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|>|~分類|>|>|>|~性能|
|メーカー|トヨタ|総排気量|3,400cc|PP|615|
|国籍|日本|最高出力|---PS/---&br;(537PS/10,000rpm)|全長|4,650mm|
|カテゴリ|プロトタイプレーシングカー/FIA-LMP1(([[ハイブリッドカー>車両の特徴#m71c4fd1]]))|最大トルク|---kgfm/---&br;(42.2kgfm/7,000rpm)|全幅|2,000mm|
|モデル|''高品質''|駆動形式|MR|全高|1,030mm|
|ギャラリー|''対応''|吸気形式|NA|車両重量|---kg(900kg)/50:50|
|内装|再現|PWR|1.67kg/PS|TM|6速|
|>|~入手方法|>|>|>|~カスタム/チューン制限|
|ディーラー|Cr.200,000,000|カスタム|>|>|ペイント:不可、ホイール交換:不可、エアロ装着:不可|
|プレゼント|---|チューン|>|>|全項目チューン不可|
//-備考:
-備考:Ver.1.10でフロントのFIA WECロゴがバーコードに差し替え

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#ref(TS030.jpg,nolink)
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-[[トヨタ GT-One (TS020) '99]]から13年、ついにトヨタはル・マンへと帰還する。
…とはいえ収録されたのはWEC仕様であるハイダウンフォースパッケージの方であり、ル・マン専用のローダウンフォースパッケージではないため、帰還という一文は厳密には間違えなのだが勘弁してもらいたい。
車両番号はかつてのTS010(GT6未収録)、TS020からの連番でTS030と名付けられた。
ちなみにロールアウト時は赤/白のカラーリングであったが、本番車は青/白となった。これは後継機のTS040(GT6未収録)でも踏襲されている。
-車体の側面にドライバーマーキングは3人分あり、ル・マン後のWECで3人が揃ったのは優勝を遂げた(後述)第7戦富士スピードウェイのみなので、ドライバーマーキングが正しければ収録されたTS030は2012年WEC第7戦富士仕様であるといえる。
-実質プロトの[[GT-One(TS020)>トヨタ GT-One (TS020) '99]]以来実に13年ぶりとなるトヨタのレーシングプロト。車両番号もTS020からの連番でTS030と名付けられた。
カラーリングは、シェイクダウン時はTS010の36号車に似た赤/白であったが、本番仕様では92年33号車を彷彿とさせる青/白となった。
ダウンフォース量の違いでカウルが2種類用意されており、収録モデルはハイダウンフォースパッケージと呼ばれるタイプである。
ちなみにローはルマン前のスパでテスト投入される場合もあるが、ほぼルマン専用のため、取材はルマンでなく他のサーキットで行われている事が分かる((車体のドライバーマーキングより富士説が有力))。

-今回からは自社で全部担当するのではなく、ライバルアウディのように車両制作とチームオペレーションを分離、それぞれの得意分野を生かす方向になった。
そのオペレーションを担当するのは、昨年まで[[プジョー>908 HDi FAP - Team Oreca Matmut '10]]のサブチームを担当していたオレカである。
-今回からはライバル・アウディのように車両制作とチームオペレーションを分離し、それぞれの得意分野を生かす方向にシフト。
そのオペレーションは、前年まで[[プジョー>908 HDi FAP - Team Oreca Matmut '10]]のサブチームを担当していたチームオレカが担当となった。

