクの3つで構成されている事から「3BOX」とも言われる。
4ドア・セダンと2ドア・セダンがあるが、今日販売されている大半のセダンが4ドア・セダンである。
サイズによって小型、中型、大型に分類される。
- 乗員の快適性を重視した構造になっており、長距離のドライブや積載能力に長けている。
その反面、ボディサイズは大きめで重量が増す傾向にあるため、運動性能はやや低い。
しかし、WRXやランエボのように、スポーツ走行を前提として開発されたセダンも少なくない。
居住空間が狭く定員が少ない割りにサイズが大きいため、近年の売れ行きはあまり良くない。
- 本作ではアテンザ、WRX STI、ランエボ等が該当する。
ハードトップ
セダン・クーペからセンターピラーやサッシを取り払い、スポーティ感、開放感を演出することを狙いとしたデザイン。
固定式の屋根を持ちながらオープンカーのようなスタイルを連想させるデザインである事から、英語ではFaux Cabrioret(偽のカブリオレ)とも言われる。
- 一概にハードトップと言ってもいくつか種類があり、大きく分けてセンターピラーもサッシも無い「ピラーレス・ハードトップ」と、センターピラーを残しつつ、サッシを取り払った「ピラード・ハードトップ」の二種類に分類される。
その中にもさらに2ドア(クーペ型)、4ドア(セダン型)、ワゴン型などとバリエーションがあり、「ハードトップ」の定義は多岐に渡るが、元々の「ハードトップ」とは、「ピラーレス・ハードトップ」を指す言葉である。
- ピラーレス・ハードトップは、サイドウィンドウを全開にすると側面の開口部が前方から後方まで完全につながった状態になるため、開放感という観点からすれば非常に優れたデザインである。
日本車ではセダン車種の一バリエーションとして販売される事が多かったが、トヨタ カリーナEDはハードトップ専売で大成功を収めた数少ない車種である。
その後各メーカーからハードトップ専売車種が続々登場した事を考えれば、その人気はかなりのものであった事が分かるだろう。
しかしこのピラーレスタイプはセンターピラーが無いためボディ全体の剛性低下は免れず、特に側面衝突時の安全性が問題となり、90年代になると徐々にピラードタイプ(後述)やセダンへの移行、モデル廃止が相次ぎ、現在このタイプで製造されている車種は存在しない。
- ピラード・ハードトップはドアのサッシのみ取り払い(サッシュレスドア)、センターピラーは存置するいわばセダンとハードトップの「あいの子」的存在である。そのため、広義的にはセダンに分類しても問題ない。
日本車では富士重工業(現・スバル)初代レオーネが国産車で初めてサッシュレスドアを採用し、「安全性を確保しつつハードトップの開放感を味わえる」としてピラーレスタイプ同様各メーカーから発売され、特にトヨタ・日産のセダン軍団(マークII・チェイサー、セド・グロなど)は、モデル末期はほとんどがピラードハードトップとなった。
また、富士重工業はレオーネ以来、ほぼ全ての車種をサッシュレスドアとし、レガシィやインプレッサと言ったメイン車種は軒並みサッシュレスドア・ピラードハードトップとなった。
このピラードタイプは前述の通り安全性に問題は無かったものの、サッシュレスドアを製造するのにコストが嵩むと言った理由から、2009年のBP・BL型レガシィのフルモデルチェンジをもって消滅、以後国産車でサッシュレスドア/ハードトップ型のボディを持つ車種は2017年現在も登場していない。
ただし海外では形を変えつつ生き延びており、「4ドアクーペ」と銘打って(構造はピラードハードトップのそれと同一)アウディやメルセデスが販売している。
クーペ
セダンの全高・車高を低くし、後席をなくす・狭くして、空力性能・運動性能の向上を目的としたデザイン。
セダンに比べてコンパクトな印象を受ける。
スポーツカーは大半がこのタイプで、後席は無い(定員2名)か、あるいはあっても補助的なものとして設置されることが多い。
別にクーペだからといってハッチバックという訳ではなく、スカイラインの2ドアクーペモデル等明らかなトランクを持つデザインの物もある。これらはノッチバック・クーペと呼ばれる。
- シャープでスポーティな、「速さ」を感じさせるデザインが特徴で、前述の通りスポーツカーへの採用例が多いが、
その一方で、トヨタ・ソアラのようにラグジュアリー感の演出を目的としたクーペも少なくない。
- 実用性重視のクルマが隆盛をきわめる現代、クーペ型乗用車の売れ行きは大きく落ち込んでいる。
- 2010年台より、ノッチバック的に小さなトランクを持っている4ドアセダンに見えるが、実はリアガラスごとトランクが開く4ドアセダン風ハッチバッククーペという変わり種も登場している。
- 本作ではスカイラインGT-R、スープラ、RX-7、マスタングなど、多くの車種が該当する。
ステーションワゴン
セダンの居住スペースとトランクとの仕切りを外し、屋根部分までトランクを持ち上げ、車両の後部にテール・ゲートを設けたスタイル。
仕切りが1枚無くなるため、ハッチバックと並び2BOXとも称される。
名称は「鉄道の駅=ステーション周辺で利用される馬車」が「ステーションワゴン」と呼ばれていた事から来ているが、これにはちょっとした誤解が存在する。
- セダンに比べ荷室が広く、大きな荷物も楽に収納する事ができるが、重量・サイズはセダンより更に増すため、運動性能はより低下する。
- 近年はレジャー需要の低迷や、ミニバン・SUV人気に押されるなどして、売れ行きは大きく低下している。
ワンボックス
1BOXと表記することもある。ボンネットがたいへん短い、あるいは全くない箱型ボディが特徴。
エンジンの上に運転席や助手席がある、いわゆるキャブオーバー型が主である。
- ボディ形状の都合上、フロントのクラッシャブルゾーン(衝突した時に車が潰れる場所。3BOXでいうエンジンルームとトランクの部分)の確保が難しい。
- ボンネットがかなり短いためステアリングラックが垂直に近く、そのせいでハンドルが天井を向いているために操作には慣れを要する。
- 基本的に荷物を満載しても走行に差し支えないことを前提としているため車高が高く、サスペンションも柔らかくなっている。
- ステーションワゴンよりも重たいため、運動性能はステーションワゴンよりもかなり低下する。
SUV
スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルの略称。
ここでいう「スポーツ」は、そのクルマ自身がスポーツカーだということではなく、人間の娯楽(サーフィン、スキー、キャンプなど)を表している。
以前はこの括りの車だと、ラダーフレームを持ち、悪路でも走れる代わりに平地はあまり考慮されていない車が多かったが、最近では優先順位を「多少の悪路でも走れる乗用車」とし、モノコックフレームの乗用車をベースとしながらも、SUVのスタイリングと快適性を追求した「クロスオーバーSUV」なるものも見られる。
チューニングカーとも呼ばれ、市販車を改造して性能を向上させたクルマ。
- ストリート・ドラッグ・グリップ・ドリフト・最高速と、その改造スタイルはピンキリ。
後述するレーシングカーとの相違は、あるレースカテゴリのレギュレーションに沿って製作されたクルマか否かである。
- ただしD1GPやD1SLは完全にレギュレーションに沿って作られた車両だが、レーシングカーとして扱われる事は稀である。
それらは発祥がチューンドカーであり、レギュレーションも排気量無制限エンジンスワップ無制限な一方、ロールゲージ等は厳格に定められており、事故防止のためにレギュレーションを(一応)制定していると言ったほうが正しい。
それ故、時と場合によってはレギュレーションで縛られたレースカーを凌駕するスペックのチューンドカーも珍しくはなかったりする。
- 追加でOption流に言うのならタイヤはSタイヤまでという事だろうか。これはスリックでは車検が通らないが、Sタイヤならばギリギリで通せるためである。
- レギュレーションに縛られないというコンセプトで開発された「HKS・レーシングアルテッツァ」は、車体がABCピラーとライトしか残っていないが、助手席の存在と、出るレースが無いと言う事も相まって一応チューンドカーとして扱われている。
ただOptionではスリックタイヤだったため、チューニングカーとしても扱われなかったのだが…。
- こんな化け物マシンを作らせてしまった原因はグランツーリスモ2。これに収録されたドラッグGT-Rとプロストック180SXだが(両車ともGT2のみ収録)、ドラッグスリックが用意されていなかったが故に本来の力を発揮できなかった上に、他のレースに出そうと思っても使い道が全くない直線番長だったので、HKSの社長が激怒してしまったのである。
そのため曲がりのスペシャリストという事でこんな車が出来てしまったのだが、残念ながら未だ収録されていない。
- 市販状態にかなり近いライトチューンに留めたものもあれば、HKS・CT230Rのように大規模な改造を施されたものもあり、特に後者はレーシングカーに匹敵する性能を持つ。
実際、富士スピードウェイではGT300マシンを超えるタイムを出している。
- 本作ではS2000GT1ターボ、Mach Forty等が該当する。
レースカーとも呼ばれ、競技専用目的で開発・使用されるクルマ。
各競技毎のレギュレーションに合わせて製作されるため外観も性能もピンキリ。
市販車(のスポーツカー)を改造して使用する事が多いが、ベース車両の存在しないワンオフ車両もある。SUPER GTや新DTMなど、見た目は市販車だが中身はパイプフレームやカーボンセルで作られた別物、というのも多い。
- 保安部品を装備しないものが大半のため、原則として公道は走行できない。しかし一部のGT3車両は、保安部品取付部分が殆ど残っていた為、簡単な改装でナンバーを取得出来たとか。実際にZ4 GT3でナンバーを取得したという事例が報告されている。
- "競技用自動車"ではあるが、道路法規に合わせた大改装および書類申請を行えば一般公道を一般車として走ることは一応可能である。
- ちなみに、公道とは無縁そうなフォーミュラカーも道路法規に合わせた大改装および書類申請を行えば一般公道を一般車として走ることは一応可能である(タイヤが剥きだしだとアウトなので、フェンダーを付ける事にはなるが)。
以前日本で公道仕様のフォーミュラカー(F1ではなくF3000(現在でいうGP2)がベース、とのこと)が製造されていたことがあり、TV番組に出演していたこともある。
また、プロトタイプカーであるポルシェ962Cでナンバーを取得した例もある。この個体は現在日本で使用されているとのこと。
- 基本的に桁外れのスピードでの走行を前提としているため、安全基準自体は市販車を大きく上回る車が多い。
例えばアウディR18 e-tron quattroやポルシェ919Hybridは、マシンが原型を留めない大クラッシュを起こしてもほぼ無傷でドライバーを生還させている。
ラリーカー
Rally Car
ラリー競技に参戦するために製作される競技車両。
一般的にラリーとは、未舗装路(ダート、グラベル)を始め、舗装路(ターマック)、雪道(スノー)と過酷な環境で行われるレース競技を指す。
- コース上に公道が含まれる場合、それぞれの国の基準に合った保安部品を装着し、ナンバープレートの交付を受ける必要がある。
- 1980年代以前はブルーバードに代表されるように、重量や操縦性の点から2WDカーが主流だった。しかし1982年、年々上昇し続ける馬力による安定性の低下を防ぐためと、スノー・グラベル・ターマックと不安定な路面に対抗するため、アウディがラリーフィールドに4WDを持ち込んでからは、自然に4WDに移り変わっていった。
ただし入門用とされる下位カテゴリ(WRC-3)では、レギュレーション上4WDが禁止となったため、完全にFFの天下となっている。
- 以前はターマックイベントではあるが、トップカテゴリーのWRカー規定車を下位カテゴリのはずのF2キットカーがぶち抜いて総合優勝をさらうなんて例もあった。
- 単純に『泥道を走るクルマ』というイメージを持たれがちだが、あらゆる路面に対応できるように製作されているため、サーキットを走ってもレーシングカーと同等かそれ以上に速い。大きいサーキットになれば馬力の無さが足を引っ張るが、小さいコースならば加速性能・コーナリング性能に大変優れており、コースによっては並みのレーシングカーを上回るタイムを弾き出す事も可能。
ラリーベース車で知られるランエボやインプレッサ等の2L前後の4WDターボ車はエボインプ車と呼ばれ、サーキットでも好成績をたびたび残している。
- 悪路を100~200km/h以上で走行する、横転や木への衝突は日常茶飯事、最悪崖下へ転落という危険な競技のため、安全面には細心の注意を払って製作されている。
また、馬力は300PS前後・車重は1200kg前後と、安全性のため比較的控え目にされているのもラリーカーの特徴の一つ。
ただ馬力だけは控えめだが、代わりにトルクは60kgf/m近くという、完全なレーシングエンジンである。
その理由は、1980年代中期(いわゆるグループB時代)にラリー史上最悪クラスの大事故が立て続けに起こったためである(フォード RS200の事故が起こったすぐ後に、ランチア デルタ S4による事故が発生している)。
当時は安全タンクの存在も無く、ちょっとしたクラッシュでタンクが潰れて燃えたり、FRPやらマグネシウムなど、燃えやすい素材を使うのが許されていたというのも、この大惨事の背景にはある。
あと道まで平気で飛び出してくる熱狂しすぎた観客もだが…。
Rally Raid Car
ラリーの中でも長距離ラリーに出場する競技車両。以前はクロスカントリーラリーとも呼ばれていた。ランドクルーザーやパジェロ等、ラダーフレームを持つ重SUVを「クロカン車」とも呼ぶのはこの名残。
代表するレースはやはり毎年年初に行われるパリ~ダカールラリーことパリダカ*7であろう。
- 以前WRCに組み込まれていたサファリラリーはこっちに近い。あまりにも普段のラリーとかけ離れているという理由もあり切り離された。
- その走行距離や、何も無い砂漠や岩が露出するガレ場がルートに組み込まれる。
1日の走行距離が500kmや800km、中には1000kmを超えるステージが設定された事があるなど、道のラフさはWRCの比ではない。
レッキも禁止で、早くて前日のゴール後、遅いと当日スタート前に渡されるコマ図とGPS(しかも使用禁止日が設けられることもある)でルートを読み解いていくというルーティング。
どんなトラブルが起こっても積んだ機材でなんとかしなければならない事も多く、基本的には車には頑丈さが求められる。
そのためパジェロのようなSUVが使われるが、昔はパリダカにAE86カローラレビンも走ったことがある(残念ながら完走は出来なかったが)。
現在自動車としてはプロトタイプと市販車部門に大別され、プロトタイプは市販車の格好をした別物(所謂シルエットカー)がメイン。当然4WDと思いきや、重量ハンデやタイヤ空気圧のリモート調整が使える関係で2WDがかなり優位の状況となっている。
市販車部門は上記のように、悪路専門である重SUVがメイン。トヨタの系列会社である「トヨタ車体」を中心としたチームランドクルーザーが強豪チームとして知られている。
自動車以外にもバイク部門やトラック部門も存在する。
パリダカのトラック部門では日野自動車が中型トラックのレンジャーをベースにした車両で長年参戦しており、部門表彰台独占や連続完走記録更新を続けるなど屈指の強豪として知られる。
Prototype Racing Car
生産台数や市販の義務がない競技参加を主目的とするクルマ。ツーリングカーやフォーミュラとの対比で「スポーツカー」と呼ばれることもある。
ル・マン24時間耐久レース等の長距離・長時間の競技で使用される場合が殆ど。
スプリント向けのプロトタイプカーはインタープロトシリーズ用の「kuruma」など極少数。
以前はSUPER GTでガライヤのような特別公認という名前のプロトタイプカーが存在したし、現在はマザーシャーシと呼ばれる基礎モノコックを共有するシルエットGTカーが認可されている。
- 『プロトタイプカー』とは、本来『一般公道用車として市販する事を前提にした試作車』という意味だが、実際にロードカーが市販される例は極めて少なく、現在では事実上『公道走行用市販車に発展することのない少量生産のレース専用の2座席マシン』という意味になっている。
R18 e-tron quattroやTS030 ハイブリッドのように、助手席部分を機材で潰してしまう事もあるが…。
- 2014年からは開き直ったのか、LMP1はキャビン縮小化に合わせ助手席の設置義務すらなくなっている。
- ただしフォーミュラカーよりレギュレーションに幅があり、例えばかつてのCカーでは「エンジン型式:自由」となっていたほど工夫できる部分が大きいため、各社のアイデンティティがこれでもかとばかりに取り入れられる。
例えばアウディであればTDI、LEDマトリクスヘッドライトなどの技術をルマンという場でアピールしていた。
- 基本的にはほぼすべてがサーキット走行でもっとも有利とされるMRレイアウトだが、変わったところでは2015年に日産がFFレイアウトの「GT-R LM ニスモ」をル・マン24時間レースで実戦投入している。*8
それ以前にパノスGT1がFRで参戦していたこともある。
- 競技に参加するためだけに製作されるマシンということもあり、その性能は他のレーシングカーとは天と地以上の差がある。
トルク100kgf・m以上・900PS以上ものモンスターマシンで、最高速度は400km/h近くに達する場合もある。
- カウルに覆われる分空力性能で勝るため、コースによってはフォーミュラカーを凌駕することも間々ある。
- まだ富士スピードウェイが旧コースだったとき、日産・R92CPは1000馬力以上を路面に叩き付け、あの短いストレートながら1コーナー進入で400km/hをマークしていた。
もしこれがシケイン無しのユノディエールだったら、それ以上の速度が出ていたのは間違いないだろう。
- 現在プロトタイプレーシングカーが使われている主なレースはWEC、IMSAなど。またプチ・ルマンと呼ばれる地区レースのカテゴリーもある。
過去には全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権、JLMCなどもあった。
- 新DTMやSUPER GTなど、ツーリングカーと呼ばれながら実質プロトタイプという車もあるが、ここでは割愛する。
- このカテゴリーの最終的な目標がル・マン24時間耐久レースに定められる場合も多く、「ル・マンカー」とも呼ばれることもあるが全てのプロトタイプに当てはまる訳ではないので注意。
