分類 | 性能 |
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メーカー/国籍 | ホンダ/日本 | 総排気量 | 3492cc | 全長 | 4,490mm | カテゴリー1 | N600 | 最高出力 | 578PS/6,700rpm | 全幅 | 1,940mm | カテゴリー2 | ノーマルカー/スーパーカー*1 | 最大トルク | 56.1kgfm/2,000rpm | 全高 | 1,215mm | 内装 | あり | 駆動形式 | 4WD | 車両重量 | 1,780kg | 年式 | 2017 | 吸気形式 | TB | TM | 9速 | 入手方法 | セッティング他 |
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ディーラー | Cr.20,000,000 | 制限 | --- | その他 | --- | 特記 | --- |
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カラーバリエーション |
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130R White | Casino White Pearl | Source Silver Metallic | Curva Red | ☆Valencia Red Pearl | Nouvelle Blue Pearl | Nord Gray Metallic | Berlina Black | --- | --- |
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- 先代であるNA型の生産終了から10年、ついに復活したホンダのフラッグシップモデルNSX。
先代は800-1000万という(当時の基準からしたら)特徴的な値段であったが、本車は2000万を余裕で超える2300万というプライスカードが付いている。
先代は「安価なスーパーカー」とは呼ばれていたが、本車はまさにスーパーカーの土俵に踏み込んだ値段設定である。
- コンセプトモデル自体は2012年に発表され、2013年頃からはデモランで姿を見せたり、ニュルでスパイショットが撮影される等、開発が本格化。途中ニュルで炎上し、ボディがカーボンで出来ている疑惑まで浮上したこともあった。
実際にはアルミモノコックをベースにルーフをカーボン、前後フェンダーに複合樹脂を使う等、場所ごとにマテリアルを変え、剛性と軽量化の両立を狙った設計になっている。
- ドライブトレインはイギリスのコスワース社と共同開発のV6ツインターボ+トリプルモーターによるスポーツハイブリッドSH-AWDシステムを採用している。トリプルモーターのうち1つは9速DCTのミッション同軸でリアを駆動、主にターボラグの減少を狙ったアシストを行い、残りの2つはフロント左右に分配され、加速時の前軸アシストに加え、コーナリング中に左右トルクを変化させてヨーフォースをアシストする。
- 開発当初はホンダのフラグシップセダン、レジェンドのパワーユニットをそっくりそのまま流用する為に、初代NSX同様横置きミッドシップにハイブリッド機構を組み合わせた設計となっていたが「世界のスーパーカーと戦うことができるように」を理由に、開発途中で縦置きミッドシップ+ターボ+ハイブリッドに変更されている。
- ちなみに先代NSXも開発途中でエンジンの大規模な設計変更(SOHC→当時最新のV-TEC機構つきDOHC)を行った経緯がある。
- スーパーカーらしい数字として、エンジン単体ですでに507馬力を発揮、そこにモーターで74馬力分ブーストされ、システム全体としては581馬力という、量産車としては日本最高レベルのパワーを誇っている。
しかし重量も1780kgと、他のスーパーカー並みに鈍重になってしまっている。
- 市販型のワールドプレミア時の公表重量は1725㎏であったが、その時と比較して55㎏重くなってしまったことになる。
前述の全焼事故の後に、冷却系が市販車としては過剰なまでに強化されたことが重量増の一因と言われている。
- ハイブリッドカーらしく、モードを切り替えれば電池の残量がある限りEVとして走行も可能。ある程度環境への配慮も見せている。
- 本車のハイブリッドシステムはあくまでコーナリング性能向上の為採用された物であり、環境性能向上の為ではないとホンダは主張している。
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| | 余談
