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テキスト【第四章】 Edit

惑星(ほし)や宇宙(アストロ)などの特殊な読みの単語は()をつけてあります(通常の読みのときはなにもつけていません)。
ネタバレの恐れがありますので、注意してください。
(見出しは仮の名前です。変えてもらって構いません)

次の目的地 Edit

【ガンタイ】
ショチョー、邪魔するぞ。

【クイーン】
ショチョー、バイトはかどっとる?

【ショチョー】
お、あんたらまだ生きてたか。
っと……また新顔か。見る度に増えるな。

【マリア】
初めまして、マリアと申します。
それで、ええと……。

この方は、ショチョーさんなのに
雑貨屋のバイトさんなのですか?

【ショチョー】
あー……
なんかもう、説明するのもめんどくさいわ。

【シンイリ】
まー、あだ名みたいなもんですよ。
気にしないであげて下さい。

【マリア】
はぁ……そうなんですね。
わかりました。

【ショチョー】
それで、なんの用だい?
世間話に来たってわけじゃないだろう。

【ガンタイ】
ああ、実はな……。



【ショチョー】
なるほどねぇ……。

【ガンタイ】
それで、なにかそれらしき情報はあるか?

【ショチョー】
ファンシーなカッコしたちっちゃい子でしょ?
ならわりと、目撃情報があるよ。

【ガンタイ】
本当か!?

【ショチョー】
なにやらでっかいサメを担いで
廃ビル群へ向かっていったとか……。

【マリア】
きっとそれですよ!

【ショチョー】
あとは畑で暴れていたとか、
勝手に売り物を喰い散らかして逃げたとか、

通行者のスネを蹴ってコケさせたりとか。

【シンイリ】
……わかりやすく自暴自棄になってますね。

【マリア】
見つかるか不安でしたけど、
結構目立っているようですね。

【クノイチ】
修行が足りんでござるな。

【クイーン】
それはアンタの話やろ。

【クノイチ】
ご、ござるぅ……。

【ガンタイ】
しかし廃ビル群か……
こちらも準備を整えたほうがいいかもしれないな。

【ショチョー】
そうこなくちゃね。
ま、いろいろ揃ってるから見てってよ。

【ガンタイ】
よし。では、準備が済み次第
廃ビル群へ向かうぞ!

囚徒街の会話 Edit

【マリア】
早く……早くヒメを追わないと。

【ガンタイ】
まあ、そう焦るな。平静を保たねば
ちょっとしたミスが命取りとなる場合がある。

【マリア】
ですが……!

あの子は今、孤独に苦しんでいます。
わかるんです。わたくしには……。

【ガンタイ】
それが何故かは……。

【マリア】
はい……
今は、聞かないでおいてもらえると。



【クイーン】
き、気まずい……
なんやの、このシリアスな空気?

【クノイチ】
う、うむぅ……。

【クイーン】
あああ、ダメや……
ウチ、こういうの耐えられへんねん!

アンタら、なんとかしてぇや!

【クノイチ】
なんとか……と言われても。

【クイーン】
こう、あれや。
なんか、冗談を言って場を和ませるとか!

【シンイリ】
そんな唐突な……無茶ですよ。

【クイーン】
そうは言うても、
なんかあるやろなんか、ほれ!



【シンイリ】
うーんと……そうだ! マリアさん、
ジャンヌさんとはどんなご関係で?

【マリア】
……元、同僚といったところでしょうか。

【シンイリ】
ってことは、刑務官だったんですか?
ショチョーさんと一緒ですね!

【マリア】
いえ、わたくしは……。

…………すみません。
今はまだ、これ以上は。



【クイーン】
シ・ン・イ・リぃ〜〜〜!

【シンイリ】
うえぇ〜……なにをどう切り出しても
地雷原みたいなもんじゃないですかぁ。



【クノイチ】
あ、ああ。そういえば!
ガンタイどのは戦いに詳しいでござるが。

以前はどこかの部隊に
所属されていたのでござるか?

【シンイリ】
あ、それはわたしも気になってました!

【ガンタイ】
いや、自分は……。

【シンイリ】
あ……すみません
答えづらいのでしたら。

【ガンタイ】
……すまない。

【マリア】
…………。



【クイーン】
悪化させてどないすんねん!!

【クノイチ】
な、なにゆえぇ……。



【シンイリ】
え、えーと、マリアさんは
趣味とか特技とか、そういうのはないんですか?

【マリア】
特技、ですか……?