- 例えば"デイトナ24時間耐久レース"制覇を最終目標に定めているプロトタイプカーは「デイトナプロト」と呼ばれる。
- 本作では古いものでマツダ 787Bや日産 R92CP、新しいものでアウディ R18、ポルシェ 919 ハイブリッド等が該当する。
Formula Car
「車輪とドライバーが剥き出しになっている」という規格(フォーミュラ)に沿って設計された競技用自動車(レーシングカー)である。
日本以外では"オープンホイールカー"、他に英国では"シングルシーターカー"とも呼ばれる。
- 最も有名なFIA (国際自動車連盟)の規格で行われるF1(フォーミュラ1)の他にもIRL(インディ)、日本最高峰のスーパーフォーミュラ、各国で行われるGP2やF3等、数多くのフォーミュラ規格が存在する。
- ドライバー込みで市販車の1/2以下という軽い車重、高出力エンジン、各種空力パーツ(前後ウィング等)が作り出す強烈なダウンフォースなどの組み合わせにより他のレースカテゴリとは一線を画す運動性能を誇るが、"タイヤがむき出しなため空力性能は良くない"という一面もあり、最高速ではプロトタイプレーシングカーに劣ることもある。
なので旧富士スピードウェイやサルトサーキットのような超高速サーキットでは、シミュレーション上ではあるがプロトタイプカーの方が速いタイムが出るとされている。
- ならNASCARとインディは?と言う事になるが、NASCARマシンは他のカテゴリーに比べて少な過ぎるダウンフォース、リアリジッドというプア過ぎる足回り、そしてフォーミュラカー2台分相当の車重など、コーナリング性能が極端に悪いため、ストレートこそ伸びるがターンで相当ブレーキを踏む必要があり、結果1周のタイムに結びついていないのである。
- 問題点としては各デバイスが全てむき出しのため、ちょっとしたクラッシュや接触で即走行不能になってしまうことや、オープンシートのため横転時の安全性が保証出来ない事。クラッシュし横転したマシンがコンクリートウォールに直撃、運悪く開口部からヒットしたために…という悲劇はインディカーを中心に数知れない。中にはトラブルで外れたパーツがヘルメットを直撃して…というのもある。
- 2018年以降はF1を始め多くのフォーミュラカーのコックピット上部にHALO(ハロもしくはヘイロー)という名称の3点支持のロールバーの装着が義務付けとなった。当初は見た目の悪さへの批判と安全性への懐疑的な意見が多かったが、2018年のF1ベルギーGPスタート直後に起こった大クラッシュで宙を舞ったマクラーレン(アロンソ)の車両の下敷きとなったザウバーの車両のHALO部分が大きく損傷したもののドライバーのルクルーレはほぼ無傷で生還しHALOの安全性を証明した。
- 本作ではロータス 97TをモチーフとしたオリジナルフォーミュラカーであるF1500T-Aが収録されている。
ストックカー
Stock Car
そのまま和訳すれば「吊るしの車」となるが、レース業界では「パイプフレームで組まれ、シルエットだけ市販車っぽくした競技専用車」となる。
- NASCARマシンが代名詞。かつてのSUPER GTのGT500クラス(~'13)や、新DTMの初期型シャーシも厳密にはこっちに入るのだが、一応グランドツーリングカーの扱いになっている。
- 何故こんな吊るしとかけ離れた車の事を指すようになってしまったかもNASCARのせいである。大昔のNASCARは本当の意味でのストックカーを使っていたが、高速化と共に危険面も浮き彫りになってしまった。そのため車体がレース専用へとシフトしていったが、名称だけはストックカーのまま残されたのである。
ツーリングカー
Touring Car
ツーリングカーとは、様々な用途・状況で用いられ、また様々な意味合いを持つ単語である。
- ボディスタイル用語としてのツーリングカー
- 20世紀初頭に広く使用された乗用車のボディスタイル。現在では使用されない用語である。
- ルーフのないオープンスタイルであり、且つラナバウトやロードスターより大型で、トノーと呼ばれる後部シートによって4人以上の乗員が確保されている。折りたたみ式の幌が付属したり、4ドアだったり3ドアだったりと、時が流れるにつれて進化していった。現在におけるセダンやサルーンの原点がこのツーリングカーである。
技術の進歩によりクローズドタイプの乗用車が手頃な価格になってきた頃から徐々に衰退し始め、1920~1930年頃に終焉を迎えた。
グランツーリスモシリーズにはツーリングカーのボディを持つクルマは未だに収録されていない。
- 自動車を区別する用語としてのツーリングカー
- 自動車関連の規格として、社団法人自動車技術会が原案を作成し日本工業規格(JIS)が取りまとめたものの一部。
「スポーツ(スーパー)カー」の対義語であり、単なる自動車・乗用車・実用車の事を指す。
スポーツカーが運転を楽しむために作られた自動車であるのに対し、こちらはただ普通に乗るだけの自動車である。
明確な根拠はないが、車両の仕様、あるいは運転の目的の違いからこの区別がされているのだと考えられる。
早い話、一般的な日常において使用される自動車全般の事を指す。
- モータースポーツにおけるツーリングカー
- グランドツーリングカー(GTカー)とも呼ばれる。
- 上記の意味での「ツーリングカー」によるレースをツーリングカーレースと呼び、そのレースに使用されるレースカーの事を指す。
この場合はスポーツ(スーパー)カーであろうとなかろうと、市販車を改造したものであればツーリングカーとされる。
日本ではフォーミュラと対比させる意味で「箱車」なんて言われ方もする(SFが「日本一速い男決定戦」で、SGTが「箱車使い日本一決定戦」と呼ばれるなど)。
また、モータースポーツにおけるツーリングカーでも、狭義か広義かで意味合いが変わってくる。
- 狭義でのツーリングカー
一番狭い範囲だとかつて存在した各国ツーリングカー選手権に使われていた2L自然吸気エンジンを積んだ4ドアセダンとなる。ただし世界的にこの手の車が絶滅傾向なのに加え、ダウンサイジングターボやセールスもあり、現在は「WSC-TCR規定」車両がこのカテゴリーとなる。
他のカテゴリーよりは安価で参戦出来るという事もあり、プライベーターの数も多い。
昔からツーリングカーレースというと改造可能範囲が狭いというのが常識だったが、
ベースモデルによって差が付きすぎる事もあり*9、ある程度均一化を狙ったサスペンション形式変更や、ワイドフェンダー化も許される傾向となっている。
そのせいでかつてのグループAに近づき、コストアップが懸念されている。同時にWTCCのエントラント数減少もあり、改造範囲の固定や一般販売によるコストダウンも兼ね、WTCCが終了しTCR規定のWTCRへと移行する事に。
あまりにもこの改造範囲が行きすぎたのが旧DTM。最終的にはバラストを時々によって動かすなどの仰天ギミックまで導入された結果、ツーリングカーレースにあるまじきコスト増大を招きシリーズ自体が分解するという惨事を招いている。
- 広義でのツーリングカー
市販車を改造したレーシングカー全般の事を指し、「グランドツーリングカー」と呼ばれる事が多い。
グランツーリスモで言えば、FIA-グループGT3やSUPER GTのGT300・GT500等がこれにあたる。
ただしSUPER GT GT500クラスについては2014年からはカーボンセルを使用した完全なプロトタイプマシン。
GT300も2015年より汎用モノコックであるマザーシャーシを使ったプロトタイプマシンが認可されるなど、本当にツーリングカーなのかとたびたび議論が交わされている。
- グランツーリスモシリーズにおけるツーリングカー
グランツーリスモシリーズには、これまでに既存のクルマをベースとした「GTオリジナルレーシングカー」が多数収録されている。
「レースカー」や「ツーリングカー」、「LMレースカー」など様々な種別が存在するが、明確な線引きは不明。
シルエットカー
Silhouette Car
市販車の面影を残したナニカ。
かつてはFIA管轄で、FIAグループ5規定の「キャビン部分はノーマルを使用したスポーツカーレース」の事を指していた。
その為強烈なオーバーフェンダーやチンスポイラーを装備し、不細工一歩手前の珍獣大決戦となっていた。
現在はこういったカテゴリーのレース自体なくなったが、「市販車のシルエットを持った…」等の言い回しは健在。
ただ、シルエットカーは「市販車を改造して」であり、ストックカーやプロトタイプカーは「レーシングカーを市販車に似せて」なので、物自体は180度異なるのであるが。
駆動方式
フロントエンジン・フロントドライブ
車体中央より前にエンジンを搭載し、前輪のみを駆動させる方式。FWDとも言われる。
- 殆どのFF車はエンジンを横置きに搭載しているが、スバルの水平対向エンジン搭載車やアウディなどエンジンを縦置きしているFF車も少数ながら存在する。
- FF車のメリット
- 部品点数が少なくコストが低い
- 動力部品(エンジン・ミッション等)をコンパクトにできるため、車内スペースは広くとれる
- 荷重が前輪に多くかかるため直進安定性が高い
- RWD車に比べて挙動が乱れにくい
- FF車のデメリット
- 加速・旋回を二つのタイヤで賄う為、コーナーで曲がりにくい
そのくせ、コーナーの中でアクセルを緩めると極端なオーバーステアが引き起こされるため(タックイン現象)、挙動が乱れた時のリカバリーが難しい。
ともかくアクセルを踏み続ける度胸が必要。
- 加速がRWD車に比べて悪い(悪路で顕著)
- エンジンの振動が室内に響きやすい
- 駆動輪と操舵輪が同じなので、ドライブシャフトが折れやすいとも言われている
- フロントタイヤにかかる負担はAWD車に次ぐ負荷
- シャシーが駆動輪に引っ張られるという基本構造上、高出力高馬力エンジン搭載には向いていない
- 横置きエンジンのMRと4WDにも共通する問題だが、ファンベルト交換やクラッチ板の交換と言ったレベルの作業が、エンジンルーム内で作業スペースの確保が難しく、手が入りにくいと言ったことで難易度が高い。
エンジンを降ろして、エンジン単体で作業したほうが結果として楽だった…というケースもある。
フロントエンジン・リアドライブ
車体中央より前にエンジンを搭載し、後輪のみを駆動させる方式。
- スポーツカー以外にも静粛性が求められる大型セダン等に採用例が多い。また、トラックやハイエースなどの貨物車にも採用されている。
- FR車のメリット
- 前輪は操舵、後輪は駆動に専用でき、前後輪で役割を分担できる
- (エンジンにも寄るが)FFと比べてドライブシャフトが無いぶん、タイヤの切れ角を大きく取れるために小回りが効く
- 操作性が良く、ドリフトに持ち込みやすい
- FR車のデメリット
- FF方式と共有できる部品が少なく、部品点数も多くなるためコスト高になる
- プロペラシャフトをリアまで通す必要があり、室内スペースが犠牲になる*10
- 乗りこなすには的確な荷重移動が必要
- 駆動輪にトラクションがかかりづらいため雪道や凍結路面での発進が他の方式に比べて不利
- 同じ理由でスリップもしやすい
ミッドシップエンジン・リアドライブ
エンジンを車体の中央寄り(主にドライバーシートの後ろ辺り)に搭載し、後輪のみを駆動させる方式。 レースカーやF1、スーパーカーで多く使われている駆動方式である。
- 前車軸と運転席の間にエンジンを配置した「フロントミッドシップ」も存在するがこれはどちらかというとFRのいち形態であるため、単にMRと言った場合はほぼ間違いなくリアミッドシップのことを指す。
- MR車のメリット
- 重量バランスに優れ、FR車より部品が少ないため重量が低減できる
- 操作性が素直で限界が高く、慣性ドリフトが得意
- リア寄りの荷重のため加速が良い(2WDではRRレイアウトに次ぐ)
- MR車のデメリット
- 室内スペースが狭く、後席すら設置できない例が大半(床下配置ミッドシップの初代エスティマなど、ごく一部例外有り)、中にはリクライニングシートも寝かす方向にはほとんど働かないほど狭い車もある。
- 同様にリア部分がほとんどエンジンに占領されるため、トランクルームがリアオーバーハングにしか作れず、積載能力が皆無に等しい。
- 一応フロント側にも積めるようにはなっているが、MRレイアウトの車のほとんどがローノーズかつスペアタイヤ置き場として使用しているため、リア以上に入らない。
- 限界を超えた後のコントロールが非常にシビア
- 室内に騒音が響きやすい
- 隔壁類が多くなりやすくFRと比べ軽量化が難しい
- 重量配分がリア寄りのため、フロントに荷重をかけられるテクニックが無いとアンダーを誘発させやすい
リアエンジン・リアドライブ
後輪車軸より後ろにエンジンを搭載し、後輪のみを駆動させる方式。
- かつてはスバル 360などのコンパクトカーにも採用されたが、現代ではポルシェなど少数のメーカーしかラインナップを持たない少数派である。
しかし、バスの駆動形式としては今も尚おなじみである。
- RR車のメリット
- 室内スペースが広くとれる
- 構造上、駆動輪にトラクションがかかりやすく、停止状態からの加速が非常に速い
- ブレーキング中の荷重配分がフロントに寄りすぎないため、リアタイヤのグリップをより減速に使うことができ、同じ車重でも他の駆動方式より制動距離が短い
レース用のチューニングモデルの場合、ブレーキング中の前後荷重配分が50:50という他の駆動方式では不可能なバランスにセッティングされている場合も
- RR車のデメリット
- フロント荷重がMR以上に少なくアンダーステア傾向が強い
- 極端なリアよりの重量バランスのためオーバーステアを誘発し易い
- (レース専用だが)リアデフューザーの跳ね上げ角を取りにくいので、リアダウンフォースを効かせにくい*11。
- 上記二つの複合的な要因により姿勢を崩しやすい上に姿勢を崩してからのコントロール性が非常に悪く危険な為、FFにとって変わられていった。
four-Wheel Drive
All Wheel Drive
4輪全てを駆動させる方式で「四輪駆動」ともいう。
センターデフの有無などにより、様々な四輪駆動方式がある。
- 現在のラリーカーはこの形式がよく用いられている。
- コンパクトカーから大衆車、高級車に至るまで、多くの車に四輪駆動のグレードが存在するのは、よその国の自動車のラインナップには見られない日本独特の傾向である。
例外は4WDをどこよりもアピールしているアウディぐらい。
- 北海道・東北など寒冷地の地域で車のテレビCMを見ると、別の地域で流されているのと同じCMでも「4WDもあります」と言った一文が付け足されていることがある。
- 4WD車のメリット
- 走行安定性が良く、悪路走破性が非常に高い
- 加速性能に優れる
- ぬかるみや凍結路でのゼロ発進がしやすい
- そのため、道路以外の場所(畑など)で運転することが多い農家や、冬には路面が凍結するのが当たり前と言う寒冷地のドライバーに好まれる。
- 4WD車のデメリット
- 構造が複雑で部品点数が増え、コスト的に不利で車重が重い傾向にある
- アンダーステアが強い(電子制御により解消されつつある)
- フロントタイヤにかかる負担は全形式中最高
- 多くはフロントにエンジンを積むが、車種によってはエンジンをミッド/リアに置くこともある。以下で解説。
- フロントエンジン4WD
- ベース車の特性により差があり、FFベースの4WDだとアンダーステア寄り、FRベースの4WDだとオーバーステア寄りの特性を示す。違いは悪路で顕著。前者の代表は三菱・ランサーなどのAWD車、後者は日産・ スカイラインなどのAWD車。
- ミッドエンジン4WD
- 以前はラリーカーで、今現在は高性能スポーツカー(特にフォルクスワーゲン系統で)でよく見られる。
ハイパワーMR車は姿勢を崩しやすく、事故につながり易いため安定性を確保する目的でAWDを採用するケースが増えている。
- リアエンジン4WD
- もともと高トラクションのRRではAWDは旋回時のアシストに使われることが多い。RR-AWDの代表格ポルシェ959-961(形式は違うがほぼ同じ車)はラリー、サーキット双方で暴れまくったことで非常に有名(前者はパリ・ダカ1-2制覇、後者はグループCカーに割って入ってル・マン7位)。
RWD
後輪駆動車のこと。FR、MR、RR車をまとめてこう呼ぶことがある。
2WD
2輪駆動車のこと。ファミリー車に2輪駆動と4輪駆動を両方持つ車種で、4輪駆動との対比で使われることが多い。
トランスミッションとデフギアを一体化したもの。
言葉としては、トランスミッションを後方に配置したFR車やフロントエンジン4WD車に対して使われることが多い。
自動車のチューニングパーツ関連
タイヤとボディの間に設置され、タイヤのショックを吸収する装置
乗り心地や操縦安定性の向上が主な目的であるが、走行性能の影響が大きく出る部品でもある。
キングピン角
車両を正面から見たときのキングピン軸の傾きをキングピン角という。
大きいほど直進性がよくなる反面、ステアリングが重くなる。
実際にはあまり変更されることはない。
尚、現代ではキングピンそのものが、フロントリジットアクスルを用いた車種に使われていたため、乗用車ではほとんど見かけなくなった。
空力系統(エアロダイナミクス)
マイナスリフトとも呼ばれる。
空気抵抗を利用して空気の重さを借り、車体を地面に押し付ける力のこと。
- ダウンフォースを用いることでタイヤのグリップ力を上げ、コーナリングスピードと高速域での安定性を高めることが目的。
クルマの運動性能を大きく高める要素であり、現代ではレースカーは勿論、市販のスポーツカーにおいても重要視されている。
- SUPER GTを例にすると、1300kg台のGTカーに空力で1トン近いダウンフォースをかけることができ、タイヤも車重の倍の荷重がかかることを前提としたグリップ特性となっている。レースカーにおける空力パーツは綱渡りのようなバランスで構成されており、例えば接触によってフロントバンパーのカナードと呼ばれる部品(面積にして20cm×40cm程度の薄い板)が変形しただけでフロントタイヤのグリップを失いコーナリング速度が大幅に低下する程である。
F1に至っては最大ダウンフォースは2.5トンと言われており、理論上はトンネルの天井を走る事が可能である*12。
- そのため、ぶつけ合いとも言われる箱車レースであるが、接触によってエアロパーツを失うリスクを許容できなくなっており、より「クリーンな」競り合いにシフトしてきている。特にコーナリング速度が「異常」とも言われる速度域に突入したGT500では、レース中にエアロパーツを失うことは勝負権を失うことと等しく、ガラス細工の様なマシンとなっている*13。
逆に空力に頼る部分が少ないNASCARでは、未だにバンプを利用したプロレスばりの肉弾戦が可能で、それを売りにしているフシもある。