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- 初代NSXは「未知の新ホンダスポーツ」という意味を込め、New Sports car Xの頭文字を採り"NSX"とされたが、2代目NSXは「新しいスポーツ体験を提供する」という意味のNew Sports eXperienceから一文字ずつ採り"NSX"であるとしている。
- 本車の車両型式はNC1となっており、初代NSXがNA1/2型であった事を考えると「ではNB型は?」という疑問が浮かぶ。
本来であれば2010年頃にデビューしていた筈が、リーマンショックによる経済状況悪化により完成直前にも関わらず開発が中止された、フロントにV10エンジンを搭載した4WDスポーツ、通称:V10 NSXが"NB"1 NSXだったのではないか?という推測がされている。
すなわち本モデルは実質"3代目NSX"とも考えられるのだ。
なおそのV10 NSXは後にHSV-010と名を変え、文字通りのNSX後継車として2010年から2013年の間、SUPER GT GT500クラスで活躍する事となったのは公然の秘密である。
- そんなNSXだが、国内での人気はどうにも今ひとつ。理由は様々だが、主に本車の出自、なによりプロを中心に評価がイマイチ伸びなかった走行性能などがあげられる。
- 本車はコンセプト段階からアメリカで企画・製造されるという純輸入車と化しており、後述のマシン特性も含め、ファンにとっては「ホンダスピリットの結晶」とさえ言われた初代と全くの別物になった点が大きい。
本車LPL*2であるテッド・クラウス氏は、初代NSXの開発リーダーである上原繁氏にNSXらしさや伝統についてのアドバイスを求め、それを開発に反映したとは言っているが、繊細というよりは大味な走りが目立つ。
- この問題はホンダの看板車であるシビックについても同様(こちらはイギリスではあるが)であり、図らずも世界市場の動きとファンにとっての理想像の隔たり、そしてその間で板挟みになるホンダの苦悩が浮き彫りになる形となった。
- また、当然ながら金額設定もこの一端。前述の通り、従来のNSXは廉価版なら800万程度と、頑張ればサラリーマンでも買える、いわゆる「安価なスーパーカー」といえる価格帯だったのに対し、完全に購入層を限定する域に達しているのも大きい。
スペック的にライバル車ともいえるGT-Rの高級グレードですら、この約半額の値段設定である。*3
ただし、国内における販売台数は発売開始から2年経った2018年8月末時点で約400台を受注、年間100台という当初の販売目標の2倍を達成している為、失敗したかというと決してそうではない。
- ちなみに、エンジンや本車の中核といえるハイブリッドシステム含むパワートレーンと制御系の開発は日本のホンダが関わっており、全てがアメリカホンダ開発という訳でもない(アメリカホンダが開発を担当したのはシャシー関連)
なお、初のマイナーチェンジを果たした2019年モデルは日本のホンダ主導で開発が行われ、主に不評だった電子制御系に注力したとの事。
- 本車に使われている電子制御はサーキットなどでの全開走行に向けた調整が施されておらず、特に限界域ではパワーと車重も相まってAWDとは思えないほど荒々しい挙動を見せる。
- 駆動比で言ったら13:87と極端なので、AWDらしくない挙動を見せるのは仕方ないともいえるのだが、それが「四駆でありながらミッドシップの様な灰汁を持つ」という形で顔を出し、ドライバーに違和感をもたらす。
- 限界近くでコーナーに侵入するとアンダーステア。これは車重による部分も多いが、ここでハンドルをこじってアクセルを開けると、極端な駆動比の影響がモロに出て急激にリアがブレイク。
これを抑え込もうとカウンターを当てると、今度は電子制御がマシンをアウト側へ向けようと、突然かつ強烈に介入する。
- 要は「限界ギリギリでコーナーに侵入し、シビアなコントロールで破綻を防ぐ」という「攻めた走り方」では、このマシンの悪い部分が一番出やすいという事になる。
電子制御の介入にも指摘は多く、いわゆる出来が良いと言われる徐々に介入する電子制御と異なり、ゼロから突然70%~80%レベルの介入を行う為、挙動の変化が大きい上に急過ぎるという指摘も多い。
- これはスポーツカーの走らせ方に精通しているドライバーである程、今までにない違和感を覚える傾向にあり、プロをして「限界を攻めてはいけないクルマ」と言わしめている。
- ルマン、JGTCでNSXをドライブし、ライトチューン仕様のNA2 NSX-R現役オーナーでもある土屋圭市氏は、自身がメインを務めるDVDマガジン「HotVersion」でも、度々その違和感を指摘。