-2011年から許可されたLMP1のハイブリッドマシン、ハイブリッドに力を入れているトヨタだけにこれを採用。
各エンジンが検討されたが、自然吸気ガソリンエンジン+モーターという組み合わせをチョイス。
ハイブリッドエンジンは市販車であるプリウスプラグインハイブリッド(GT6未収録)に使っていたリチウムイオン電池ではなく、一度に大出力が得られ、充電も素早い日清紡製キャパシターを使用している。これによる上乗せ分は約250馬力と言われている。
キャパシターは助手席部分に積まれたため、プロトタイプレーシングカーの2座席というアイデンティティが崩壊しているがOKとされた。ライバルであったR18 e-tron quattroも助手席部分にハイブリッド制御システムを積んでいる。
小型軽量である代わりに最大容量に難があるキャパシターだが、トヨタは独自技術で解決。
スーパーキャパシターと呼ばれるそれは、サルトサーキットの56台分用意されたピットレーンを時速60kmを保ちながら端から端まで余裕で運んでいく。
--しかし後年、キャパシターでは充電が一瞬で完了する代わりに、回生ブレーキを効かせにくいという弱点があることが発覚。
2015年を目安に一部をリチウムイオン電池に置き換え回生ブレーキを担当、それでいてキャパシターで瞬発力を引き出すダブルハイブリッドエンジンを搭載するかもしれないと言われている。
-ハイブリッドを採用したがために各所の軽量化にも気が配られており(これはモーターやバッテリーといった電動コンポーネント分の重量相殺のため。)、これには8シーズンにも及んだトヨタF1参戦の技術が総動員されている。
--特に注力されたのがエンジンで、搭載された3.4リッターV8自然吸気エンジンはTS030専用設計。同じくトヨタエンジンを搭載するLMP-1エントリーであるレベリオン・レーシングのローラB12/60のRV8KLM((フォーミュラ・ニッポン(当時)やスーパーGT・[[GT500>ペトロナス トムス SC430 '08]]に搭載された物がベース。耐久仕様ながら軽く10,000rpmを超える領域で使われているとか。))よりも20kg以上軽い100kg以下に抑えられている。
-最大のポイントは、トヨタのプロトタイプレーシングカーとしては初のハイブリッドカーとなっている点である。
搭載された3.4LのV8自然吸気エンジンはTS030専用設計で、ディーゼルエンジンかと錯覚する圧縮比14を達成しつつも、エンジン単体100kg以下という超軽量化を達成。これに日清紡ホールディングスと共同開発した電気二重層キャパシタが組み合わせられた。
これはリチウムイオン電池より一度に大出力が得られ、且つ充電も素早い特性を狙ったもので、コクピット内部の助手席の位置に搭載されている。
通常積まれているバッテリーを廃し、このキャパシタから必要な電力を取り廻して、電力供給を簡略化させているため、ハイブリッドパワーを放出しきったあとにスピンなどでエンジンを止めてしまうと、セルモーターを回す電力を確保できずに再始動不能となるため、スピンモーションに入った瞬間にクラッチを切るという特訓がドライバーに課されている。

-本来は前輪で回生、後輪で放出の予定だったが、モノコック焼結後にレギュレーションで回生と放出は同一軸であることが決まったため、仕方なく後輪のみに作り変えた。
新規のモノコックを作る予算も時間もなかったために、'12モデルのフロント周りにはその名残で無駄な空間が残ってしまっている。
'13モデルはほぼ同一レギュレーションだったのもあり、カウル越しの見た目こそ変わらないが、中身ではこの空間は潰している。
-ただしこのハイブリッドシステム、設計時には前軸回生/後軸放出という予定だったが、モノコック作成後に同じ軸で回生放出を行わなければいけないとされてしまい、急遽後軸のみに切り替えている。
そのためフロント側には回生システム用のデッドスペースが生まれていた。

-とにかくパワーは出せるだけ…のような昔ながらのルマンのイメージで作ったのか、ハイブリッド回りの制御が荒く、ターボ車じゃないのにドッカンターボ的なフィーリングになってしまい、踏みにくい車だったと翌年、中嶋一貴が語っていたほど。
--これはアウディと違いエンジン/モーターが同軸出力なため、ハイブリッドの作動制限がなかったのも影響している。低回転から250馬力とも言われるモーターパワーがいきなりかかるために、リアがブレイクしかかっていたのである。
-開発中は回生ブレーキの制御にも問題があり、開発ドライバーに「殺す気か!」と叫ばれたそうな。
この年はリアブレーキを殆ど回生に任せていたのもあり、フロントのディスクは真っ赤になるが、リアは真っ黒のままという現象も起こっている。
--回生ブレーキの制御は結局翌年も解消せず、キャパシティを落としたら今度はリアブレーキの異常加熱や過充電によるハーネス延焼などを起こしていた。
-他にもサスペンションアーム長を稼ぐためにモノコック内にピックアップポイントを作る、ビッグブレーキを意識しすぎてやたらと硬く、挙動がドライバーに伝わりにくいフロントサスペンションなど、13年の空白は車作りにも悪影響を与えていた((ルマンでは修理の素早さが優先なため、サスペンションアーム長を犠牲にしてでもモノコック外にピックアップを持ってくるのが当たり前になっていた))。
効率重視でヘッドライトはフルLED化されていたが、これが誤算。「夜なのに夜のように見えなかった」と言われるほど暗く、夜間走行にはかなりの支障が出ていた。
翌年以降LEDのほうが効率が高いなんて訳がないとばかりにロー&ハイビームはHID化される事になった(常時点灯のポジションランプと頻繁に使うパッシングは省電力や点滅のレスポンスを重視しLEDのまま)。
--同じようにフルLEDヘッドライトを作成したアウディ陣営は夜なのに昼のように明るいヘッドライトを制作していたが、アレは予算4000万とか言われているため、さすがに比較するのは酷だと思われる。
-トヨタ久々のプロトタイプマシンということで、多数の問題点も抱えていた。
効率重視でヘッドライトはフルLED化されていたが、夜間走行には適さないほど暗かったとのこと。
立ち上がり時にはパワーが出過ぎて踏めず、減速時には想定した減速度にならない等、ハイブリッド制御についても問題を抱えていた((テスト中はあまりにも酷くドライバーに「俺を殺す気か!」とまで怒られたそうな))。