- ダウンフォースを強くすると、車体が安定する代わりにストレートが遅くなる…というのがこれまでのセオリーだったのだが、一概にそうと言えない場合もある。
- 具体的に言うと、「ダウンフォースが強いと走行中に車高が下がる→車体底面と地面との隙間が狭くなり、そこを流れる空気の速度が速まる→かえってクルマのストレートスピードが速くなる」というもの。
ソース:4Gamerの記事
エンジンとは別にファンを用いたクルマ。
- 車体後部に設置されたファンを用い、車体底面を流れる空気を穴から『吸い上げる』。
すると、車体下部の気圧が低くなり、常時強力なダウンフォースを発生させる事ができる。
これにより、低速でも普通のクルマでは有り得ないようなダウンフォースを獲得し、高いコーナリングスピードが実現できるので、戦闘力アップが期待できる。
- 実戦投入された車両は「シャパラル 2J」と「ブラバム BT46B」の僅か2台であり、どちらも他チームからの苦情殺到と主催当局の判断により即引退。
レギュレーション的には、「認可されている部分を除き、空力デバイスは動いてはいけない」という現在のところ一般的なルールに引っ掛かる、ということで禁止となっている。
BT46Bは、このファンの主機能は「冷却用」である、という一休さんのような主張で出走した。
ファン・カーとはそれほどまでに速く、まさに禁忌のクルマである。
- 現代ではフェラーリがサーキット専用に開発した"599XX"に採用されている。
- ちなみに苦情理由としては速すぎというほかに、路上の小石なども吸い上げてしまうため、ファンの排出口から出される小石などが、後続車とそのドライバーに当たってしまうというのがあった。
実際に当たったドライバーは、飛んでくる小石が痛くて大変だったという。
- マクラーレン F1にもジェットファンが付いているが効果は整流程度で、本格的なファンシステムではない。
- 地面から離れると、腹に貯めていた低気圧ゾーンが開放されてしまうため、一気にダウンフォースを失ってしまう。前作の2Jで「バンプで浮いた瞬間不安定になる」という挙動に悩まされた人もかなり多いはず。
アクティブエアロシステム
走行状態によって自動で可変するスポイラー全般の事を指す。
その性質上、高コストなデバイスであるため一般車への採用例は少なく、一部のスポーツカーやスーパーカー等に採用されるに留まる。近年ではレクサス・LFA、プジョー・RCZ、ホンダ・S660のオプションなど、主に直進安定性を狙い装着されている。
また、W12 ナルド、GT-R コンセプト、HSR-IIのように、技術披露目的でコンセプトカーに搭載される場合も多い。
- 走行状態、主に速度によって自動で可動するタイプが大半だが、1996年以前の三菱・GTOのように、スイッチで稼働させるものもある(自動可動の中にもアウディ TTなど、スイッチでON、OFFを設定できる車種もある)。
面白い所では、スポイラーの収納スペースがミッドやリアに積んだエンジンの放熱孔も兼ねていて、エンジン水温によってアップダウンの始まる速度が変わるというギミックを仕込んでいる事もある。
- レースでは、上記ファン・カーの項目でも書いている「空力デバイスは動いてはいけない」ルールの影響でレースではあまり見られなかったが、F1やDTMなどで採用されたDRSのように近年レースイベントでアクティブエアロシステムが解禁されつつある。DTMのそれはウィングが壊れたかのようにカクンと角度を変えるため必見。
- また、スーパーカーのアクティブエアロシステムは、ブレーキ時にスポイラーを跳ね上げ空気抵抗を発生させる空力ブレーキシステムを兼ねている場合も多い。
エアロパーツ
車体の空力を整えるために設置される外装品
前述のとおり、車体の空力を整えるのが本来の役割であるが、ドレスアップ用として装着される例も見られる。
微量に車重が増える為、コンパクトや軽自動車などのローパワー車両では装着しない方が良い。
過給機
- エンジンの排気圧力(つまり排ガス)を利用し、タービンを回して同軸上にあるコンプレッサーで吸気を圧縮。NAエンジンの自然吸気以上の空気を圧縮吸気するのがターボチャージャー、通称ターボ。
元は航空技術で空気密度の低い上空を飛行する為に開発された。
F1やWECでは空気の圧縮をしても余る排ガスの力を使って発電機を回すという技術の開発も進んでいる(所謂ERS-H)。
- スーパーチャージャーはエンジンベルトを介してコンプレッサーを回す。混同しないよう注意。
- 近年、開発されているのがモーターによるコンプレッサー回転という電動過給器。ターボラグの解消、NA並みの燃費を目指しているという。
圧縮比
エンジンに取り込んだ空気をどれだけ圧縮するかという数値。圧縮率とも。
- 理論上圧縮比を高くすれば高くするほど1度の爆発で大量のエネルギーを取得できるため、上げられるのであれば上げた方が良い。
しかし大量のエネルギーが出るということは熱量やエンジン強度の問題も発生するため、それらを加味しエンジンは設計される。
- 基本的に無過給エンジンの方が過給エンジンより大きくされるが、これは過給エンジンではブースト分が圧縮に上乗せされるため。
- ガソリンエンジンでは圧縮比を高く取り過ぎるとノッキングを起こし、最悪エンジンブローするために、ある程度抑えた数値になっているが、2000年台より増えてきた直噴エンジンではこの閾値がかなり上がっている為に、市販車でありながら自然吸気で14という、一昔前であればレース用スペシャルエンジンと思わせるような数値を達成している。*14
- 一方ディーゼルエンジンではいくら圧縮した所でノッキングを起こさないのと、エンジンの仕様のためにある程度高圧縮が必要とされるため、ターボ併用かつ16~17といった超高圧縮エンジンが使われている。
しかしこのような超高圧縮だと市販車の壁である排ガス試験を通しにくいということで、あえて14まで落とすというアプローチも行われており、どの数字に持っていくかはエンジン設計の面白いところである。
- 圧縮比に対する膨張比を大きく取る事という理論がある。
吸気バルブ関係によるもので吸気後の圧縮工程中に閉じきらないと吹き戻って圧縮比が低減し、スパークプラグによる点火爆発後の膨張行程で全てのバルブは閉じているので膨張比が大きくなる。場合によってはトルク低下を招くが熱効率は向上する。
ターボ及びスーパーチャージャーで掛ける圧力のこと。ブースト圧とも呼ばれる。分かりやすくすると「どれだけ沢山の空気を送れるか」である。
過給圧を上げたら冷却やノッキング対策が求められる。
- 高過給圧ほど高出力を得られるが、それに伴う熱量の増大、エンジンパーツへの負荷負担、燃料の噴射量の増加というファクターを踏まえ、最大ブースト圧は決定されている。
- 高ブーストにするとターボラグが増大すると言われるが、厳密には嘘である。高ブーストを掛けるためにターボを大きくする、同時に圧縮比を下げるなどのチューニングが相まって下が痩せ、ターボラグが増大するというのは確かだが、同じエンジン仕様、同じタービンでブースト圧のみあげた場合、ターボの利きが悪い低回転域は変わらず、上限ブーストに達する中高回転域ではパワーが増加する。そのため、下が痩せたと勘違いしドッカンやラグの増大と思う人が多いのには注意。
- GTシリーズでは初代GTでのみ過給圧のセッティングが可能だった。
- ダイハツ・ストーリア X4の初期型では、最大ブースト2.5kgf/cm2という常識外れのブースト圧が設定されていたことが一部で有名(一応3.0kgf/cm2まではメーカーでブローしない事は確認されている)。おかげで市販のブースト計の殆どで上限を振り切るという悲劇があった。
- ターボが認められていた1980年代のF1(2014年にターボ復活)では、決勝レースにも関わらず最大ブースト4kgf/cm2に達する物も現れた。
特に予選仕様は強烈でブースト圧制限の無かった1986年以前はブースト圧は無制限に設定され最高リッター1000馬力(1.5L-1500ps)を叩き出し、予選ワンアタックでエンジンがブローした程だという。
- ゲームとはいえECU(EngineControlUnit)やVSAの影響、スピードリミッター関係もあるのでただ単に「過給すれば良い」という訳ではない。
過給機の圧縮で温度が上がった空気を冷却する熱交換器。
温度を下げることで、空気の密度を上げ出力を向上させることができる。
- 大容量化すれば冷却効率は上がるが、アクセルレスポンスが悪くなる欠点がある。
タービンの慣性や、タービンを回すためにはある程度の排ガス量が必要なため、主に低回転時や、アクセルを踏み直した時にすぐに過給されず加速が鈍る現象。
一般的にタービンが大きいほど、出力も大きいがターボラグも大きい。
エンジン単体のパワーピークにターボチャージャーの過給が加わり、急激な出力変化が起こった状態。
- エンジンの排気量と比較してあまりにも大きすぎるターボチャージャーを装着することで、扱いやすさを犠牲にしてでも最高出力のみを追い求めるとドッカンターボになりやすいといわれている。
大容量のターボチャージャーは過給開始回転数が高く、またハイブーストを掛ける前提でエンジン自体も低回転を無視したチューニングにされる。そうするとこのような状態になりやすい。
- "ドッカンターボ"というと悪いイメージが先行しがちだが、下からトルクフルにすると、コーナー立ち上がりでホイールスピンさせやすいため、あえて上振りとして弱いパワーで加速姿勢を作る→姿勢が出来たところでドッカンさせて一気に加速。というセッティングにされることもある(例:アミューズ カーボン R)。
トランスミッション
動力伝達装置のひとつで、伝達する動力の回転速度を変換する装置である。ギアボックスと呼ばれることもある。
- あらかじめ設定されたギア比を複数持ち、走行状況によって切り替える。
これを任意で切り替えるものがMT、自動で切り替えるものがATである。
たとえば、ギアを5つ持つMTを5速MTという。
MT マニュアル・トランスミッション
Manual Transmission
シフトチェンジを手動で行うミッション。
多くの場合、歯数の異なる段(ギア)に変速する際に動力の伝達を一旦途切れさせるため、クラッチ機構が備わっている。
- 他のミッションでは出来ないクラッチを蹴飛ばして無理矢理回転数を上げる操作や、微妙な半クラッチ操作が出来るため、前者はドリフト派、後者はドラッグレース派の利点となっている。その代わり他のミッションよりやることが多く、運転自体が忙しくなりがち。
- 一般車では前後+左右のH型シフトレバーが採用されるが、レースでは前後のみで操作するシーケンシャルシフトや、その動作を電動化してハンドル付近に持ってくるパドルシフトが一般的。
なお、一般車にシーケンシャルシフトが採用されない一番大きな理由として、飛ばしシフトが出来ないというのが挙げられている。
信号に引っかかるたびに、いちいちシフトが1速に落ちるまでレバーを連続で倒す必要があるためである*15。
またリバースに間違って入れないための解除レバーを用意する場合が多いが、これを引きながらレバー操作する必要がある場合、両手を一度シフトレバーの近くに持っていかないといけないので、とっさにバックがしにくいというのもある。
ちなみにレースカーの場合「ニュートラルスイッチを押してニュートラルにしたあとブレーキとクラッチを踏み、ピットスピードリミッターボタンを押しながら両シフトパドルを引く」などという手順をとる必要がある。どうやっても誤動作しない設計ではあるが、手順は複雑を極める。
- レースカーではフォーミュラやLMPを中心に、足元のスペースを圧縮するためにペダルを廃止し、ハンドルにパドルを用意し、それを引くことで電子制御でクラッチを操作させるのが主流。
市販車ではまるで行わない動作のため、このハンドクラッチに慣れるまで非常に時間がかかり、乗り換えた直後はエンストを連発させるとか。
また、パドル両引きでクラッチ切断、片引きで半クラとなっているパターンもあるが、この半クラポイントの設定が狂っていて、ブレーキ踏んだまま半クラで待機しようとしたらそのまま繋がってしまいエンスト なんてことも。
AT オートマチック・トランスミッション
Automatic Transmission
自動車の車速に応じて自動的にギアを切り替えるミッションで、人間によるシフトおよびクラッチ操作が不要。
現実ではMT仕様車より値段が高くなる場合が多い(MTが希少化した最近では逆転する場合もある)。
- 一般にATと呼ぶ場合、トルクコンバータ(略称トルコン:クラッチの代わりとなるもの)式を指すことが多い。
トルクコンバータはATフルードと呼ばれるオイルを介して駆動力を伝達するためパワー伝達効率はMTと比べて低くなる。しかし発進時はトルク増幅作用があるため同等かそれ以上の効率となる。
トルコン式ATはMTに比べてミッションが複雑になり重くなる、パワー伝達効率が低い、パワーバンドをキープしづらいという一面もある。
近年ではトルコンを直結させるロックアップ機構を搭載したATや、より細かく多段化されたATが開発されており、スポーツカーへの採用も多い。
セミAT セミ・オートマチック・トランスミッション
簡単に言えば「自動MT」
MTにおけるクラッチ操作のみ、あるいはクラッチ操作と変速操作の双方を自動化したものを指す。
- 制御的に半クラッチを多用してしまうため、クラッチディスクの消耗が激しい。また初期のセミATはシフトショックが激しかったり、ミッションの切り替え音が車内まで響いてしまうという欠点も多かったが、ある程度は克服してきた。
機構的にはMT同様である。
- F1では1989年にフェラーリが採用したので最初で、その後91年にウィリアムズが追従。そのウィリアムズが92年にセミAT車初のドライバーズ&コンストラクターズチャンピオンを獲得し、現在では全チームが採用している。
- ちなみにレースカーのほとんどがクラッチを踏まずにシフトしているため、みんなセミATだと思われがちだが、レース用ミッションであるノンシンクロミッションは、クラッチを踏まなくてもギアを無理矢理叩き込めるため、全部が全部という訳ではない。例えばグループGT3ではパドルシフトは可能だが、セミAT自体は禁止である。
なのでダウンシフト側でオーバーレブする領域でシフトダウンを行おうとしても、それはECU側でキャンセルされるが、オーバーレブ領域を抜けたとしても、シフトダウン命令が予約されていて勝手にシフトダウンはせず、自分でパドルを引き直す必要がある。
DCT デュアル・クラッチ・トランスミッション
Dual Clutch Transmisson
セミATの亜種。
奇数段のギアを受け持つ出力軸と、偶数段のギアを受け持つ出力軸を別に持ち、それぞれにクラッチを配置することから、この名が付いた。各センサーで加速状態、減速状態を察知し、予め次のギアの噛み合わせを行っておいて、そのギアをクラッチを切ってフリーにしておくことで、シフトチェンジを「前のギアのクラッチを切る→次のギアのクラッチを繋ぐ」と単純化させることで素早い変速を実現する。
メーカーによってDCTやらDSGやらツインクラッチSSTやらPDKやらi-DCD等、メーカーによって呼び方が凄まじくバラバラ。
- 市販車モデルへの初採用は2003年で、ゴルフ IV R32にゴルフV用のミッションが先行採用されたのが最初といわれている。
- 2ペダルであることからAT限定免許でも運転が可能で、トルコン式ATやCVTと比べて、「燃費面で有利」、「ダイレクトな加減速が可能で車両の運動性能が向上する」といったメリットを持つが、まだまだコスト面での不利は否めず、低価格車への普及は進んでいない。
- 加減速の中途半端な状況で、ギアの予約がミスしてしまった時にギアを入れ替えるのに時間がかかる点には悪評が高い。
- また最初に使いだしたVWも低コスト化が進まないことや、CVTやATの進化が著しいこと、日本のようなストップ&ゴーを多用するとATやCVTのようなスムーズな動きが出来ず、半クラッチを多用させてしまうためすぐにミッションが故障するトラブルが相次いでいるため、DCTの開発を縮小する方向に動いている。
BMWも2019年式M5/M6で8速ATを採用するのを皮切りに、DCTを終了させると発表してしまった。
- ホンダはこのミッション部分に電気モーターを組み込む事で、省スペースでのハイブリッドカー化を実現している。
CVT シーブイティー
Continuously Variable Transmisson(和訳:連続可変トランスミッション)
"無段変速機"の通称。メカCVTと電気CVTの二つがある。
- メカCVTは主にベルトやチェーンとプーリーとの組合せなどにより、入力軸からの変速比を無段階的に連続変化させ動力を伝達する。
常にエンジン効率がよい(つまり燃費がよい)回転域のみを使う変速比が選択できるが、回転数が上がるとベルトが遠心力によって外側へ張り出してしまい効率が低下する問題がある。
- 初期のCVTはオートマっぽいが、オートマ特有のクリープ現象が起こらないために、坂道発進で後退してしまいぶつける事故が多発したことで、言いがかりにも近い悪評を受けた事もある。同じように速度とエンジン回転数が比例していかないため、そのフィーリングも悪評の対象にされている。現在ではクリープを生み出す為にトルクコンバーターを併用している物が多いが、そのせいでCVTの低燃費性がスポイルされるという悪循環を生み出している(さすがにロックアップクラッチは使っているが)。
- 電気CVTは名前こそCVTだが、遊星歯車を利用した動力分割機構のことでありCVTではない。主にトヨタのハイブリッドカーに使用されている。初代プリウスのシステムを開発した八重樫武久氏が、役所に届け出を出す際に動作が似ていることから電気CVTと書いてしまったのが原因。
- 燃費向上の効果があるため、コンパクトカーや電気自動車など低燃費を売りにするクルマに採用例が多いため、スポーツ走行には向かないと思われがちだが、技術の進歩によりギア比固定機能やダイレクト感が向上しスポーツ走行でも十分な性能を得られるものもある。
- また1990年代にウィリアムズがF1にCVTを使おうとしたことがある。通常のトランスミッションよりも1周につき数秒ほどタイムが縮まり、耐久性の問題もクリアしていた。しかしあまりにも速すぎると判断されたためかレギュレーションで規制され実戦投入されることはなかった。(実験時の映像)
トランスミッションでの歯車の比のこと。
ギアレシオ・歯車比などと呼ばれることもある。
- 一般的にはアウトプット側(タイヤ側)を1回転させるのにインプット側(エンジン)が何回転するかで表される。
1.000と表記されるギア比はエンジンとドライブシャフトが直結状態になる段数であり、市販車ではここは交換することが出来ない。