【シンイリ】
ほ、ほら! これから一緒に
この惑星(ほし)を脱出する仲間なんですから。

みんな、なにかと言いづらいことも
あるとは思いますけど、

少しはそういう情報を
共有できたらなあ……とか思いまして。

【マリア】
なるほど……それもそうですね。

趣味はあまりありませんが……特技なら。
立ったまま眠ることができる、とかでしょうか?

【クイーン】
えーっと、コメントしづらい特技やね……。

【マリア】
あっ、他には目を閉じていても気配だけで戦える、
などといったこともできます。

【ガンタイ】
それは……ライフルでか?

【マリア】
ええ。ある程度ならなにも見ずに狙撃できますよ。

【シンイリ】
えっと……え?

【マリア】
わたくし、生まれつき視力が弱いものでして……
特殊なメガネが無ければほとんど見えないのです。

【シンイリ】
ってことは、ほとんど見えていない状態で
わたしたちと戦っていたんですか!?

【マリア】
まあ。お恥ずかしながら
……そうなりますね。

【クノイチ】
な、なんと……。

【クイーン】
しっかし特技ねぇ。

【ガンタイ】
クイーンは?
なにか隠し芸くらい持ってそうだが。

【クイーン】
んー、そやねぇ。
この指のテクニック、とか?

【シンイリ】
い、いやらしいですっ!

【ガンタイ】
すごいな。指が別の生き物のように
わきわきと動いているぞ。

【シンイリ】
お姉様っ! ダメです、眼がけがれます!

【クノイチ】
こ、これは……。

【クイーン】
試してみるー?

【シンイリ】
ダメーッ! 絶対禁止ぃー!!

【クイーン】
冗談、冗談やってば。

【シンイリ】
もう、あなたが言うと
冗談に聞こえないんですよ……。

【マリア】
ふふっ、みなさんは本当に賑やかで前向きで……
わたくしも、しっかりしなくてはいけませんね。

【シンイリ】
マリアさん……。

【マリア】
ところで、シンイリさんは、
なにか特技をお持ちなんですか?

【シンイリ】
あ、わたしはジャグリングとか得意ですよ、ほら。
ほいほいっと。

【クノイチ】
おおっ、お見事でござるな。

【クイーン】
へぇ、器用やなあ〜
……って、それ爆弾やないかい!

【ガンタイ】
ははは、クイーンは大げさだな。
もちろん爆発しないやつだよな?

【シンイリ】
いえ、落としたら普通に起爆しますよ?

【クイーン】
今すぐやめええええい!!

【シンイリ】
えー、スリルがあって楽しいのにぃ。

【マリア】
たしかに刺激的ですね。

【ガンタイ】
まあいいんじゃないか? マシンピストルで
ロシアンルーレットをするよりは安全だし。

【シンイリ】
それはゲームにならないのでは……。

【クノイチ】
某は時々、ガンタイどののことが
恐ろしくなるでござるよ……。

【クイーン】
くれいじーやでほんまに……。

ああもう、はよ行こ。
こんなヘンタイの話には付き合ってられへん。

【クノイチ】
準備はできているでござるよ。

【マリア】
ヒメ……待っていてくださいね。



【ガンタイ】
えっと、その……
場を和ませる冗談だったんだが。

【クイーン】
おーい、置いてくでー。

【ガンタイ】
くっ……
誰にもわかってもらえなかった。

廃ビル Edit

入り口での会話 Edit

【ヒメ】
うぅ……ぐすっ。
どうしてこんな……。

優しい母上や、姉妹達が迎えに来てくれるのだと
ずっと信じて……ずっと、楽しみにしてきたのに。

わらわもいつか、退屈なこの惑星(ほし)から出られると
そう思っていたのにっ……。

《回想》

【ジャンヌ】
『――後期指揮官型強化カハヴ《タイプ・ベータ》』

【ヒメ】
『違う――』

【ジャンヌ】
『――《ゆりかご》によって造られた存在』

【ヒメ】
『嫌じゃ――』

【ジャンヌ】
『――与えられた役割をこなすだけの《玩具(おもちゃ)》』

【ヒメ】
『わらわは――!』

《回想終了》

【ヒメ】
今まで信じていたもの全てが
ニセモノだっただなんて……。

ジャンヌ……ずっと一緒だったのに。
信じていたのにっ……!

胸が、痛いのじゃ……
わらわは独りぼっち、いったいどうすれば?



【シンイリ】
この中にいるんですかねー。

【ガンタイ】
わからん。だが
とにかく探してみるしかないだろう。



【ヒメ】
ひぅっ!?
あ、あの声は確か……!