-この車の大きな特徴はリアウィング。本来のウィング長はレギュレーションで決まっている内側の翼端版までなのだが、トヨタはその外側に翼端版をもう一つ増設、そこから子ウィングを本来の翼端版に伸ばしたのだが、''これはフェンダーの一部''で強引に通してしまった。
アウディもコレにはさすがにやられたと思ったのか、翌年のR18 Ultra&e-tron quattro(GT6未収録)ではトヨタウィングという名称で同じような子ウィングを装備している。
ただし、ルマン用ローダウンフォースパッケージではこのウィングを使わなかった他、後述のTS040では、レギュレーションの変更でフェンダーの一部とされなくなったために消滅している。
-翌年は燃費性能に振った方向で改良が加えられ、エンジンは圧縮比17というガソリンエンジンとしては脅威の領域に到達。
またサスペンションピックアップがアーム長よりダメージからのリカバリー性能を重視し、モノコックの外側へと移動していた。同時に前軸回生用のデッドスペースも埋められている。
ライトは省電力重視で常時点灯のポジションランプと、レスポンス重視のパッシングライト以外が光量重視でHID化された。

-2014年、レギュレーションの変更で全軸回生が可能になったため、新コンセプトのTS040が開発され、TS030としては2年で終了となった。
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#region(ル・マン及びWECでの戦績)
-初年度はル・マン2台、WECは1台体制で参戦している。アウディのようにスポットでも3台体制が取れないのは、TS030プロジェクトが始まる直前には身売りという話が出るレベルで厳しかったTMGの立場もあるのかもしれない。
-2014年、レギュレーションの変更で全軸回生が可能になったため、新コンセプトのTS040へとバトンタッチ、TS030は2年で終了した。

-ドライバーラインナップは7号車がアレキサンダー・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴組、8号車がセバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン組である。尚、ニコラス・ラピエールを除いてF1参戦経験がある。
後述のWECでは7号車のみのエントリーとなり、A.ブルツ/N.ラピエールが主戦を務め第7戦富士でのみ中嶋一貴を加えた3人態勢をとった。

-2012年は最初からとにかく全開ペースでアウディをかき乱す作戦に出る。ちょうどピットタイミングの関係もありアウディ1号車と直接対決になった時、オーバーテイクに成功し歓声が上がる。
しかし8号車がLM-GTEAmのフェラーリ458をオーバーテイクしようとした際、相手から見えていなかったのか幅寄せされる形で左リアに突っ込まれる。
横を向いたマシンは浮上し空中を一回転した後激しくウォールにヒット。このクラッシュでドライブしていたアンソニー・デビットソンは背骨にヒビが入るという重症を負う。
その後SC明けにポルシェコーナー付近で大渋滞となった際、7号車の前にいた1号車のR18e-tron quattoroに詰まり、ラインを横に外した所に運悪くそこにいた[[デルタウィング>デルタウィング 2012 Le Mans]]にヒット、押し出してしまいリタイヤの原因を作ってしまった。
この1件で中嶋一貴に対し色々非難が殺到したが、もともとデルタウィングが黒一色で車高も低くわかりにくい上に、TS030自体も視界に難がある車、LMP2との混走状況で前のR18も詰まった、S字の切り返し部分なのでブレーキを踏み増すとスピンする危険もあったなど、不運が重なった要素の方が大きいため、彼を責めるのは酷である((一応中嶋選手はこの一件は自分に非があったことを認め、謝罪している。))。
この接触で駆動系にもダメージがあったらしく、修復→他のトラブルが出てピットインを繰り返すこととなり、最終的にはエンジンブローして深夜過ぎにリタイヤ。ほろ苦いスタートとなった。