これが1を下回る(エンジン回転より増速される)とオーバードライブと呼ばれ、ほとんどのミッションの最高段がこれに設定されている。
- 80~90年代の車は廉価グレードのみオーバードライブが存在しないミッションが積まれる事があったので、オーバードライブ=高級という図式が存在していた。
- NDロードスターでは、シフト機構を簡略化するためにあえて6速直結という逆転の発想を用いたため、オーバードライブは搭載されてはいないが、ファイナルギア比の調整で事実上6速がオーバードライブ相当になっている。
- 同様にデミオのSkyactiv-D搭載のAT車は4速直結でオーバードライブ2段となっているが、ディーゼルエンジンの特性に合わせた結果であり、実際には6速のみがオーバードライブ相当のギアになっている。
- 各ギアの隣同士の比が近い(速度差が小さい)トランスミッションをクロスミッションと呼ぶ。
ファイナルギア
ディファレンシャルギアの歯車で、タイヤに伝わる直前(ファイナル)のギアにあたることから、この名がある。
- ファイナルギア比を設定することでトランスミッションからの出力全体を調整できる。
加速性能と最高速の相関関係は上記ギア比と同様。
駆動系統(ドライブ・トレイン)
エンジンなどの回転動力を伝えるための機械要素。
- 「クラッチを切る」という言葉があるように、回転動力を伝えないようにすることができる。
- GTシリーズではGT5P以降で"クラッチペダルを採用した一部ハンコン"のみクラッチを単独で操作することができる。
- ペダルの踏み具合で微妙に動力を伝えるという事ができる。
これは半クラッチと呼ばれ、発進時の必須テクニックでもある。特に加速に全力を賭けるドラッグレーサーは右足(アクセルワーク)より左足(クラッチワーク)の方が重要とされる。
- D1GP発祥のクラッチテクニックとしてはペダルを蹴飛ばし一瞬だけクラッチを切る事で、無理やりエンジンの回転数を上げてホイルスピンさせる「クラッチ蹴り」や、ターボの回転数を落としたくないのでアクセルを抜く代わりにクラッチを微妙に踏む「揉み」などの高等テクニックが多様される。
ただし半クラもそうだがクラッチディスクがフライホイールの上を滑るため、ディスクの消耗が激しくなる欠点がある(もっとも競技車両なので気にしてもいないが)。
- 谷口信輝がまだアマチュアレーサーだった時代、2速でも3速でもギア比が合わないコーナーがあり、解決策として3速のままクラッチを揉んでコントロールしていたのは有名な話。
あまりにもそのセクターが速かったために一瞬で広まったとか。
- フォーミュラカーやプロトタイプカーなど、足下のスペースに余裕が無いマシンを中心に、クラッチをペダルではなくパドルでコントロールする車が増えている。
こちらはハンドクラッチと呼ばれており、ミートタイミングが難しく各種スイッチ操作と並び慣れるまで一苦労なのだそうだ。
- チューニングでエンジンの出力を上げていくと、純正のクラッチでは出力に耐えられず滑ってしまうようになるため、バネ圧を上げたりプレートの枚数を増やした強化クラッチの導入が必要になる。
- しかしクラッチラインまで強化はできないため、クラッチペダルがとても重くなる。渋滞は左足がつりそうになるし、エンストしたら相当恥ずかしいため、雰囲気チューニングは止めておこう。
重量のある円盤状の機械部品で、回転させることでエネルギーを保存し、一定の方向へ回転させ続けるための部品。
レシプロエンジンは構造上、クランク上下の死角で回転が停止すると回転ができなくなってしまうため、それを避けるための部品。
- 重いフライホイールはエンジン回転の滑らかさは増すが吹け上がりは悪くなり、軽くするとエンジンの吹け上がりは改善するが坂道などで失速し易くなる特徴がある。
- 軽量化の為に穴を開けると、エンジンの回転に伴い謎の音が鳴り出す事がある。
RE雨宮のオリジナルフライホイールの物が有名で、ピーポーフライホイールという渾名が付いたほど。
- 現行F1チームには"フライホイール式KERS"を採用しているチームはないが、ウィリアムズF1が開発していた物をポルシェが採用してレースに投入した例はある。アウディは同機構を積んだR18 e-tron quattro('12~'15)でルマン3連覇を成し遂げている。*16。
エンジンからの動力を伝える回転軸部品。
特にFR・4WD車で前のエンジン・ミッションから後ろのデファレンシャルギアへ動力を伝えるシャフトを指すことが多い。R35 GT-Rはトランスアクスル4WDという性質上、エンジンからリア側にあるミッションに伝えるプロペラシャフトと、そのミッションからフロントタイヤに動力を伝えるプロペラシャフトの2本を持っている。
エンジンからの動力がデフで左右に振り分けられた後、デフからタイヤに動力を伝える回転軸部品。
- 動力系の中でも特に負担が大きく、ドラッグレースをやっていると消耗品というレベルで折れる。
FFや4WDの車もフロントのドライブシャフトと、タイヤやミッションに繋がるジョイント部分が壊れやすいため注意。
- SUPER GTの前身である全日本GT選手権の1998年シーズン最終戦。Mobil 1 NSXがレース前にドライブシャフトを交換したにも関わらず、決勝のフォーメーションラップ中に折れた事もあった。後輪駆動でゼロからフルパワーを叩きこむような状況でなくとも、負担が大きい事を示す一例である。
- これはドライブシャフトの問題だけでなく車体側の問題も重なっている。NSXのドライブシャフトはギアボックスの都合上左右の長さが異なり、結果左右の負荷が異なるためドライブシャフトトラブル多発につながっていた。NSXのトラブルは1994年のルマン初挑戦時から永く続いた持病であった。
Limited Slip Differential
差動制限機構を備えた差動装置(デフギア)のことである。リミテッド・スリップ・デファレンシャルの略称。
- 通常のデフギアは、何らかの理由で無負荷状態となった車輪があると、その車輪のみに動力を伝達してしまい、路面に接している車輪に動力が伝達されない欠点がある。
LSDは、これを防ぐ機構を備えたデフギア。
強く効かせるとイン側のタイヤの荷重が抜けるような状態になってもタイヤにトラクションをかけやすくなるが、効かせすぎるとデフギアの本来の役割である内外輪の回転速度を調節する機能が制限されてしまうため、クルマを曲げにくくなる。
- 加速側は前進方向のトルクがかかったときの効き、減速側はバック方向のトルク(エンジンブレーキ)がかかったときの効き、イニシャルトルクは無負荷状態での効き(プリロード)を調節する。
- GT5からそうだが、LSDという略称が麻薬の名前でもあり、チャットで「LSDのセッティングは~」などの発言をしようとするとNGワードに引っかかる。
デフと言えば大体通るので、そちらで代用するといいだろう。
運転中にドライバーが任意に前後輪のトルク配分を制御することができる機能。
- 1994年に富士重工業のインプレッサ WRX タイプRA STiにおいて初採用され、後年のインプレッサには、オート機能も実装された。
Active Center Differential
ハンドル角、速度、ブレーキ、旋回G等のセンサーを基に前後の駆動制限をコントロールする。
- 三菱自動車のランサーエボリューションVIIにおいて初採用された。
- R32GT-Rも似たようなシステムを持っているが、こちらは実際にはセンターデフを使わずに4WD化しているため、ACDの元祖とは通常言われない。
- 一時期のラリーカーになるとセンターだけでなく前後LSDもアクティブ化されていた。
同じくLSDだが、F1になるとターンイン、ターン中、ターンアウトでデフの拘束力が自動で変わる(そしてハンドル上のダイヤルで走行中に拘束力を変えられる)というハイテクの塊である。
Active Yaw Control (System)
ハンドル角、速度、ブレーキ、旋回G等のセンサーを基に後輪左右の駆動配分をコントロールし、旋回性能を向上させるシステムである。
こちらも三菱自動車が開発したもので、詳細は上記のリンクを参照。
ボディ
- タイヤの表面のこと。「トレッド面」などと呼ぶ。
- 左右のタイヤ間の距離
車両における左右の車輪の中心間距離のこと。
前輪・後輪で長さが違うこともあり、それぞれフロントトレッド、リアトレッドと表される。
- 幅が広いほどコーナリング性能が高くなり、小回りが効くようになるが、ホイールベースとの関係が重要。スーパー耐久などのセッティング幅の狭いレースでは、オフセット違いのホイールを持ち込み、トレッド幅を数十ミリ単位で変化させる事で、調整項目を増やす事も。
- チューンド(レース)カーがフェンダーを広げる理由の一つ(他には幅広のタイヤを車に収める為、など)。
- また、単にドレスアップ目的でトレッドを拡大させる者もいる。しかし、フェンダーを広げずトレッドを増やした場合、タイヤがフェンダーからハミ出ると漏れなく違反切符をもらうので要注意*17。
- なお、公道でのフェンダーはみ出しはハブより上部に対してのみ規定があるため(正確にはもう少し狭い扇形の範囲)、ハブより下部はフェンダーよりはみ出すことが可能となっている。この規定を逆手にとって、足回りを極端なネガティブキャンバーに設定することでタイヤ接地面を完全にフェンダーからはみ出させる所謂「鬼キャン」なるドレスアップもある。
- ホイールがより外側まではみ出ている方が派手に見えるため、インチアップによるトレッドのワイド化と低扁平化、車高調やバネカットによるシャコタン化、を組み合わせている場合が多い。
- 一つ一つのセッティングはチューニングカーでも行われている項目ではあるが、ドレスアップ目的の場合、大抵は見た目のみを優先し運動性能のバランスは考慮しないため、フルブレーキング一つまともにできなくなる危険性がある。サーキットなど走ったら、最初のコーナー進入でスピンするかコケること必至である。正直、ノーマル足回りにハミタイより遥かに危険と言えるかも知れない。
車輪軸から車両端部にかかる部分のこと。ホイールベースの外側にあたる部分。または、その長さのこと。
- オーバーハングが長いほど旋回性能が下がるが、テコの原理でダウンフォースが大きくなる傾向にある。現代レーシングマシンではメカニカル的な旋回性能の低下以上に、ダウンフォースによる旋回性能向上が大きいため、車両限界に達するまでオーバーハングを伸ばすことが多い(そしてバンパーはオリジナルのラインを保ちつつも、リップスポイラーでオーバーハングだけ増やすため、出っ歯になる)。
逆に速度域の低いラリー車では、ダウンフォースよりもジオメトリーでの旋回性能が欲しいため、なるべく短い方が好まれる。ただしプジョー 206 ラリーカーはベースモデルがレギュレーションの最低全長に足りなかった為、オーバーハングを伸ばしたエボリューションモデル(206GT)で無理矢理ホモロゲを取得していた。
同様にZ33型フェアレディZや、NA2型NSX-Rも、SGTの車両規定を満たすために、オーバーハングを延長したバンパーを持つ市販車を限定発売していた。
前後のタイヤの距離のこと。正確には前輪の車軸から後輪の車軸までの距離を示す。
- 長くすると直進安定性が向上し、短くすると旋回性能が向上する。
直進安定性と旋回性能は相関関係にあるため、一方を上げれば一方は下がる。
現代ではホイールベースを長くすることによって安定性を確保し、サスペンションによって旋回性能を確保するという考え方が主流である。
ハンドリングレスポンスの指標として、NSX販売時にホンダが提唱したもの。ヨーモーメントの発生の早さ大きさを数値化したものだと言える。
ボディ剛性
車体のねじりなどに対する強さのこと。
- ボディ剛性が低いと車体にヨレが起き、サスペンションの配置(サスペンションジオメトリー)が狂ってタイヤやサスペンションが本来の性能を発揮できなくなる。だからと言って固くしすぎると、逃げがなくなり、ちょっとした衝撃でフロントガラスが割れるという悲劇が起こる。そのため超高剛性ボディを持つレースカーでは軽量化も兼ねて柔軟なポリカーボネート製ウィンドウが使われる。
- ボディ剛性を上げるにはタワーバーなどで補強するチューニングが一般的だが、やりすぎるとボディ剛性の配分計算が狂ってしまい、応力をうまく逃がすことが出来ずに、特定のポイントに力が集中。トランクやハッチが開かなくなったり、パッと見ただけで歪みが分かるほど変形してしまうこともある。
- レース専用車は衝撃も想定できるために、ボディ剛性まで含めサスペンションを設計している事がある。2輪だがmotoGPマシンは市販車よりもやわらかいフレームを使い、車体全体でショックを吸収しているというのは有名な話。
車両の重量。車重と略される。市販車の定義としては「潤滑油や冷却水に加えて燃料を全量入れた状態での重量」表記となる。が、例外も多い(下記)。
- 基本的には「軽いほど有利」とされ、タイヤの消耗、ブレーキの寿命、加減速、コーナリング性能など性能面でのメリットは果てしない。なので多くのカテゴリでは大体「最低重量」が決められ過度の性能競争が抑えられている(ボディシェルをカーボンに置き換えるなど費用が莫大な傾向になる場合も多い)。
ただ、軽く作りすぎると安定性が失われる側面もあるので市販車の中には「敢えて安定確保のために軽く調整しない(GT-Rなど)という車種もある。
悪天候のレースではトラクション確保のためにあえて燃料をフル搭載するなど、レギュレーションの範囲で重くする場合もあるが、一度滑った場合重いと手に負えなくなる場合もあるので一長一短。
- なお、大体「軽量化=快適性維持の為の部品・装備を取り払う(遮音壁・エアコンなど)」なので実物では乗り心地の悪化は避けようがない場合が多々。これはノーマル仕様車に対しての軽量化を謳ったメーカー純正の特別仕様車(NSX Type Rなど)でも話題になることがある。
- 車両重量の測定方法には複数の方法があり、レースカーに至ってはカテゴリ毎に計測方法が違うが(オープンシーター系の「ドライバー込み重量」と、箱車系の「ドライバー抜き重量」等)、GT中ではほぼ無視されている。
- 前述のようにレース界ではカテゴリ毎に計測方法が違うが、多くのカテゴリでは「乾燥重量」という「潤滑油、燃料などを入れていない状態」で計測されることが多い。
- なお、車両重量と乾燥重量の差は車種にもよるが100kg~200kg程度と無視できるものではないはず。
- この問題は市販車にもあり、一部メーカー(フェラーリなど。特にフェラーリの各車種はフェラーリ社の慣例で乾燥重量の数値でカタログ表記されている。GTの表記はカタログ表記。)は乾燥重量で表記されている。一見しただけでは判別不能なのがなんともはや。
- 余談だが、「車検証」の重量表記は「車両重量=潤滑油、燃料などを入れた状態」なので車検証と見比べて数値がかけ離れているようだとカタログ表記が「乾燥重量である」と判別できる。そのためスーパーカーと呼ばれる車種で「実際と重量がかけ離れている」という批判がGTでは起こりがちである。
- 車の最低重量が決まっているが故に、ドライバーには過度のダイエットが強いられている。
F1はドライバー込みの最低重量だが、実はドライバーと車体の合計では最低重量に満たない。
その分はバランス調整のバラストを積んで居るのだが、ドライバーが軽ければ軽いほど量を積めるので、バランスの調整がしやすくなる。
F1ドライバーのジェンソン・バトン氏は身長が182cmとドライバーとしてはかなり高く、減量するにも無理があるので「もう脂肪は無いし、筋肉も付けられない、最低重量を増やすか計測方法変えてくれ」とぼやいてるとか。
逆にドライバー抜きのSUPER GTは露骨に軽ければ得するため、やっぱりダイエットを強いられる。
GSRの体重が減らない片岡竜也(168cm/70kg)と、体重減りすぎを危惧される谷口信輝(185cm/64kg)のコンビが良くネタにされる。
衝撃の緩和や、安定性の向上などを目的に、車輪(ホイール)の外周にはめ込むゴム製の部品。クルマが唯一地面と接する部品。
- 一概に「タイヤ」といってもラジアルタイヤ・バイアスタイヤ・ソリッドタイヤなど複数種類あるがGTでは無視されており年式毎の性能差もない。おかげで「旧車で新車を追い回す」ということが普通にできてしまう。
旧車にハイグリップタイヤを履かせると、大概ボディが耐えきれなくてどこかしらが壊れる。ヒストリックカーレース用に、わざわざグリップ力を抑えた特注タイヤが使われるほど。
- レギュレーションで均質化されているレーシングカーの世界では、車体以上にタイヤ性能が勝敗を分ける要素になっている。
タイヤ開発にかかるコストを抑えるため、近年レースに供給するタイヤを一社に限定するレースが増えている。例えばF1はピレリワンメイクにしたりDTMはハンコックワンメイクにしたりなど世界中のトップカテゴリーもワンメイクにする傾向が強い。そんな世で4社のタイヤメーカーが拮抗するスーパーGTはとても異質なのである。ちなみにサプライヤーの選定に関しては紆余曲折ある様で良い意味でも悪い意味でも話題になっている。
- ちなみに、グレードの高いレースやラリーになるとタイヤは無料でチームに供給される。さらにその中でも上位のチームにはサプライヤーの専属エンジニアがピットに常駐して手厚いサポートが受けられる反面、下位チームには希望するスペックのタイヤすら十分に供給されないなど格差もあるようである。
- また、メーカー間は当然としてカテゴリ毎でもタイヤの性能差は歴然としているはずだが*18、GT中ではほぼ無視されているので「下位カテゴリの車で上位カテゴリの車を喰う」という現実ではあまり起きないことがごく普通に起きてしまう。
コンパウンド
compound
タイヤの接地部分に使われているゴムの種類。
- ゴムが硬いほどタイヤの耐久性が上がるが、グリップが低くなる。
ゴムが柔らかいタイヤはグリップが高い代わりに、耐久性がない。
タイヤ | コンパウンド | 略称 |
コンフォート | ハード | CH |
ミディアム | CM |
ソフト | CS |
スポーツ | ハード | SH |
ミディアム | SM |
ソフト | SS |
レーシング | ハード | RH |
ミディアム | RM |
ソフト | RS |
スーパーソフト | RSS |
インターミディエイト | IM |
ヘビーウェット | W |
ダート&スノー | ダートタイヤ | D |
スノータイヤ | S |
車輪に設置され、走行中のクルマを減速・停止させたりするための装置。制動装置ともいわれる。
- クルマの基本3要素「走る・曲がる・止まる」のうち、「止まる」を担う部分である。
実車の場合、スポーツ走行をするためにはスポーツタイヤ・サスペンションと合わせて真っ先にチューニングしないといけない部分なのだが、(GT含む殆どの)ゲームではオマケ的な扱いのパーツである。