や、やはり……あやつらは
ジャンヌを倒した囚徒ども!

なぜこんな場所に……まさか、
わらわのことを始末しにきたんじゃ?

あわ、わわわわっ、殺される!
一刻も早く、逃げねばっ――

わっ!?

【クノイチ】
……ッ! いたでござる!

【ヒメ】
み、みつかったっ!?

【マリア】
ヒメ!

【ヒメ】
く、くるなあーっ!

もういやじゃああああ!
なにもかも……うわあああああ!!

【ガンタイ】
っ……上へ逃げたか。

【シンイリ】
いきなりヤバイもんぶっ放しやがって……
お姉様が怪我でもしたらどうするんですか!

【クイーン】
いやいや、アンタのほうがよっぽど
普段からぶっ放してるやんけ。

【シンイリ】
わたしはちゃんと考えて爆破してますもん!

【クノイチ】
……じーっ。

【シンイリ】
なんですか、その疑いの眼差しはっ。

【マリア】
あの子……泣いていましたわ。

きっと、今はなにも信じられなくて……
周りが全て敵に見えているのでしょう。

【ガンタイ】
……信じていた者に嘘をつかれていたのだからな。
胸をえぐるような痛みに、戸惑っているのだろう。

…………。

【シンイリ】
お姉、さま?

【ガンタイ】
(っ……いけない。
 私としたことが、また感傷に)

なんでもない……
今はとにかく、ヒメを追いかけよう。

サメさんの秘密 Edit

【シンイリ】
しっかし、あのちびっこ。
小さいのにえぐい武器を所持してますよね。

【クノイチ】
自分の身長ぐらいある重火器でござるからな。

飛び道具の威力からすれば、
ガンタイどのや、マリアどのより上でござろう。

【ガンタイ】
ああ。そして錯乱している今、
ある意味ジャンヌより手強いかもしれない……。

【クイーン】
ピンク色のドールを欲してたように、
見かけはファンシーなもんやけどなー。

【シンイリ】
あの武器もどこかオモチャっぽいですしね。

【マリア】
実はアレはただの武器としてだけでなく、
またがって空を飛ぶ遊具としても使えるとか……。

【ガンタイ】
なん……だと……!?

【シンイリ】
ああ、ああ。まあ……
身軽そうだし乗れる……んでしょうね?

【クノイチ】
空飛ぶカラクリ……
少し、羨ましいでござるな。

【クイーン】
しかし、それはそれで
奇妙な光景やで……。

【マリア】
お城でジャンヌといるヒメはわたくしから見ても
幸せそうで、とても無邪気に笑っていました。

ですが、今はそれも……。

【ガンタイ】
とりあえず、冷静さを取り戻してやらねばな。
笑顔はその後だ。

音を頼りに、引き続き進むぞ。

プロフェッショナル Edit

【クイーン】
っ! 見えたで、ガンタイ!
あそこに――

【ヒメ】
うっ……? わぁああん!
来るなぁああああ!!

【クイーン】
って……ちょ!
むやみやたらにぶっ放してからに。

このビル、崩れたりせんやろな?

【シンイリ】
まーこれくらいなら
なんとかセーフって感じじゃないですかねー。

当たり所が悪く無ければダイジョブです。

【クノイチ】
限りなく、アウトに近い臭いがするでござるが……。

【ガンタイ】
フムン。そもそもここの建物が、どれくらいの
時代の物なのかがわからんからな。

【マリア】
柱もしっかりしていますし、
問題ないのでは?

【シンイリ】
そもそも、本当に倒壊させたかったら
もっと精密に計算した爆発が必要ですよ。

こんな雑な衝撃じゃせいぜい
ちょっと傾くくらいのもんです。

【ガンタイ】
まあ。プロフェッショナルのシンイリが
そう言うなら、そうなんだろうなあ。

【クイーン】
それでも充分に危ないと思うのは
ウチだけなんやろうか……。

【ガンタイ】
昔辺境の惑星で軍事施設の倒壊する現場に
居合わせたことがあったが、あれは圧巻だった。

【マリア】
あら、もしかしてオルベランの?