-ル・マン後のWEC・FIA 世界耐久選手権は7号車1台体制で参戦。
WEC第4戦シルバーストーン6時間レースではアウディ2台に続く予選3位を獲得、決勝レースではファステストラップも記録し、アウディ1台を退けて2位フィニッシュしWEC初の表彰台を獲得した。
WEC第5戦サンパウロ6時間レースの予選ではポールポジションから完璧なレース運びを見せてそのまま優勝。
トヨタのスポーツカーの世界選手権での優勝は、1992年以来、20年ぶりの快挙となった。
その後第6戦バーレーンではリタイアに終わるも第7、8戦を連勝。マニュファクチャラーズランキングは2位を獲得している。

#hr
-2013年度は初戦から2台体制で参加。やはり3台体制を取れる予算は下りなかったのかRd4-5は1台、他のイベントは2台である。
-ドライバーラインナップは前年から変わらず7号車がA.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴組、8号車がS.ブエミ/A.デビッドソン/S.サラザン組である。WECでは参戦した全戦で3人体制をとった。
-2013年は昨年とがらっとキャラクターを変え、ドライバーにわかりやすい車、直しやすい車、燃費のいい車を制作。
超絶パワー重視となったアウディが1スティント10周となったのに対し、1スティント12周は確保と、去年から図式は反転していた。
ちなみに直前でBoPが入り、ガソリン車のタンクの容量が3L増されたのだが、それでは1周出来ずに単なるデッドウェイトにしかならない事から、改修は見送られている。
本番では序盤こそ8号車がアウディを抑えると上々の滑り出しから始まるものの、ハイブリッドシステムが一度謎の停止を起こし一瞬ストップ。
すぐに再始動したものの順位は落とす。残りの時間は路面温度が下がると共にどんどんアンダーステア傾向が酷くなっていたため、プッシュできずに淡々と走ることになりアウディに差を付けられ2位に終わる。
ギャップとしては1周だが、果てしない差だったと監督は語っていた。
終盤降り出した豪雨の中7号車がタイヤバリアに突き刺さるクラッシュをした(ドライバーのラピエールも諦めて一度は車外に出る程)が、今年からの修復しやすいマシンが功を奏し20分で戻すことに成功している。

-2013年のWECは2台体制でエントリー(7号車1~3、6~8の6戦、8号車全戦)、豪雨打ち切りの第6戦富士で7号車、最終戦バーレーンで8号車が勝利しているが、全8戦6勝、2位2回のアウディには及ばずランキング2位に終わっている。
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#region(その後…)
-その後、"TS050 ハイブリッド"を開発してル・マン24時間耐久レースに向けて例年開発を進めてきた。
--2016年は、5号車が惜しくも残り2周でリタイア(失格)してしまい、6号車が何とか2位表彰台を獲得した。
この年の優勝したのが、因縁のライバルであるポルシェチーム(919 Hybrid)である。
--2017年は、苦難のレースとなった。
深夜に7号車と9号車を失い、残る8号車もトラブルに見舞われ一時54位まで後退。後半戦に懸命の追い上げを見せるも9位でチェッカーを受け、レース後に上位車両(オレカ 07 - ギブソン)の失格により8位となった。
--2018年6月のル・マン24時間耐久レース、ライバルのポルシェが不在となったレースとなった。
日本車としての優勝は[[1991年のマツダ>787B '91]]に続く2度目であり、トヨタ自動車と日本人ドライバーを含む陣営としては初となる快挙を成し遂げた。
8号車が1位となり、7号車が2周遅れで2位を獲得し、ワンツーフィニッシュを飾ったのである。
--2019年6月のル・マン24時間耐久レースは、2018年と同様ワンツーフィニッシュして2年連続の優勝を飾った。
--2021年からは、新規定であるル・マン・ハイパーカー規定に基づいたGR010で参戦している。
#endregion
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