- 吊しの状態で180km/hオーバーからの連続フルブレーキングに耐え、レース中に熱フェードも起こさず、ウェットでもドライでも寒くても暑くても均等な制動力、おまけにパッドもローターも消耗しない。ゲーム的に最もインチキなパーツは実はブレーキかもしれない。
車軸と一体になって回転するディスクをブレーキパッドで挟み、その摩擦によって制動力を確保するブレーキのシステム。
一般的な自動車に搭載されているブレーキである。
- ドラムブレーキと比べて放熱性に優れるため、ヴェイパーロック現象(ベーパーロック現象)は起こりにくい。
ピンホールタイプ、スパイラルフィンタイプなど、ドラムブレーキに比べてバリエーションにも富んでいる。
- 自己倍力作用がないので、単純に考えるとドラムブレーキのほうがブレーキの効きはよい。
ディスクブレーキを構成する部品。鉄などの材料からなる円盤状の部品である。
ディスクブレーキを構成する部品の一つで、ブレーキパッドをブレーキローターに押さえつける役割を果たし、摩擦による制動を可能とする。
ドラムブレーキ
中空の円柱(ドラム)の内側からブレーキシューを押しつけ、その摩擦によって制動を行うブレーキ。
- 一撃のブレーキングなら摩擦材面積の多さや、ヒンジ位置の関係でブレーキシューが勝手にドラムにめり込んでいく性質があるため、ディスクブレーキ以上の物がある。
代わりに放熱性が悪く、熱によりブレーキシューが焼けて制動力を発揮しなくなるフェード現象を起こしやすいために連続したブレーキングには弱い。
- トラックなどの大型車に制動力の高さを買われ採用されるほか、コンパクトカーなどのリアブレーキの負担が小さい車に、(ディスクよりは)構造が簡単であることからコストダウンのために採用される。
- また、ディスク車でもサイドブレーキ用に、リアディスクのブレーキパッドが接触しない部分の内側をドラムとして、ここに小型のブレーキシューを組み込んでいる事がある。サイドブレーキは基本運転中に使わないため、放熱性も関係無く、単純に制動力の高さが買われる例でもある。
本作に関連している人物
- グランツーリスモ シリーズの生みの親。ポリフォニー・デジタルの代表取締役プレジデントでもある。ネットでは「山内P」と呼ばれることが多い。
- レースの参加には消極的だがドライバーとしての実力はかなり高く、『ニュルブルクリンクを熟知しており、レーサーとしての実力も申し分ないのは山内さんしかいない』という理由で、ニュルブルクリンク24時間耐久レースのオファーを受けた。
- 2010年から2016年(15年を除く)まで毎年参戦しており、2011年・2012年のニュルブルクリンク24時間耐久においてクラス優勝を飾っている。
- 2014年にはニュルブルクリンクの世界的な知名度を高めた功績を讃えられ、功労賞を授賞した。
- 作られるゲームは本作を含め非常にクオリティが高いが、開発期間が異常に長いのが玉に瑕。
また収録車種の選定は、山内氏の興味が強い車種に偏っているなど問題が多い。
- 現在、HuluとYouTubeで山内氏のドキュメンタリー映画が公開されているので気になる方はぜひ。
- 彼が初めて手がけたゲームは「モータートゥーン・グランプリ」…と思われがちだが、実は彼が初めて手がけたゲームはスーパーファミコンの「迦楼羅王」(かるらおう、海外名:SkyBlazer 1993年/ソニー)という横スクロールアクションゲームである。かつての任天堂とソニーの協力関係を象徴する一作である。
Adrian Newey (イギリス)
- イギリス出身のレーシングカー・デザイナーであり、現在はF1に参戦しているレッドブル・レーシングのチーフ・テクニカル・オフィサーである。"空力の天才"と称されることが多い、F1界を代表するエアロダイナミストである。
尚、媒体によっては"ニューウェイ""ニューウィー""ニューエイ"などと記される。
- ちなみに、フジテレビなどのF1中継では「ニューウェイ」と呼ばれることが多い。
- GTではレッドブル Xシリーズの仕上げを担当。X2010への"ファン・カー"のシステム採用を発案したのはこの人である。
- ちなみにレーシングカー・デザイナーと呼ばれる人の中では珍しく、彼自身もアマチュア・レーサーとして活躍している。
Lucas Ordonez (スペイン)
- 欧州日産とSCEEの企画『GTアカデミー』で発掘された天才ドライバー。
- ドバイ24時間耐久レースではアドバイザーのジョニー・ハーバート、GTアカデミー教官のロブ・バーフ、車輌の開発を担当したアレックス・バンコムと共に参加。予選ではジョニー・ハーバートを超えるクラス2位、決勝では上位クラスすら凌駕する総合8位のタイムを叩き出した。
- GT4ヨーロッパカップでは、アレックス・バンコムと共にフェアレディZでフル参戦。開幕早々3位表彰台に立ち、第5戦・最終戦では何と優勝し、デビューシーズンにシリーズランキング2位に入る快挙を果たした。
- 2011年はル・マンクラス優勝、LMS総合優勝(共にオレカ・ニッサン)を果たすなど彼にとって躍進の年となった。
- 2013年にはブランパン耐久シリーズに参戦し、クラスチャンピオンを獲得した。
- 2014年はニスモのグローバルドライバーエクスチェンジプログラムによって日本ツーリングカーレースのトップカテゴリーであるスーパーGT GT300クラスにエントリーすることが決定した(ニュース)。
- 2018年のブランパン耐久シリーズにおいては、GT-R ニスモ GT3でPROクラスにエントリーする予定。
マシンのカラーリング発表には本作のスケープスフォトが用いられた(もっとも18年モデルはまだ収録されていないため、2013年モデルにカラーリングを施しての発表だったが)。
- このリバリーは彼自身の手によってシェアされている。興味のある人はコレクションに追加し、自分のクルマに適用してみよう。(リバリーのURLはこちら)
- また、GTアカデミー2013ではナビゲーター役を務めていた。
- 度々「ゲーマー出身」と話題にはされるが、実際のキャリアはリアルのカートレースからスタートしている。
その後資金難でドライバーの夢を断念したが情熱は捨てきれず、ゲームで我慢していたが、GTアカデミーで開花したというのが正解。
Lewis Caril Davidson Hamilton (イギリス)
- 2008年に史上最年少F1ワールドチャンピオンに輝いており、2017年にはミハエル · シューマッハの68回の最多ポールポジション記録と最多ハットトリック記録(116回)を更新した。
- 2008年ブラジルグランプリではラスト一周でティモ・グロックをパスし、逆転ワールドチャンピオンに輝いている。
またこの年フェルナンド・アロンソの史上最年少ワールドチャンピオン記録(24歳57日)を更新した(23歳300日)。
※現在の最年少ワールドチャンピオンはセバスチャン·ベッテル(23歳134日)
- またF1史上3人しか居ない5回のシリーズタイトルを経験しているドライバーである。
ハミルトンの他にはファン·マヌエル·ファンジオ(5回)とミハエル·シューマッハ(7回)である。
- 今作からグランツーリスモSPORTのマエストロに就任している。
- ブランドセントラルにはハミルトンのページがあり、ハミルトンのギャラリーとハミルトンのグランツーリスモSPORTプレイ動画が公開されているので、是非見てみよう。
- 彼がドライブしたメルセデス AMG F1 W08 EQ Power+ 2017は、Ver.1.23アップデートで追加された。
グランツーリスモのトッププレイヤーが集まり、プロドライバーになるための選考会である。
- 2008年からヨーロッパで始まり、2011年には北米大会、2012年にはドイツ・ロシア大会が新たに開催されるなど、回を重ねるごとに規模が大きくなっている。
最終ラウンドは毎年イギリスのシルバーストンで開催され、ブート・キャンプのような過酷な訓練を行う場面が話題になっている。
日産ヨーロッパによって開催された企画のため、使用する教習車は全て日産車である。これは現在も変わらない。
- 基本的には以下の流れでウィナーを決定する。
1. 予選: グランツーリスモから配信される専用のオンラインタイムトライアルで予選を行う。
2. ナショナルファイナル: 予選で上位を占めたプレーヤーはナショナルファイナルに進み、ライブイベント(オフライン)を戦う。
3. 最終ラウンド: ナショナルファイナルで勝ち残ったプレーヤーは最終ラウンドで数日間に渡る実車を用いた選考会を行う。
- GTアカデミーのウィナーは日産のレーシングチームの一員となり、半年間の訓練が行われた後、ライセンスの取得を含めた訓練を約4ヶ月間受け翌年1月のドバイ24時間耐久レースに出場する。
そして「ニスモアスリート」として日産がWEC等のLMP2クラスにエンジンを供給するチームやブランパン耐久シリーズ等に出場し、本格的なレーシングドライバーとしての道を歩む事になる。
- ちなみに、モータースポーツに消極的な日本ではかなり知名度が低いが、海外ではTV番組として放送されるほどの人気企画である。
- ファイナルラウンドは実車を使用するため、単なるゲーマーは体力的な問題でふるい落とされる。オルドネスがゲーマー出身と言われるが~の真実が、元々カートレーサーでアスリートであったという立証にもなる。
- むしろゲーマー出身と言うなら2011年GTアカデミーウィナーのヤン・マーデンボローの方が相応しいかもしれない。マーデンボローはカートレースの経験すら無かったのである。
GTアカデミーウィナー
レースカテゴリ関連
組織
Federation Internationale de l'Automobile
- 世界中の四輪モータースポーツの統轄機関という役割をもち、競技ルール(スポーティング・レギュレーション)や技術規定(テクニカル・レギュレーション)の制定、ドライバーへのライセンス発行などを行う。
- 2014年6月25日水曜日にFIAと「グランツーリスモ」がパートナーシップを発表した。
ACO フランス西部自動車クラブ
Automobile Club de l'Ouest
- 1906年創設の歴史あるフランスの自動車クラブ団体。ル・マン24時間レースの主催者である。
- 今現在でFIAに面向かって物を言える数少ない組織。
- 速度が上昇しすぎたFIA-GT2クラスに変わり、LM-GTEクラスを立ち上げる。
このクラスは、ウィング高やガーニー高まで規制(普通のウィング規制とは逆に、低くしすぎてもいけない)し、エンジンパワーもGT3以下に絞りトップスピードを下げる一方、燃料タンクは大型化させつつも最低重量を軽くして運動性能はGT2並である。
これによりFIA-GT2クラスは行き場を完全に失い廃止に。FIA-GT1クラスもルマンに出られなくなり、FIA-GT選手権もGT3クラスで争われるようになったために事実上廃止に追い込んでいる。
もっとも、FIA-GT1が廃止されたのは車体価格が高くなりすぎたせいもある。
ALMSなどのプチ・ルマンシリーズではGT3とほぼ同等のレギュレーションであるGTCクラスも存在する。
SRO ステファン・ラテル・オーガニゼーション
Stéphane Ratel Organisation
- 1995年に元ドライバーのステファン・ラテルが立ち上げた組織。
- FIA-GT3やSRO-GT4の提唱者であり、傘下のSROモータースポーツグループはブランパンGTや、GT4ユーロシリーズ等、GT3やGT4のレースを主催している。
Indy Racing League
- アメリカ合衆国のオープンホイール・レース統括組織。
- 同リーグは以下の3つのレースシリーズを統括する。
- ベライゾン インディカー・シリーズ (Verizon IndyCar Series)
- ファイアストン・インディ・ライツ・シリーズ (Firestone Indy Lights)
- U.S. F2000 ナショナル・チャンピオンシップ (U.S. F2000 National Championship)
International Motor Sports Association
- 米国の自動車レース統括団体である。
- IMSA-GTP:プロトタイプレースカーカテゴリー。FIAのグループCレギュレーションに似通ったレギュを採用しており、ジャガーやポルシェ、日産など双方のレースに参戦していたチームは各々のビッグ・レース(FIAならルマン、IMSAならセブリング・デイトナ等)になると片方のカテゴリ車を小改造して本家チームの増援として送り込むこともあった。
- IMSA-GTO・GTU:市販車ベースのレースカーカテゴリー。GTOクラスとGTUクラスの差は改造範囲の差。
- FIAのプロトタイプカテゴリーであるWSPC(SWC)が行き詰まった同時期にカテゴリー終焉に至る。現在はWSC、ALMSを経てUSCC(United SportsCar Chanpionship・2014~2016)、IMSA(2017~)としてシリーズ継続中。
Japan Automobile Federation
- 主な事業としては故障救援(いわゆるロードサービス)のほか、日本を唯一代表する四輪モータースポーツ統括団体(Authority Sport Nationale、通称:ASN)として国際自動車連盟(FIA)に加盟し、スーパーフォーミュラなど国内で行われる様々なモータースポーツイベントの公認を行っている。
Grand Touringcar Association
- SUPER GTを統括する団体。一時期SUPER GTが世界戦扱いになっていたため、JAF管轄を外れたために制作された。現在は世界戦扱いではないが、JAF管轄だと色々問題があるために、現在も独立して運営されている。
日本のレースカテゴリ
Japan Grand Touring car Championship
- 1993年から2004年にかけて開催されていたレースイベント。2005年よりSUPER GTに改称。
- ただし開催初年度の1993年はエントリー数が集まらず(わずか2台、それもGT1がスカイラインGT-R、GT2がシルビアの一台ずつだけ)、年間9戦の予定が5戦キャンセルされてわずか4戦の開催だった。それでもレース成立条件が出走2台以上、シリーズ成立条件が全3戦以上開催と緩かったため、シリーズは一応成立しているが通常は公式記録には含めないことが多い。
- 開催当初はJTCCの方が注目を集めていたこともあり国産ワークスがあまり参戦しておらず(日産がGT-Rで参戦していた程度)プライベーター中心のレースイベントで"お祭りイベント"的な側面が強かった。そのかわり、非常に多彩な車種が参戦していた*19。
- ちなみに、発足の契機となったのは"GT-Rの為の新規カテゴリ創設(=GT-Rが参戦できるカテゴリが無くなった為)"だと言われている。その目論見通り、開設当初はGT-Rがタイトルを獲得し、正にGT-Rのためのレースと化していた。
- 2つのクラスを設置しており、GT500クラス(開催当初は第1部門又はGT1)はJGTCのトップクラスで、約500PSの車両で争われる。このクラスの車両は、長い直線を持つコースでは約300km/hにせまる迫力ある走りを見せ、国際的にも注目されていた。参加チームの多くは国内外で活躍し、国際的にも通用するレーシングチーム。また、自動車メーカーによるワークス活動が盛んだった。
- GT300クラス(開催当初は第2部門又はGT2)は、約300PSの車両で争われる。このクラスはパワーが低い分、改造個所が少なく済むため、有力なプライベートチームが参加し、車両間の格差も少なく、常に激しいレース展開をみせていた。
- 強いチームがシーズンを圧倒する事を防ぐため、その年の成績によりウェイトハンデを課せられるのが大きな特徴。一時期順位によってウェイトハンデ軽減があった時代があり、軽減しながらポイントが取れる順位が存在してしまい、その順位をめぐり逆チキンレースが繰り広げられた事もあった。
- 市販車を大幅に改造した車両で争われる。2004年まで全日本GT選手権(JGTC)として開催されていたカテゴリーを、2005年より年2回の海外ラウンド開催を予定していたため*20、FIA規定の国内選手権規定を外れてしまい、意図はしていなかったが国際シリーズ化したものである。国内選手権では無いため全日本の名前が使えなくなってしまい、やむなく改名された。
当初はSuper GT World Challengeとしていたが、FIAからいちゃもんをつけられたため、後ろを削ってSuper GTに。2006年からはSUPER GTと全大文字表記となっている。この頃になると、GT500車両を中心に、改造車でなくストックカー化が進んでいる。
- 参加車両の競争力を均衡させるため、レギュレーションの改正が頻繁に行なわれた。そのため海外メーカーの車両の継続的な参戦は難しく、国内メーカーの為のレースとなってしまった。
- その傾向は特にGT500で顕著で、今までの日本のツーリングカーレースと同様に参加メーカーの減少、車種の減少、プライベートチームの参加が困難になると言った弊害が出た。
- 2014年よりシャシー側はDTMと共通化されたが、エンジン側は日本独自となっており、まだまだこの状況は続きそうである。
- 逆にGT300クラスでは、昔はプロトタイプカーの特認、近年ではFIA-GT3車両の導入により、多車種によるバトルロイヤルが続いている。予算的な意味での参戦障壁が低いというのもあり現在は「ワンオフの車を作るエンジニアとしてのやりがいが大きいJAF-GTvsセッティングとドライバーの腕さえあれば上位に行くチャンスが大きいFIA-GT3」という図式となっている。
- スーパーGTは基本的に日本国内で行われるが、チャーンインターナショナルサーキットは例外で、タイ国・ブリーラム県で行われている。
- DIJON RacingやPacific Racing、そしてシリーズチャンピオンを獲得したGood Smile Racingなど、今まで車に興味の無い層からもファンを呼び寄せるなど、色んな意味でGT500より幅の広いカテゴリーとなっている。そのパワーは日本を飛び越え、2013年からBMWが、2014年よりアウディが本国から各チームをサポートする体制を取ると、世界的にも注目を浴びるカテゴリーである。
- 車種間の性能調整に関しては、徹底した日本車びいきと言われることもあり、苦心が続く。現在ではGT300クラスの力に劣り空力に優れるJAF-GT車両と真逆のFIA-GT3車両とのバランス取りに苦労している。
- 念の為に弁解しておくが、SGTだけでなく、同じく混走のUSCCでもDPクラスとLMP2クラスのバランス調整には悩んでいた。
- ちなみに本wikiでは、クルマのパフォーマンスの比較にSUPER GTの車両がよく使われる(例:~はGT500車両を凌ぐ加速力が…等)。