【ガンタイ】
そうそう。なんだ、マリアも知っていたのか。

【マリア】
わたくしも、あの時あそこにいたんですよ。
なんというか、懐かしいですね……。

【シンイリ】
わぁ、いいなあ!
わたしも見てみたかったです。

【クイーン】
和やかな雰囲気やのに
その実、結構えげつい会話しとるな……。

【ガンタイ】
まあ戦場に比べればこの程度、
どうということはないさ。

【マリア】
ですね。
それよりも早く、ヒメを追いかけないと。

【クイーン】
ぶわ!? 危なっ……!!
アンタら、なんでそんな涼しい顔してんねん!

やっぱあんたらの過去、めっちゃ気になるわ!

【クノイチ】
……あまり詮索しないほうが
身のためでござるよ。

【クイーン】
そう言うアンタも、充分気になるけどな……。

気長に待とう Edit

【マリア】
ヒメ……
まだあんなに撃ち続けて。

内に溜まった、やりきれない
心の悲鳴みたいですわ……早く助けてあげないと。

【シンイリ】
マリアさん、
なんだかとても必死な感じですね。

【クイーン】
……言うとくけど、ウチはアンタのこと、
まだ信用してへんからね。

【マリア】
えっ?

【クイーン】
ジャンヌとも顔見知りみたいやったし、
なんかまだ隠してるんとちゃう?

【マリア】
そ、それは……。

…………。

【ガンタイ】
やめろ。前にも言っただろう?
皆、誰にでも言いたくない秘密はある。

【クイーン】
わーっとる。
わーっとるわ。けど……なぁ?

【ガンタイ】
だが、それがカハヴというものだ。
それに今はもう仲間なのだから、信じよう。

【クイーン】
仲間、ねぇ?

【マリア】
……すみません。

もう少しだけ、お待ち下さい。
時が来ればいずれ、全てをお話しますので。

【クイーン】
フン……
なら、気長に待つとしよかー。

普段のショチョー Edit

【マリア】
ところで。雑貨屋さんのショチョーさんは、
普段なにをしているのでしょう?

【クイーン】
なんやの? 藪から棒に。

【マリア】
いえ……なにか別のことをと考えたら
どうにもあの方が気になってしまって。

【シンイリ】
まあ、なんていうか。
絵に描いたような熱血刑務官だったんですが。

【クノイチ】
少し前に、町でジャージ姿なところを
見かけたでござるな。

【ガンタイ】
自分たちにはうっかり話してしまっていたが、
皆に隠していたはずなんだがな……。

【シンイリ】
あんな気を張り詰めるような刑務職をクビになって
吹っ切れたところがあるのかもしれないですね。

【クイーン】
しっかし、運命的な苦労性やね。

休憩中でも、客が来たら丁寧に対応してそうやわ。
クレーム出たら、膝と頭を床につけたり……。

【クノイチ】
伝説の謝罪作法『ド・ゲーザ』でござるか……。

そのようなカハヴならば、ハラキリといった
究極の責任取りすらやりそうでござるな。

【ガンタイ】
バイト見習いなのにな。

【シンイリ】
バイト見習いなのに、ですよね。

【マリア】
ふふ。聞けば聞くほど、
面白い方なのですね。

今はまだ、ゆっくりお話出来るような状況では
ないですが、いろんな方と接していきたいです。

【ガンタイ】
……心の雨は、止みつつあるか?

【マリア】
そうですね……冷たくて、酸性雨のように
痛くもありますけど、

少しずつですが、
世界に光が差しこんできた心地です。

だから……あの子も必ず。

VS ヒメ Edit

【ヒメ】
ひっ……!?
お、おまえら!

【シンイリ】
さあさあ。
やっと追いつきましたよ!

【クイーン】
まったく……
どこまで登らせるつもりやねん。

【ヒメ】
く、来るな! 来るでない!

【ガンタイ】
無駄だ。ここが最上階。
これ以上は登れないぞ。

【クノイチ】
観念するでござる。

【ヒメ】
あっ、うぅぅ……
いやじゃあああ! どっかいっちゃええ!!

【マリア】
話を聞いて下さい、ヒメ!
わたくしたちは――

【ヒメ】
いやああああ!!

【クイーン】
危なっ!?

【クノイチ】
ふむ……まるで、手負いの獣でござるな。

【マリア】
傷ついているのは、確かなんです。
心が、悲鳴をあげてるんです。

【ガンタイ】
――落ち着け、ヒメ。

【ヒメ】
ぐるるるるぅぅうう〜ッ!

【クイーン】
ほら、な? 青汁飲みぃや。
グビビルンは体にええんやで。

【クノイチ】
それは……
なだめるものとして、どうかと。

【ヒメ】
うぅぅ〜〜!