- 未だにGT500、GT300の名を使っているが、実際にはこれ以上に出ているらしく、FIA-GT3規格(=GT300クラス)のマシンは550馬力ほど、GT500クラスのマシンは最低でも650馬力、場合によっては700馬力に迫る程の出力が出ているとも。
- 尤も、JGTCの時点で実際の規定より100馬力オーバーしていることは少なくなかったが(GT500ではディアブロやフェラーリ575Mが600馬力以上、GT300でも911RSRが450馬力以上などなど)。
- 近年のビッグレースとしては珍しく、タイヤがワンメイク化されていない(F1で言えばピレリ、WTCCでは横浜ゴム。WECはダンロップも選べるがほぼミシュランの独壇場)。そのため、タイヤメーカー間の熱い場外戦も売りのひとつ。
Japan Sport Prototype car Championship
- 1983年から1992年までの間FIA-グループC規格で行われたレース。当初は打倒ポルシェに燃える国産メーカー、後期は日産vsトヨタの熱いバトルが見物であった。
- 特徴なのがグループCが3.5L・NAエンジンへ移行した後も、旧規格(いわゆるターボCカー)中心で最終年度まで行われていたこと。
最終年度は世界でほぼ唯一新規定車両(カテゴリー1)とターボCカー(カテゴリー2)が同格のレギュレーションでレースが行われたが、タイトルは旧規定のグループC1部門(ターボCカー)と、新規定のグループC部門(SWC規定車)に別々に与えられることとなった。
- かなりの人気を生んだものの、グループC終焉やバブル崩壊などが重なり消滅した。
- 改造範囲が非常に狭いカテゴリーで、500km(3~4時間程度)を争う耐久レースシリーズである。ベースモデルによって数クラスの混走で行われる。一時期かなりの改造OKのグループN+と呼ばれるマシンも入っていた事が。
- 2011年からは世界的に人気が高まっているFIA-GT3クラスの車両の参戦がST-Xクラスという形で認められた。
しかし、このクラスのみライセンス制度があり、GT500やSF参戦者などはプラチナドライバーとされ、チーム1名、全体の40%以上搭乗禁止というハンデが付けられている*21。
- 2017年からはSRO-GT4*22とWSC-TCRも使用可能。2018年には富士で24時間レースを行う等、マイナーカテゴリーながら色々工夫している。
Japan Touring Car Championship
- 1994年から1998年まで日本で開催されていた自動車レースの1カテゴリー。
- 開幕当初はJGTCを上回る人気を獲得したが、'95王者BMWワークスの撤退、速すぎるホンダアコードの失格問題など問題が絶えず、最終年はほぼトヨタワンメイク状態となってしまう(プライベーターながらスバル参戦のおかげでかろうじて"全日本"の体裁が保てた状態)。
- JTCC崩壊後、日本ではツーリングカーでの自動車スプリントレースカテゴリは途絶えたまま。
- 1999年にはSSCCという後継レースが始まる予定だったがエントリー数が集まらず中止となった*23。
- 因みにGT2においてチェイサー TRD スポーツX30をレーシングモディファイすることでSSCC仕様のチェイサーにすることができた。
- 人気に反してGTシリーズでは収録車両は非常に少なく、"レースカー"としての収録は一台も無い(GT1、GT2にて該当車種をレーシングモディファイすればJTCC車両の外見にはなった。また、GT1には"チェイサー LMエディション"というGTオリジナル車両が収録されていたが、外見はJTCC車両そのものであった)。
Japan Touringcar Championship
- 1985年から1993年にかけて開催された自動車レースの1カテゴリー。市販車をベースとしてFIAの定めるグループA規定により改造を施されたツーリングカーにより排気量別の3クラス('88年以降クラス1:排気量2500cc以上・クラス2:排気量2500cc以下・クラス3:排気量1600cc以下。過吸気エンジンには係数(×1.4・'88年以降は×1.7)が掛けられる)制で争われた('88年以前はDiv.3、Div.2、Div.1の区分け。Div.3がクラス1相当(要するに数値の序列が逆))。
- 尚、上記JTCCと呼称が被ることから"グループA"の略称で呼ばれる事が多い。
- クラス1はフォード シエラRSコスワースに国産車(A70スープラやR31スカイラインなど)が挑む図式で推移していた。好景気も後押しした結果相当台数の参戦があった。
- シエラRSコスワースはGT-R誕生の契機となった車といわれることもある。
- クラス2は当初頭抜けた存在が無く、DTMのメルセデスを投入するチームなどもあり混沌とした状況が長く続いたが、E30型BMW・M3が圧巻の成績を見せつけたことで一転(クラス1よりも一足早く)BMW・M3のワンメイク状況と化す。
- クラス3はモデルチェンジでFFとなったトヨタ・カローラレビンとホンダ・シビックの一騎打ちとなり、この状況は両者共にモデルチェンジを経て最終年度まで続いた。
- 後年のクラス1はカルソニックGT-Rを含むR32 GT-R勢のワンメイクと化してしまい(=GT-RでなければGT-Rに勝てない状況)、参戦台数の減少を招いた結果(最終年は全クラス合わせても20台そこそこ)シリーズが成り立たなくなり消滅(それでも人気自体は絶好調で毎レースサーキットは超満員だった)。JTCC及びJGTC発足の契機となった。
世界のレースカテゴリ
- F1世界選手権 (FIA Formula One World Championship) は、国際自動車連盟 (FIA) が主催する自動車レースの最高峰で、現在は4輪の1人乗りフォーミュラカーで行われている。
- 「現在は4輪の…」と書いた理由は、以前6輪車(ティレル・P34)が出場していたことがあるため。
- 世界最速決定戦というインパクトはあるものの、諸問題が多すぎて人気の下落に歯止めが掛かっていないのが現在の悩み。
ひどい場合「第1戦の予選までがシーズン、後は消化試合」と言われる場合も*24。
World Rally Championship
- FIAが主催する世界規模のラリーイベント。
- ちなみに「ラリー(Rally)」とは、直訳すると「再び集まる」という意味。中世に戦争を始める城へ各地から兵士が集結したのがラリーの起源とされる。
- 基本的にスーパーSS以外で観戦料が取れないため、シリーズ全体として財源難なのがネック。
- コースアウトした時に良く観客が手助けしてくれるが、厳密には違反行為である。が、自然現象ということで黙認されていたりする。
- ドライバーもぶっ飛んでいるが観客も相当で、コースオフしたラリーカーが麦畑やブドウ畑、あげく住宅に突っ込むこともしょっちゅう。
さぞかし沿線住民は大変、と思いきや有名ドライバーが突っ込んだ畑(と収穫物)や住宅はそれだけで価値が上がると言われている…
また、現在は観客コントロールも厳しくなっているが、以前は走行中のラリーカーに轢かれたり指など吹っ飛ばされる「名誉」に預かろうとする観客でSSの沿線はカオスなことになっていた。
そのせいで未曾有の大事故が起きてしまったわけだが。
World Touring Car Championship
- 市販車ベースの車体に2000ccNA、または1600ccターボ(ディーゼルエンジン使用可)のエンジンを搭載したマシンで行われるツーリングカーレース。
- TV中継による興行収入を重視するため、1回のレースを短め(50~60km)に抑え、接触上等の激しいバトルを売りにしている。
1日2レース開催のため、レース1でヒートアップした挙句「モデルチェンジ済み」と言われるほどボコボコになってしまったマシンを、レース2までのわずかな時間で、板金担当のメカニックが超速で直していく姿は見物。
- 2015年、ニュルブルクリンクフルコースで3周というハイパースプリントレースを行ったことも話題に。
- 2018年よりTCR規定によるワークス参戦禁止のカップレース、WTCRに格下げされた。2日間3レースという変則開催となっている。
Europe Touring Car Championship
- WTCCの前身。2005年より世界選手権に格上げされたことにより名称がWTCCに変更となった。
24 heures du Mans
- フランスの西部にあるサルト県の県庁所在地であるル・マン市で毎年6月(夏至あたり)に行われる自動車レースである。
- 4輪における耐久レースの最高峰とされ、耐久レースを走るプロトタイプレーシングカーが別名ル・マンプロトと呼ばれるほどの影響力を持つ。
- 現在ではWECの一戦として扱われているが、デルタウィングのような実験的マシンの参戦を許可したり、LM-GTEの排気量上限を超えているSRT バイパー GTS-Rをリストリクターで押さえ込んで出場OKにするなど、昔ながらの冒険的な一面は変わっていない。
- なお、日本ではあまり知られてはいないが、毎年2輪車による24時間耐久レース(ブガッティ・サーキットのみ使用)も開催されている。
WEC World Endurance Championship
World Endurance Championship 略して"WEC(ウェック)"と呼ばれる。
- WEC 世界耐久選手権
1981~1985年にFIA-グループCの車両を使用して6時間もしくは1000kmのレースディスタンスで開催された耐久レース選手権。ル・マン24時間レースもシリーズの一戦に"例外"として扱われた。後にWSPC(1986~1990年)に名称変更されている。
- WEC FIA 世界耐久選手権
2012年よりシリーズがスタートした新生耐久選手権。母体はACOが2010年から行っていたインターコンチネンタル・ル・マン・カップ。
- 運営もACO側がやっているため、レギュレーションもそれに習いLMP1、LMP2、LMGTE-Pro、LMGTE-Amの4クラス。LMP1とLMGTE-Proはプロドライバーの制限が無いが、LMP2には経験の浅いドライバーを1人、LMGTE-Amはプロドライバーの参加が不可能など、草レース的要素を残しながらも、LMP1ワークス参戦チームにはハイブリッドを義務づけるなど、ACOらしい冒険心を併せ持ったシリーズとなっている。
- ルマン24時間を頂点に、6時間のレースを世界各国で行うというシステムになっている。
2018年にはセブリング12hが追加となった。
WSPC 世界スポーツプロトタイプカー選手権
World Sport Prototype car Championship
- FIA・グループC規格で開催されていたプロトタイプカーによるレースイベント。呼称が"WSPC"となったのは1986年からで、それ以前は"WEC(World Endurance Championship = 世界耐久選手権)"と呼ばれていた。
- '88年度までは一戦あたり1000kmのロングレースディスタンスで開催されていたが、'89年より一転して一戦あたり480kmのスプリント色の濃いレース内容となった(この理由はテレビ中継の為...と言われている)。
- いずれもル・マン24時間だけは別格例外扱い。コレが原因でACO(ル・マン主催者)とFIAが度々対立しており、ル・マンが世界選手権枠から外されることもあった('90年)。
Sportscar World Championship
- WSPCの後継カテゴリーとして'91年に始まった3.5LNAエンジン(=当時のF1エンジンと同格)によるプロトタイプレースカーカテゴリー。F1とエンジンを共用できるレギュレーションにしたことで双方の参戦増加をFIAが目論んだ...のだが、初年度こそジャガー、メルセデス、プジョー、トヨタ(1戦のみ)と豪華な顔ぶれは揃ったが、1年でジャガー、メルセデスが姿を消し、マツダがMXR-01で参戦開始したものの僅かな台数しか集まらず(最終的には僅か7台)'92年途中で打ち切りとなり、消滅した。
- これには旧規格がエンジン形式「自由」という、メーカーが自分の色を生み出しやすかったのに加え、どんなにパワーを出してもいいが、燃料が一定量までしか供給されないという、自由度の高すぎるレギュレーションであったのが大きかった。
- 一方、新規定ではエンジンのフリーダムさや燃料総量規制がなくなったため、メーカーの工夫するところがなくなり、撤退に繋がったとされる。
- 当然スプリント用のマシンなので、ルマン24時間をシリーズに入れるのは無謀とも言えた。前作までの787Bの解説で「プジョーが2時間で全滅し」とあるが、そもそもプジョー陣営側は走り切る気すらなかった(壊れる所まで走ってリタイアはやむを得なし、という考えだった)と言われている。
- この年メルセデスやジャガーがルマンだけ'91モデルでなく'90モデルを持ち込んでいたのも、カテゴリー1の車が耐久レースに向いてなかったのを見越してである。さすがに'92では準備期間もあり24時間走りきれて尚且つ競争力のあるエンジンやミッションも用意できたのだが、3.5LNAエンジンの枠組みでここまでやるには最早F1とさほどコスト差が無く、メルセデスなどは"それならF1"という考えでSWCを去っている。
- 最終的にはプジョーがトヨタを圧倒している(SWCは'92シーズン6戦5勝、ル・マンでは'92年1-3(2位トヨタ、4位マツダ)、SWC車最後の出場機会となった'93ル・マンでは1-2-3フィニッシュでトヨタに完勝)。
- 日本では'92シーズンに世界的に唯一ターボCカーとSWCカーが同格のレギュレーションでレースが行われた(JSPCにSWC車が参加、と言う形であり日本でSWCが行われた、と言う訳ではない。一応ターボC部門とSWC部門でクラス分けされていたがSWC部門の参戦台数の少なさ故にクラス分けが成り立たないという状況が続いた。結果は常時参戦を果たしたマツダMXR-01は奮わなかったが、世界選手権終焉から転戦して来たトヨタTS010が連勝を飾っている)。
- マツダ 787Bの優勝がクローズアップされがちな1991年のルマンで、"カテゴリー1の有力チーム総崩れ(というか、走りきる気が無かった)"という中ではあるが、英国スパイスエンジニアリング製シャシーでユーロレーシングよりエントリーした日本人トリオ(見崎清志/横島久/長坂尚樹)がカテゴリー1クラス優勝(総合12位)を飾っている。走りきったC1クラスマシンは2台、順位も完走扱い12台中12位という状況ではあったのだが…(他にC1クラス1台、C2クラス2台が24時間を走破はしたものの、周回数不足で順位付かず)。
American Le Mans Series
- 北米大陸を主戦場に行われるレースカーカテゴリー。クラス分けもほぼル・マンと同一でプロトタイプとGTカーの混走カテゴリー。
- 基本ル・マンとほぼ同等のレギュレーションで行われるため、"ル・マン本戦に向けての実戦テスト"的な意味合いが強い・・・が、本家ル・マンと違って"アメリカンV8エンジン"が優遇されている節があり、まれに下位クラス(LMP2)が上位クラス(LMP1?)を打ち破るという "下克上"が発生している。
- 2014年より北米レースカテゴリの一つである「グランダムシリーズ」と併合して「チュードル・ユナイテッド・スポーツカー選手権」として開催されることとなる。
- なお、この新シリーズのGT部門が将来的に日本のスーパーGTや欧州で開催されるDTMと規格を統一させる動きがある。
Grand-Am Road Racing
- IMSA終息後にALMSに対抗する形で生まれた北米中心の耐久シリーズ。
- 北米の耐久レースの雄である「デイトナ・24時間耐久レース」の主催者である。
- 日本ではあまりお目にかかる機会は無いがスーパーGT・GT300にエントリーしていた紫電はこのカテゴリのプロトタイプクラス(デイトナプロトと呼ばれる)をスーパーGT仕様に大改造を施した物である。
- 2014年より上記ALMSと併合して「チュードル・ユナイテッド・スポーツカー選手権」として開催されることとなる。
Tudor United SportsCar Championship
- 2014年より前述のALMSとグランダムシリーズが統合されて開催されている北米中心の耐久シリーズ。
"チュードル"はスポンサー(腕時計で知られるロレックス社のブランド)名でネーミングライツも獲得している。
2017年からIMSA ウェザーテックシリーズへと名称が変更された。タイトルスポンサーのウェザーテックは名称通り天気予報を配布している会社。
- 世界三大耐久レースの一つである「デイトナ24時間」はこのシリーズに組み込まれている。
- 2種のプロトタイプレースカーとGTクラス2部門が混走するという激しいものとなっている。
- プロトタイプ部門はLMP2のモノコックをベースに独自カウル、エンジンを組み合わせて使える「デイトナプロト・インターナショナル(DPi)」と通常のLMP2が1つの部門で競う。
ちなみに、2014年シーズンのデルタウィングはこのシリーズのプロトタイプに編入されていた。
- GT部門はACOのLM-GTEを基本とした「GT ル・マン (GTLM)」とFIAのグループGT3を基本とした「GT デイトナ (GTD)」に分かれている。
- 将来的にGT部門をさらに拡張し、そのレギュレーションはスーパーGT・GT500(2014~)やDTM・ドイツツーリングカー選手権と統一される予定となっている…が未だ時期不明。白紙化されたという説もある。
Canadian-American Challenge Cup (通称カンナム)
- 主に北米大陸でFIA グループ7規定下において行われていた"排気量無制限の2座席スポーツカー"によるレースカテゴリー。マクラーレンM8やポルシェ917、シャパラル2Jなど多数のメーカーが参戦していた第1期と、メーカー撤退後プライベーター主体で行われた第2期(排気量は5000ccに制限)に大別される。
- 「賞金総額世界一」を謳い最盛期はF1やスポーツカー世界選手権と比較されるほど注目された。
- ちなみにポルシェが持ち込んだCam-Am仕様の917Kは"5リッター水平対向12気筒ツインターボでMAX1500ps以上"というとてつもない化け物で当時"史上最強のマシン(「最速」ではない)"と呼ばれていた。
- 第1期はワークスマクラーレンがあまりにも強すぎて参加台数激減を招き、マクラーレン徹退後に参戦してきたポルシェ陣営でかうじて首は繋がるもポルシェが輪をかけて強すぎて結局台数激減を招き、トドメに主催者が「燃費規制」を打ち出した所ポルシェの反発にも遭い消滅。
その後第1期の反省を踏まえて第2期が開催されるが、最大排気量の抑制およびメーカーのワークスエントリーの禁止などを打ち出した結果どうにも迫力不足となってしまい、観衆の興味を引きつけることが出来ず1986年を最後に終焉となった。
Deutsche Tourenwagen Meisterschaft(1984~1996年)
Deutsche Tourenwagen Masters(2000年~)
- 大きく分けて1984年~1996年(最終2年はITCに統合)に開催された"第1期"と2000年に復活以後の"第2期"に分けられる。
- 第1期ではハコのF1とまでいわれるほどの激しい開発競争と、大きな人気を生むもののFIAの手によって事実上の選手権消滅となる(下記ITC参照)。しかし、コストの異常なまでの高騰はメーカーにとって大きな負担になったのも事実である。
- バラストを動かしその時々にあわせた重量配分に持っていくムービングウェイトや、速度が上がると空気抵抗削減のために閉まるアクティブルーバーなど、酒の席で出たんじゃないかと思うような仰天ギミックも取り入れられた。ちなみに後者はレギュレーション違反のはずなのに、いつの間にかOKになってしまったという非常にゆるいレギュレーションでもあった。
- 第2期では第1期のコスト高騰による自滅を防ぐ為に、電子制御システムの禁止やメーカーに関わらず多数の部品を「共通部品」という形で共有するなど、多くのコスト削減策が用意され現在では順調に推移している。
- 2014年以降は日本のスーパーGT・GT500クラスがDTMと車体規格を統一させ、エンジンに関する規定も2019年を目安に2リッター4気筒ターボに統一される予定である。
- 2019年からは撤退するメルセデスベンツに代わりアストンマーティンが参戦予定。
International Touringcar Championship
- 当時人気絶頂期だったが参戦コストの上昇などですでに末期症状だったDTMをFIAが国際格式のレースに格上げしたシリーズ。
- 国際格式に格上げすることで更なるメーカー進出を期待したが、結局新参戦メーカーは出てこず、逆に世界転戦の為参戦コスト増大を招き僅か2年で頓挫。
- マクラーレン F1の参戦などで世界的に人気の高まっていた"BPR-GTグローバルシリーズ"と言う国際耐久シリーズをFIA直轄とし、1997年より「FIA GT選手権」としてスタートさせた。
- マシンの改造範囲が広いプロフェッショナルチーム向けのGT1クラスと、アマチュアチームでも参戦しやすいように、改造範囲を抑えてある程度の電子装備(ABSなど)を認可したGT3クラスの2カテゴリーがある。
- GT1クラスには2010年から日産GT-Rが参戦を開始したことで知られる。
- しかしGT1クラスはコスト高騰によって前年チャンピオンチーム含む多数のチームが撤退するなどの異常な状態を迎えており、カテゴリーの維持が難しい状態になってしまい、2012年を最後にカテゴリーが終了した。
- 2013年からはGT3クラスのみのレースとなってしまった。やはり魅力は安さ。最新のスーパースポーツカーのレース用車両がわずか3000万~4000万弱で購入できる所だろう。その人気は確かで、SuperGTの300クラスにFIA-GT3が多数参戦するに至っている。
National Association for Stock Car Auto Racing
- NASCARは、四輪市販車をベースに改造を施した車両(ストックカー)のレースであったが現在はレース専用車両(こちらもストックカーと言われている)を使用している、主に北米大陸で行われる独自のレースカテゴリー。(ストックカーの本来の意味は市販車である)
- ほかのレースカテゴリと大きく違うところは、オーバルコースを走るレースが多い点である(年間36戦開催の内3戦のみロードコース(サーキット)で開催)。
- 現代のレース車両にしては非常に重く(高価な軽量素材が使用禁止されているため)、1560kg以上と規定されているほか、エンジンも現在では珍しいOHVを使用している。
- ちなみにトヨタは下位クラス参戦初年度は特例でDOHCエンジンを使っていた。現在はそのエンジンをOHVに仕立て直している。
- 2011年とつい最近までキャブレターを使用していたところも珍しい。
- フリー走行および予選時では機械によるデータ取得が禁止されている(つまりセッティング最大のカギはドライバーの感覚)など、レギュレーションがかなり厳しいのも特徴。
- なおNASCARはオーバルコースでの開催が多く、基本的には雨天時の開催が無いためワイパーやライト類は装備されていない。ヘッドライト、テールランプ、フロントグリルなどの位置には市販車に似せたステッカーが貼られている。
- モンスターエナジー・カップ・シリーズ、エクスフィニティ・シリーズ、キャンピング・ワールド・トラック・シリーズの3カテゴリーは3大カップ戦と言われている。その下に地区別シリーズが続くなど、かなり底辺の広いピラミッド構造となっている。
- ちなみにフォード、シボレー、トヨタ以外にもダッジの車両も参戦していた。
- NASCAR3大レースに参戦しているダッジだが、2013年シーズンからNASCARから撤退すると正式に発表した。撤退の理由としては、参戦チームの減少などが理由としている。
当時ダッジで参戦をしている2チームは、シボレー、フォードにスイッチしていた。
- オーストラリア、ニュージーランドと、なぜかアブダビの三ヶ国で開催されているツーリングカーレース。基本はスプリントレースだが、バサースト1000は1000km耐久レースである。
- ホールデン・コモドアと豪州フォード・ファルコンの二車種が参戦しており、格闘技さながらの熾烈な争いを繰り広げている。
- NASCARと同じくV型8気筒のOHVエンジンが使用され、排気量は5リッター。出力は635馬力ほど。タイヤはダンロップのワンメイクで、改造内容は狭いが、ツーリングカーの概念を覆すモンスターマシンに仕上がっている。
- シーズン終盤に行われるサーファーズ・パラダイス戦では世界中の著名レーサーを招いており、レース直前の2011年10月に亡くなったダン・ウェルドンもその一人であった。
- 2013年から日産自動車が「ニッサン・モータースポーツチーム」として、日産・アルティマ(日本名ティアナ)で参戦することになった。
ドライビングテクニック
ドリフト関連の用語はドリフトのススメ?(ページ準備中)をご覧ください。
高速走行するクルマの後ろに、空気抵抗が通常より低い状態ができる現象。あるいは、それを利用して加速し、前のクルマを追い抜く技術のこと。
- 空気抵抗が下がると言うことはダウンフォースが下がる→タイヤのグリップが下がるということなので、高速コーナーなどでは注意が必要。GTでは絡まないが、実車でずっとやっていると冷却風が入らなくなり、オーバーヒートを引き起こす事も。
- 空気抵抗は少ないが乱流がすさまじく、ダウンフォースにグリップを頼るフォーミュラカーではスリップストリームに入ること自体が危険行為となる。インディーカーでは「ダーティエア」とも呼ばれ、オーバルトラックのストレートでいきなりクラッシュする原因の大半が、前の車がラインを変えた際に複雑なダーティエアを浴びたことにより、ダウンフォースが不安定になり制御不能になるためである。GAORAの実況で「チョップされた」と表現される現象がこれ。
- NASCARなど競技によっては「ドラフティング」「ドラフト」と言われることもある。
駆動輪が車を前に進めようとする力(駆動力)のこと。または、タイヤが路面に力を伝えること。
「トラクションをかける」などと使う。
- オーバー、アンダーがはっきりしている車はトラクションを掛けにくい。
またFF車は加速しようとアクセルを踏むと荷重がリアへ移動→駆動輪であるフロントの摩擦円半径が減るためトラクションを掛けにくい。
逆にリア駆動の車は同様の現象で駆動輪の荷重が増すためトラクションをかけやすい。
キックダウン
アクセルを強く、床まで押し下げること。(フルアクセル、フルスロットルとも)
- ラリーではよく「アクセルペダルを水平になるまで踏み込む」という意味で(もちろん実際にはそんなにアクセルペダルは倒れないが)、フラットアウトと呼ばれる。
ただしこれをフラットと略してしまうと、それは単なるパンクなので略さないように。
なんで垂直でなく水平かというと、一般車はブレーキとヒンジを共通にするため上から吊り下げる車が多いが、レースカーではヒンジが下であるオルガン式が大多数を占めているためである。
- 余談だが、現実の現行車のAT&CVT車両ではキックダウンを行った際に自動で1~2段のシフトダウンが入り、加速力をアシストするようになっている。
また長時間フルスロットルだと冷却液の温度上昇によるエンジンの焼きつき、エンジンの火災などによって廃車になりかねないので注意しよう。
パーシャル
上のキックダウンとは逆に、アクセルを中途半端に開けた状態。感覚的には、減速も加速もしない状態を維持する為にアクセル開度を維持する感じ。
- 主な使い所としては後輪駆動車でのコーナー出口で、一度にアクセルを入れるとオーバーでスピンするので、パーシャルでリア荷重を作ってやり、リアの摩擦円半径が増え、トラクションをかけられる状態にしてからフルスロットルにするというのが一般的。
- コーナリング中は、ステアリングブレーキの影響でなにも操作しなければ基本的に減速していくが、旋回中に減速することはフロントの切れ込みを増長させ前輪の荷重が増えることになり挙動が不安定になる要素となる。
そのため、ステアリングブレーキの減速分だけアクセルを入れることで、旋回中の前後荷重バランスを一定にし挙動を安定させるための操作。
これは欧州型コーナリングと呼ばれ、バランススロットルとも呼ばれる。
コーナーでハンドルを切った状態でアクセルを閉じるとリアが流れる現象のこと。
- FF車で起こりやすいが、現在市販されているFF車ではほとんど起こらない。
アクセルオフにより荷重が急激にフロントに移動し、フロントタイヤの摩擦円半径が最大となり、アンダーオーバーの要領でリアが流れる。FFの場合たとえオーバーとなっても、アクセルを踏むことによって即アンダーに持ち込める為に、FRのアンダーオーバーほど危険ではない。
- ただし、低μ路では挙動が極端になるため量販車でも起こりやすく、そういう車に乗っているドライバーがタックインが起こったからといってアクセルを開けてゼロカウンターで立て直すことが出来るかどうかは‥‥
- ちなみに、タックインからオーバーステア→アクセルを完全に離してカウンタステアをあてる→フロントのグリップが回復した瞬間カウンターを当てた方向にふりかえされる→逆にカウンターを当ててまたそっちにふられる、ことを俗に「タコ踊り」と言う。
FR車ならアクセルを離せば早々に治まるが、FF車だと逆にアクセルを踏んでステアリングを直進状態に固定しつつ微調整する妙技が必要になる。これができないならカウンターを当てずにフルブレーキングしてスピンした方がまだ被害が少ない。
左足ブレーキ
自動車におけるブレーキペダルの操作方法のひとつで、左足でブレーキペダルを操作すること。左足ブレーキングとも言う。
- 高速コーナーでアンダーステアが出そうな時、右足でアクセルペダルを踏んだまま、左足で少しずつブレーキペダルを踏んでいくケースが多い。急激な荷重変化が起こらないため、車の姿勢を乱しにくいのがポイント。
- アクセルを抜くとタックインしてしまうのでアクセルは離したくないが、アンダーステアをごまかす必要があるFF車が多用するテクニック。
- また、アクセルは完全に抜きつつ左足でブレーキを踏む人も存在する。カートでは常時この状態である事は有名(よってカート出身のレーサーは左足ブレーキが得意といわれる)。
カートを卒業してもフォーミュラーカーやLMPカーでは、フットスペースを犠牲にしてでも車体を優先させるため、左足がブレーキペダル上、右足がアクセルペダル上に固定せざるを得なく、常時左足ブレーキとなる。
- 2ペダル車(AT等)や、電子制御によりクラッチを断続する上位カテゴリのレーシングカーでは常に使えるが、3ペダルMT車の場合、クラッチペダルを踏まなければならない状況においては使用不能。
ただしD1GPに出るような選手の中には、左足つま先でブレーキを踏みながらかかとでクラッチを断続するという無茶な行為が出来る人もいる。
また、
- 常時左足ブレーキには、右足ブレーキのペダル踏み変えによる間が無いため、前後動が激しいという欠点がある。車重によってどんどんそれが顕著になってしまうため、SUPER GT程度の車でも右足ブレーキが見直されている。
そのためフォーミュラでは左、GTでは右のような両刀使いのドライバーもいるんだとか。
BP ブレーキング・ポイント
Breaking Point
コーナリングする際にブレーキを踏み始める地点のこと。
車だけでなく、直前のコーナーの抜け方やコーナリングラインによってぜんぜん違うので、○○コーナーは150mからブレーキングと言われても鵜呑みにしない事。
CP クリッピング・ポイント
Clipping Point
コーナリングラインにおいて、もっともコーナー内側(イン側)に近づくポイントのことを指す。加速重視なら奥目、突っ込み重視なら手前目に持ってくるのがセオリー。
アウト・イン・アウト
コーナリングにおけるセオリーの一つ。大外(アウト)からコーナーにアプローチして内側(イン)につき大外(アウト)に抜けるコーナーワーク。
コーナー全体のタイムを短縮したいとき等に用いられる。
- あくまでもセオリーの一つであり、複合コーナー進入などではこうも言ってられない場合も多い。
スローイン・ファストアウト
コーナリングにおけるセオリーの一つ。コーナーの脱出速度を高め、その先のストレートにおける速度を乗せたいときに用いられる。
コーナリング時に曲がりにくく外側にはみ出す傾向。
- 旋回時の遠心力に対して前輪のグリップが足りないことが原因。
前輪に適切な荷重が乗っておらず、摩擦円の面積が小さすぎて縦にも横にもグリップ不足の場合や、荷重が多すぎて摩擦円の縦方向を使いきっていて横方向に割けるグリップ力が無い場合に起こる。単にオーバースピードで突っ込んでアンダーと言うのは論外。
前輪が操舵と駆動を担当するFF車や前輪に高負荷が掛かりやすい4WD車、フロント荷重の少ないMR、RR車ではとくに起こりやすい。
- また、雨天時やグラベル、スノー路面でも発生しやすい。
- オーバーステアよりも運転者がわかりやすく対処も容易なため、一般的な市販車は弱アンダーステアになっている。
- 日本ではオーバーよりもアンダーが出る方がタイム的にはマシという考えから、車をアンダー傾向に持っていく事が多い。これは舗装状態も安定していて、なおかつフロントの荷重を受け止めてくれる高μな路面が出来ているという理由もある。
コーナリング能力が過剰で内側に巻き込みやすい傾向。アンダーステアの逆。
- 旋回時の遠心力に対して後輪のグリップが足りていないために起こる。
後輪駆動車で単にアクセルの加減を知らないというのは論外。
- 特にRRレイアウトで起こりやすく、重量物がリアタイヤの後方にあるため、慣性でリアが横に飛びやすい。発生するとほぼスピン確定となる。市販車でRRレイアウトが廃れた原因である。
- GTシリーズではほとんどの車種でオーバーステア傾向となるようにセッティングがデフォルメされている。
これはゲームにおいてはアンダーステア=操作を受け付けないという状況となり、ストレスになるためゲーム性を優先したためと思われる。
- 欧州では日本とは逆に、車を弱オーバー傾向に持っていく事が多い。
これは路面が低μ傾向、かつタイヤのグリップ自体が低いため、フロントとリアの両方に荷重を分担しないと、車自体がグリップしないために真っ直ぐ行ってしまう。そのため進入で強い前荷重を使えず、頭が入りにくいのでこういったセッティングになっている。
FIA-GT3やスーパーフォーミュラで2013年まで使われたSF13は基本セットアップがこのような仕様のため、日本人ドライバーがとことん苦労していた。逆にドリフトからステップアップした関係で、このようなリアで操舵するセットアップに慣れていた谷口信輝は、あっさりとZ4 GT3のポテンシャルを引き出したのは有名な話。
WTCCに至ってはワンメイクタイヤのローグリップさも影響し、日本式の「ブレーキを残して進入」がご法度とされているほど。FF車が多いのもあり、車は強オーバーに作っておいて、アクセル踏んで止めるというレベル。
アンダーオーバー
最初はアンダーステアだが、しばらくすると急にオーバーステアに転ずる最悪のハンドリング。リバースステアとも。
- 原因は強アンダーで、アンダーが出たまま速度が落ちると、フロントがいきなりグリップしてフロントタイヤの向いている方向に車が向き始める。
そのため最初のアンダーの対処のために過剰に切られた舵のせいで、フロントタイヤが急激に切れ込みリアが吹っ飛ばされるようにオーバーに転ずる。いきなりオーバーになるのでスピン・クラッシュに直結しやすく、しかも最後のオーバーのイメージが強いために、セッティングの対処を間違えやすい。
- 特にRRはフロントに加重を掛けにくくリアが重いため、
荷重が足りないまま曲がろうとする→アンダーステア→アクセルから足を離して(ブレーキを踏む)ハンドルをこじる→グリップ力が回復→オーバーステア→リアが重いため強烈にリアが振り出す(スピンorクラッシュ)
という負の連鎖を引き起こしやすい。きちんとブレーキで荷重を乗せ、アンダーが出ないように走れば起こることはまず無い。
プッシングアンダー
アンダーステアの一種。RWD車特有の症状。
- 旋回中にトラクションをかけることで荷重がリアに移動し、フロントから荷重が抜けるため発生する。フロントがリアに押されるためプッシングと呼ぶ。
フロントの荷重が抜ける前にリアのグリップが限界を超えるとパワーオーバーとなる。
- LSDを装着すると発生しやすくなる。また重量配分がリア寄りになりやすいMRやRRも発生しやすい。
この特性を生かして、オーバーステアが発生しそうなときに一瞬だけトラクションをかけてニュートラルに戻すテクニックもある。特に前荷重でオーバーステアになりやすいリアエンジン車で有効。
パワーオーバー
オーバーステアの一種。ハイパワーのRWD特有の症状。
- エンジンパワーがリアタイヤのグリップ力を上回ることでリアタイヤが空転し、オーバーステアが発生する状態。
- ドリフト(パワースライド)に持ち込む手段の一つ。
手アンダー
アンダーステアの一種。疲労などによりステアリング操作が遅れることによって発生するアンダーステア。
- 疲労がたまった状態で発生するため、対処が遅れて大きな事故につながりやすい。適度な休憩をとることが重要。
ロールアンダー
ロール角が大きすぎることによって発生するアンダーステア。
- ロール角は増えていくと、ある一点から下向きに力が加わらなくなり横方向への力が増大する。これによってアウト側へ膨らんでしまう。