あんな緑色の汚物は飲み物とは認めん!
みんなみんな、どっかいっちゃええええッ!!

【シンイリ】
あーあ。誰かさんのせいで、
余計にヒステリックになっちゃったー。

【ガンタイ】
どうどう。どうどう……。

【クイーン】
ああん? その言い方、
ウチにケンカ売っとるんかー? シンイリ。

アンタら、ことあるごとに否定するけどなぁ、
あれはなにも悪くないでぇ。至高の飲み物や!

【クノイチ】
味覚が破壊されているでござる……。

【クイーン】
そこ! 聞こえへんように言うたつもりやろうけど
ばっちり耳まで届いてるぇ!?

【ガンタイ】
こっちもどうどう。どうどう……。

【マリア】
今は、なにを差し出してもダメだと思います。
冷静さが欠如しているので。

【ヒメ】
うわぁあああああん!
もう帰れぇええええ!!

【シンイリ】
確かに。
まったく話が通じそうにないですね。

【ガンタイ】
仕方が無い。ここは――

少し強引にでも、おとなしくしてもらおうか!

《暴君の眼》forヒメ Edit

【ヒメ】
いや、いやぁっ!

【ガンタイ】
まだ暴れるつもりか……ならば。

さあ、さらけ出せその心――
失われし鎖の欠片を今、この眼に示せ!!

ヒメが仲間に Edit

【ヒメ】
う、うぅ……なんじゃこれぇ。

【ガンタイ】
落ち着け、悪いようにはしない。

【ヒメ】
ひうっ? うぅ……
うわぁああああん!!

【クイーン】
あーあ、泣かせてもうた。

【シンイリ】
さっきは、あなたが泣かせたくせに。

【ヒメ】
もう……もういやじゃ。
わらわはもうずっと、独りでいい!

【マリア】
ヒメ、聞いて下さい。

【ヒメ】
いやじゃ! どうせ全部嘘なのじゃろう!?
ニセモノのわらわに、居場所なんて――

【マリア】
いいから、聞きなさい!

【ヒメ】
ひっ!?

【ガンタイ】
マリア?

【マリア】
わたくしには、
あなたの気持ちが痛いほどわかります。

【ヒメ】
そんなこと、わかるはずない!
だってわらわは……。

【マリア】
いえ、わかりますよ。わたくしもあなたと同じ――
ゆりかご》によって造られた者ですから。

【ヒメ】
なっ……。

【クイーン】
なんやて……!

【マリア】
わたくしは……強化カハヴ《タイプ・アルファ》。
その中でも、最初期に造られた者です。

もっとも、わたくしはこのウルカではなく、
他の惑星(ほし)で産まれたのですけれど。

【ガンタイ】
それは……ウルカ以外にも
そのような施設がある、ということか?

【マリア】
ええ。わたくしはこのウルカに堕とされる以前は
ずっと、戦場にしか居場所がありませんでした。

与えられた命令になにも疑問など抱かず、
ただ、命を刈るだけの歪んだ玩具(おもちゃ)。

【ヒメ】
……。

【マリア】
けれどそんな玩具(おもちゃ)がある日、
戦いに疑問を感じてしまったんです。

どうしようもない真実を見てしまった玩具(おもちゃ)は
戦うことをやめ、あっさりと捨てられました。

誰からも必要とされなくなり、
生きる意味を求め、戦い、抗い、そして絶望した。

しかし自分で考え、自分の力で生きていくほうが
嘘の中で腐っていくよりずっとよかった。

【ガンタイ】
マリア……。

【マリア】
だから、ヒメ。辛い現実に折れそうになるのは
わかります。ですが――

なにが正しくて、なにが間違っているか。
なにがしたいのか。自分の心で決めなさい。

あなたには、意思を固めるだけの自由がある。
環境がある。希望があるんです。

【ヒメ】
わ……わらわは。

【マリア】
――大丈夫。
あなたはニセモノなんかじゃない。

ヒメというこの世に産まれた大切なひとつの命。
あなたは今、生きているんです。あなたとして。

【ヒメ】
あ……ぅ。

【マリア】
何回も失敗して、諦めかけても、
また何度だって、立ち上がることができるのです。

誰かが隣に、いる限り。
笑顔やぬくもりをくれる限り。

思い出して下さい、ヒメ。楽しい時、悲しい時……
いつもヒメの隣にいたのは、誰でしたか?

【ヒメ】
あっ……。

ジャン、ヌ……。

【マリア】
ふふっ、ほら。いるじゃないですか。
あなたにも、たいせつなひとが。

【ジャンヌ】
ヒメ!