対処法としてはコーナー手前でしっかりと減速したり、サスペンションを硬めにしてロールしにくくする方法がある。
フリクションサークル
加減速を縦軸、旋回力を横軸にタイヤのグリップ力を表した図表。摩擦円(まさつえん)とも。
- タイヤのグリップ力を停止時を0として、縦方向(加速または減速)に100%使えば横方向(旋回)能力は0%となり、
横方向(旋回)に100%使えば縦方向(加減速)の能力は0%となる。
この縦横の割合の和が全方向で100%になるように結ぶとタイヤのグリップ限界を示す円が描かれる。
- ちなみにこれは真円ではなく縦(前後)に長い楕円になっている。タイヤによって縦横のバランスが違い、これを感じ取れるようになれば一流ドライバー(伝統的にヨコハマタイヤは横が長く、ブリヂストンは縦が長い傾向があるとか)。
バーンナウトとも言われる。
主にドラッグレースで使われる、スタート前に意図的にタイヤを空転させること。
- これによりタイヤが溶けて路面に付き、スタート時のグリップ力が上がり、スタートダッシュが可能。
タイヤの持久力がとてつもなく下がるため、普通のレースでは使われない。
ものすごいタイヤスモークを上げられる為、ドラッグレース以外でもバイクレースのウィニングラン中や、NASCARのウィニングパフォーマンスでモクモクさせるのはおなじみの光景ではある。
- FR車では一応ホイルスピンをブレーキで止める事で停止状態でリアのみ回せるのだが、ブレーキの負担を考え、フロントの油圧のみロックさせることが出来る「ラインロック」というシステムを導入した方が無難。前述のバイクはフロントリアのブレーキが独立、NASCARはウォールにフロントを当てる事で特に特別なことをせずに停止状態で回せる。
- FF車はもっと単純にサイド引きっぱなしでクラッチをつなげばOK。4WD車はフロントかリアを切り離せる車以外では通常出来ないため、ウォームアップランの時にあえてホイルスピンの多いスタートを行って代用しないと駆動系が即終了する。
- D1グランプリでも、競技区間が数コーナー、中には助走区間自体超短距離と、タイヤを暖めるのが難しいために、バーンアウトで暖める選手もいる。
ステアリングブレーキ
操舵輪の方向と実際に車体が進む方向にギャップがある為に生じる現象についてまとめて記述する。
構造力学的な説明は手に負えないため、二次元ベクトルに単純化してみる。
- 回転する操舵輪が進もうとする(方向と)速度をA→(アローA)、実際に車体が進む(方向と)速度をB→とする。
レール上を走る物体であれば(B→-A→)=0となるが、タイヤと言う有限のグリップを持つ自動車では様々な要因により必ずこの二つには差が発生する。このベクトルの差をC→=(B→-A→)とする。
- この時、A→とB→の間に生じる角度をスリップアングルと呼ぶ。
A→に対してB→が、旋回方向に対して外側に向いている状態をアンダーステア、内側に向いている状態をオーバーステアと呼ぶ。
- ただし、ドラテクを語る際に、スリップアングルと挙動に関しての呼称が厳密に一致しない場合も多いので注意。
- また、C→が生じると言うことは、タイヤはその反力 -C→の抵抗を受けると言うことである。C→は必ず進行方向への向きを持つため、-C→は必然的に車体を減速させる向きとなる。この-C→によって発生する減速効果を通称ステアリングブレーキと呼ぶ。
- +C→の大きさは、挙動がオーバー・アンダーにかかわらずスリップアングルが大きい程大きくなる。これが「ドリフトは角度を付ける程遅くなる」原因である。
また、弱アンダーで走る場合も、アンダーステアが強くなるほどコーナリングでの減速が強くなるため、スリップアングルを少なくするほどコーナーを早く抜けることが出来ることがわかる。
- また、旋回中に減速するとフロントが流れるか巻き込むか挙動が極端になる。アンダーステアからの切りすぎもオーバーステアからのカウンターの当てすぎも、ステアリングブレーキがステアリングブレーキを呼び最終的には収拾が付かなくなるので注意しよう。
サーキット用語
R アール
コーナーの曲率半径のこと。Rが小さいほど急なカーブである。
- 例えば、鈴鹿サーキットにある「130R」はコーナー半径が130mだったことに由来している。
現在は85R・340Rの高速複合コーナーとなっている。
エイペックス Apex
コーナーの頂点のこと。
クリッピングポイントと混同されがちだが前者の位置はコーナーに対して一点であるのに対し後者はドライビングによって位置が前後することがある。
道路の曲線部において、外側の路面を内側よりも高くすること、またはその高低差のことである。バンクともいう。
- コーナーの通過速度を上げるために設定される。
インディアナポリス・モータースピードウェイのものが05年にF1で起きた事件もあって有名だが、あそこは9度しかなく、オーバルトラックの視線からはバンク角が無いトラックの一つである。
ほとんどのコースがインからアウトまで一定角のバンクにしているが、一部のトラックはイン側24度、アウト側28度といったように、外側に行くほど高くしている所もあり、これは「プログレッシブバンク」と呼ばれる。これを作る理由はアウト側に行くほど走行距離は増えるが、バンク角が増えるために曲がりやすくなり、ラインの多様性を増やすためである。
- もちろんコーナーの通過速度を下げるために逆角度(内側高く、外側低く)にされることもある。その場合は"逆バンク"などとよばれる。
- 鈴鹿サーキットの第4コーナー(通称逆バンク)が有名だが、あれは"目の錯覚"であり実際は逆バンクではない(カント0度)。
サルトサーキットのユノディエールシケインの出口付近に正バンク→逆バンクという罠があるのだが、あれはストレートが一般道で、水を外に流すためにセンターラインを頂点とした山となっているためである。
グラベル
フランス語で未舗装路のこと。コース外やダートコースを指す場合が多い。
- 新しいサーキットを中心に、グラベルを廃し、広い舗装ゾーン(ランオフエリア)を設けるサーキットが多い。富士スピードウェイの1コーナー先の広大なランオフが有名。
- これは車体の軽量化と共にグラベルの上を跳ねてしまい減速させにくくなってしまったのと、フォーミュラカーなどのオープンシーターでは横転時にロールバーが砂に埋まってしまい、ヘッドスペースが無くなってしまう危険があることが上げられる。
また、横転しなくともグラベルでスタックしてしまいリタイアという寂しい展開を防ぐというのもある(FIA直轄のレースでは、オフィシャルやチームクルーの力を借りたら失格裁定になることが多い)。
2輪レースではグラベルに引っかかるとマシンが跳ね上がってしまい大惨事になりやすいが、逆にランオフの場合硬い地面に叩き付けられるためにドライバーへのダメージが大きくなる、そして人間は舗装路面では滑ってしまい、全然減速せずにフェンスのラバーに叩きつけられるという逆効果も存在する。そのため鈴鹿サーキットでは舗装部分を若干多くし、その外にグラベルを設ける「ハーフ&ハーフ」と呼ばれるコース外周部を持つ。
シケイン
ストレートに置かれたS字状の急コーナー。
- 速度が出過ぎないようにする安全上の施策。 サルトサーキットのユノディエールにある2つのシケインや、モンツァ・サーキットの第1シケイン、鈴鹿サーキットの最終シケインが代表格。
- あまりに遅くて速いマシンの邪魔になってしまうドライバーは"走るシケイン"と揶揄されることも。現実では'92年にF1に参加していたジョバンナ・アマティ選手がそう呼ばれていたらしい。
ターマック
フランス語で舗装路のこと。
- 主にラリー競技で舗装路コースをさすことが多い。逆はグラベル。
- ちなみにサーキットはターマック舗装(一般名:タール・マカダム舗装)ではなくアスファルト舗装が通常なので、サーキットのことをターマックとは呼ばない。
が、ラリーではコンクリート舗装を走ってもターマックラリーである。ウェットのコンクリート路面は氷上並にグリップしないので、ほぼグラベルみたいなものなのだが。
μ (ミュー)
路面の摩擦係数のこと。
雨や雪の路面は摩擦が少ない(これを「μが低い」などという)などの説明に多用される。
縁石
コーナーにある縞々の石のこと。本来の役割はコーナーの目印。
色は赤白の場合が多いが、最近は青白だったり橙白だったりと鮮やか。
縁石があると見せかけて、実はペイントという場所もあったりする。
- 高いものから低いものまで様々な縁石があり、乗れる縁石と乗れない縁石がある。
- 基本的に高いものは姿勢を崩したり足回りを壊す危険があるため乗らないことが推奨される。
- 現実では雨天時には乗らないのがセオリーとされる(縁石は普通の路面より滑りやすくなっていることが大半のため)。
- また、乗れる縁石には積極的に乗ることで、イン側では外側タイヤの面圧を上げ、アウト側ではカントが一時的に大きくなったような作用を与える事が出来る。
複合コーナー
大きさの異なる複数のコーナーで構成されているコーナー。
- 代表的なのは、鈴鹿サーキットにあるスプーンコーナー、富士スピードウェイの後半セクションなど。
GT SPORTに関する技術
物理ベースレンダリング
High Dynamic Range / ハイダイナミックレンジ
ワイドカラー
GTSPORTより対応した映像規格。
一般的な色の規格sRGBよりも64%色域が拡大されたとしており、これにより従来のsRGBでは再現のできなかったフェラーリ車の色やマクラーレン車の色の再現が可能になったとされている。
environment mapping
3DCGでのマッピングの手法で、風景の映り込みを再現する手法である。
擬似的ではあるが、計算量が少なくて済むので、ゲームのようなリアルタイム処理に適している。
初代グランツーリスモ(1997年)に先行的に採用された技術で、そのグラフィックの美しさが世界的に話題となった。
単位
長さ
長さの物理単位である。
以下、各種の長さの定義がある。
m メートル
国際単位系(SI)における長さの物理単位であり、7つあるSI基本単位の一つである。
元々は地球の赤道と北極点の間の海抜ゼロにおける子午線弧長の1/10,000,000とされたが、
現在では「メートルは、1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである」(1983年第17回国際度量衡総会決議)と定義されている。
グランツーリスモでは1/1000倍にあたるm(ミリ)を付したmm(ミリ・メートル)や、1000倍にあたる k(キロ)を付したkm(キロ・メートル)も使用している。
1km=0.62137mile
mile マイル
ヤード・ポンド法における長さの単位である。いろいろな種類があるが国際マイルが通常用いられる。
2歩分の長さに相当するパッスス("passus")の1000倍の"mille passus"がマイルの由来とされている。
現在では、「1国際マイル=1760国際ヤード=1609.344m」と正確に定義されている。
速さ
一定時間あたりに進む距離のことを指す。移動距離÷経過時間 で求めることができ、時速、分速などの組立単位が用いられる。
なお、物理学で言う「速さ」とは“大きさ”のみ(スカラー量)で向きを考えないが、「速度」は“大きさ”と“向き”を持ち(ベクトル量)、明確に区別される。
km/h キロメートル毎時
1時間あたりに進む距離をkmで示したもの。
日常会話では「時速~キロメートル(キロ)」と表現される。
1km/h=0.62137mph
mph マイル毎時
miles per hour
1時間あたりに進む距離をmileで示したもの。
1mph=1.609km/h
rpm 回転毎分
revolution per minute
回転する物体が一分間あたりに何回転するかを表す単位。
モータースポーツの世界では、特筆しなければクランクシャフトの出力軸の回転数を示す。
同義・ほぼ同義で使われる用語
- レブ
- 回転
- ケイデンス(サイクルスポーツにおけるクランクの回転数)
馬力
仕事率、工率の単位である。
仕事率とは単位時間内にどれだけのエネルギーが使われている(仕事が行われている)かを表す物理量である。
以下、各種の馬力の定義がある。
kW キロ・ワット
仕事率(馬力)の国際単位「W(ワット)」の1000倍にあたる「k(キロ)」を付したもの。
1ワットは、1秒当たり1ジュール(J)の仕事率(ジュール毎秒(J/s))と定義されている。
1kW=1.36PS=102kgf.m/s
HP
horse power (ホース・パワー)
仕事率(馬力)の単位で、HPは英馬力と呼称される。
GT SPORTでも使われているPS(下記参照)とは少しだけ異なる。
1HP=0.74569987158227022kW=550lbf.ft/s=76.040225kgf.m/s=1.0138686PS
PS
Pferdestärke (プフェルデシュテルケ) ドイツ語
仕事率(馬力)の単位で、PSは仏馬力と呼称される。
元々は馬一頭の持つ力(継続的に荷を引っ張る際の仕事率)を1馬力と定めたものであった。
本来ならば1PS=735.49875ワットだが、現在の日本では「1仏馬力=(正確に)735.5ワットである」(計量単位令第11条第2項)と定義されている。
国際法ではkwが正式な仕事率単位だが、未だに慣れずに馬力で呼んでいる皆さんは多いはず。
1PS=0.7355kW=75kgf.m/s
トルク
ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸のまわりの力のモーメントである。一般的には「ねじりの強さ」として表される。
以下、各種のトルクの定義がある。
N.m ニュートン・メートル
トルクの国際単位
1ニュートンメートルは、「ある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント」(計量単位令による)と定義されている。
kgf.m キロ・グラム・フォース・メートル
トルクの単位で、重量キログラムメートルの意味である。
1kgf.m=9.8N.m
MJ メガ・ジュール
ジュールの1,000倍の値であるが、WECのLMP1HおよびF1のパワーユニットの1周回辺りに定められた(LMP1Hでは事前に申請した)回生・放出量を表す言葉としても使われる。
よく勘違いされるのだが、一般的にレギュレーションで「8MJ」と記されている場合、「1周回あたりに回生・放出できるエネルギー量の上限が8MJまで」という意味であり必ず8MJのパワーを得られるというわけではない。例えば2017年式のポルシェ919はWECスパの決勝では「平均6.0MJ+α」ほどの回生・放出量で走行していたとのこと。
その他
Cd(値) 空気抵抗係数
ある部分に風を当てて、どの程度スムーズに空気が流れるかを示す係数。係数なので速度には影響されない。
- 空気抵抗はこのCd値に前面投影面積を掛けたもの。
- Cd値計測のために風洞実験をするとき、大きさは違っても形が同じならばうまく値を測れるため、縮尺模型で風洞実験をすることがある。
- 値が低ければ低いほど、空気抵抗が少ないと言える。
CL(値) 揚力係数
揚力とは、風などの流れの中に置かれた翼や板に働く力のうち、流れの速度方向に対して鉛直上方に働く力のこと。
リフトフォースとも言い、下に押し付ける力であるダウンフォースとは逆の上に浮かす力のことである。
揚力係数は、この揚力をはかる指標の一つ。
翼や板の角度(迎角)が小さくなると、揚力係数は大きくなり、逆に迎角が大きくなると、揚力係数は小さくなる。
迎角を極端に大きくする(揚力係数が極度に小さくなる)と、抗力(流れの速度方向に対して平行逆向きに働く力)が増大し、失速(航空機においてはストール)状態となる。
一般的には航空機の分野で見かけることが多い用語だが、モータースポーツにおいても、抗力と揚力とダウンフォースのバランス調整という点で、重要な要素の一つである。
CYM(値) ヨーイング・モーメント・係数
さまざまな方向から風を受けた時に、車体の中心軸周辺に発生し、直進性を妨げ回転(空力なので旋回の事では無い)させようと作用する力のこと。
ヨーモーメントと表記する時もある。
Electronic Stability Program
日本語に訳せば"横滑り防止機構"でメーカーごとに様々な呼称がある。三菱のASCもこれにあたる。
GTシリーズにおいてはドライビングオプションに類似項目が存在する。
OverHaul
エンジンを解体したりする事。
一般的にオーバーホールといった場合は、機械の分解清掃全般を指すものであり、これは特にクルマ関係に限ったことではなく工業関係では普遍的に使用されている。
Power Weight Ratio / 出力重量比、馬力重量
自動車などの動力性能のうち、主に加速能力を表す指標として用いられる比率である。
"重量÷出力(馬力)"で求められる。基本的に数値が小さいほど優れていることになる。
バブル期は自社の車の高性能を示す為国産メーカーはこぞって公表していた。今ではほぼ目にしない。
- 1980年代のターボ全盛期のF1マシンはPWR0.5前後(約600kg:約1200ps)だったと言われている。
VCD バリアブル・センター・デフ
Variable Center Deff
4WD車において、駆動特性を変える事ができるセッティングパーツのこと。
カンスト
カウンターストップの略称。主に数値の上限に達した時に使われる。今作はGT6と比べて基本的な獲得賞金が少ないため、所持金の上限に達するに時間がかかる。
ちなみに、今作における所持金の上限はGT5と同じCr.2,000,000,000(20億)、マイレージポイントの上限は99,999ポイントである。
コンペティション
Competition
「競技」を意味する英語。
イタリア語では「コンペティツィオーネ」と呼ばれ、そちらも使用頻度が高い。
いずれも、市販車を改造したレースカーという意味で車名に冠せられる場合が多い。
パッド
ゲームパッドの略称。
ゲーム機用コントローラの中で手で持って操作するタイプの物を指す。
PS4においてはDUALSHOCK4やPS4用社外品コントローラ全般が当てはまる。
ハンコン
ゲーム機用コントローラの一種であるハンドル型コントローラの略称。
GTシリーズのみならず車を運転する類のゲームに用いられており、手でハンドルやシフトを操作し、足でアクセル、ブレーキ、一部のハンコンに限りクラッチを操作することが出来る。
いわば実車のように運転できる。
詳細は対応ハンコンを参照のこと。
ホモロゲーション
しばしば「ホモロゲ」と略される。
FIAなどが主催する公認レースに出場する車両に課せられる厳格な規定である。
各グループごとに生産台数、エンジン排気量、車両改造範囲などが定められている。