【ヒメ】
っ!? ジャンヌ!!

【クイーン】
なんや、アンタ。結局来たんかいな。

【ヒメ】
ジャンヌ……どう、して……?

【ジャンヌ】
ヒメ……ワタシは
あなたに謝らなければなりません。

ワタシはこれまで、
ヒメにいくつもの嘘をついてきました。

でもそれは……ワタシはただ、
ヒメに悲しい思いをさせたくなかった……。

辛い現実など知らず、ただただ
あなたに笑っていて欲しかったんですっ……。

【ヒメ】
っ……ジャンヌぅ!!

【ジャンヌ】
ただ、ワタシのようになって欲しくは、
なかったのです……それだけだった……。

【シンイリ】
……羨ましいです。
あれだけ誰かに想われてるっていう環境が。

【ガンタイ】
シンイリ……?

【ヒメ】
……そうか。勘違いしておった。
わらわは、

わらわは……独りぼっちでは、
なかったんじゃな。恵まれていたのじゃな。

これから、どうしたいか……
どうするべき、なのか。

…………。

よし。わらわは決めた。

わらわは……
自分の産まれた場所が見たい!

【マリア】
それは……!?

【ヒメ】
その場所を見てみて、
それで……この惑星(ほし)を出たい!

もっともっと、この広い宇宙で、
自由に飛び回ってみたいのじゃ!!

【ジャンヌ】
ヒメ……。

【ヒメ】
悲しみから産まれた者が、幸せに
なってはいけないという決まりはないものな。

【ガンタイ】
……そうだな。

【マリア】
それも……いいかもしれませんね。
あなたが望むのなら、わたくしは。

ガンタイさん、お願いです。どうかヒメも
一緒に連れて行っては頂けないでしょうか?

わたくし達を産んだ
ゆりかご》の元へ――

【ガンタイ】
なに?

【ジャンヌ】
ワタシからも、お願いします。

【クイーン】
はぁ……
もうよけいな寄り道はごめんやで。

【ガンタイ】
しかし、どのみち因子が
充分に集まっているとは言えないしな。

ちょうどいいじゃないか。
ついでに因子の回収もできるだろう。

【クノイチ】
……某は、異論ないでござるよ。

【シンイリ】
それじゃあ次の目的地、決定ですね!

【マリア】
みなさん……。

【クイーン】
はぁ〜あ。ったく……
しゃーないなぁ。

ウチがパーティのボスやで。
ちびっこ。

【ヒメ】
……礼を言うぞ、皆の者。

よろしく、頼むのじゃ……。

サブイベント Edit

初め Edit

【キツネ】
あ、あのぅ……。

【ガンタイ】
む、どうした?
なにか困っているのか。

【キツネ】
はい……ちょっとお願いがあって。

浮島に、とある宝が
奉納されているのですが。

【シンイリ】
浮島、ですか?

【キツネ】
はい……今はあの浮島まで
行く方法がなくって……。

このカギで開く宝箱の中に、浮島に
行くために必要な道具があるらしいのですが、

なかなかあたしではたどりつけなくて……。

【クイーン】
よしゃウチらが行ったる!
まかしときぃ!

【キツネ】
ほんとうですか!
ありがとうございます!

【ガンタイ】
お宝関係となるとクイーンは
本当に生き生きするなあ。



廃ビルのカギ
を入手した

途中 Edit

向こう側には何があるんだろう……?

終わり Edit

【キツネ】
だ、大丈夫かなぁ……。

【クイーン】
よっしゃ、宝箱や!

【キツネ】
だ、だめぇ!

【クイーン】
な、なんや!?

【キツネ】
きゃー!

【クノイチ】
この禍々しい気はなんでござるか……?

【キツネ】
う、うぅ……。

【ガンタイ】
クイーンを庇ってくれたのか。
だいじょうぶか!?

【キツネ】
へ、平気です……でも、
どうやら呪われちゃったみたいです。

【ガンタイ】
ど、どうすればいいんだ。

【キツネ】
うっ……お、お札を。

このお札を、貼って……。

【ガンタイ】
この札をはればいいんだな!
よっし、貼るぞ!!

【キツネ】
みょーん。

【クイーン】
な、なんや妙な動きしだしたぇ。

【シンイリ】
呪いは解除されたのでしょうか……。

【ガンタイ】
よけいに
ひどくなっているように見えるな……。


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Last-modified: 2013-12-03 (火) 22:33:29 (3826d)