「俺にこの電子制御はムリ!」と、バトル企画での使用を拒否した事もある*4。
- 実際、土屋氏の2017年モデルの走行映像では上記の挙動をほぼ全てのコーナーで出していた他、土屋氏に代わってドライブした谷口信輝氏も「これは確かに気持ち悪い」と指摘。
同時に、数周の間に走り方を試行錯誤した上で「無理をしなければ意外と速いかも」と、悪評の一因を裏付けるコメントを残している。
- 一方、土屋氏もワインディング走行では最高という感想を残している為、元々のコンセプトがアマチュア向けのスポーツ走行仕様という事なのかもしれない。
最も、「攻め切る車ではない」というそのコンセプト自体も、従来のNSXに即しているとは言えず、ファンの反感を買う要因になっている部分はあるようだ。
- 2019年モデルではこれら不評だった部分を踏まえたとの事だが、やはり上記の挙動は抜けきっておらず、筑波サーキットでの再検証企画でも、2コーナー、2ヘアピンで必ず右に左にとフラつきながらの走行。
電子制御の強烈な介入は幾分マシになったとの事だが、唐突な介入は収まっていないという。
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| | レース活動について
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- 本車をベースにしたFIA-GT3車両、NSX GT3は2016年に車両が発表され、翌2017年より実戦参加開始。2018年より本格的な販売が開始された。
- シビックWTCCの開発で既にホンダとの強い結びつきがあったイタリアのコンストラクター、JASモータースポーツとアメリカ・ホンダのモータースポーツ部門であるHPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)の共同で開発された。
また開発の初期の初期の段階では、F1にも携わっている日本のホンダのモータースポーツ開発部門、HRDさくらも関与している。
- FIA-GT3の技術規則上、本車のセールスポイントであるスポーツハイブリッドSH-AWDが外され、MRとされているものの、エンジンは循環系含み市販車由来の物をそのまま使用。
近年魔改造化が進むFIA-GT3マシンの中では比較的市販車に近い車両であるといえる。
- 2019年からは主に空力面のアップデートが施された新型マシン、NSX GT3 EVOが実戦投入された。
- 北米などアキュラブランドで販売されている地域ではホンダNSX GT3でなく、アキュラNSX GT3を名乗る。
デビューは2017年のIMSAウェザーテックシリーズ第1戦デイトナ24時間で、同年第5戦、第6戦でクラス優勝を果たしている。
- 2019年からはGT3の世界選手権ともいえるインターコンチネンタルGTチャレンジに「HONDA TEAM MOTUL」としてシーズン途中から参戦を開始。
デビュー戦のカリフォルニア8時間ではいきなりポールポジションを獲得するなど、今後の活躍を期待させる走りを見せた。
- 日本では2017年からはNSX CONCEPT-GT改め、2代目NSX-GTとして本車をベースにした車両でSUPER GT GT500クラスに参戦した。
ホンダ陣営が市販車をベースにしたマシンでGT500クラスを戦うのは2009年の先代NSX-GT以来8年ぶりの事である。
- 2018年からは、新たにModulo Drago CORSEから「#34 KENWOOD NSX GT3」、CAR GUY RACINGから「#777 CARGUY ADA NSX GT3」の2チーム体制でSUPER GT GT300クラスにデビュー。
34号車が後半戦で上位に食い込む速さを見せるも、第5戦富士ではGT500の38号車のマシントラブルに巻き込まれ、マシン交換となる程の大クラッシュに見舞われる不運もあり、チームランキング15位、ドライバーズランキング14位に終わった。
- 一方、同年のGT500では、名門「チーム国光」の100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴 / ジェンソン・バトン組)が同チーム史上初、ホンダ陣営としては8年ぶりとなるシリーズタイトルを獲得。
同じく名門「ARTA」の8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀 / 伊沢拓也)がランキング3位につけ、第3戦鈴鹿、第6戦SUGOでは両チームによるワンツーも見られるなど、NSXが強さを発揮したシーズンとなった。
- 2019年はGT300で新たに、TEAM UPGARAGEから「#18 UPGARAGE NSX GT3」と、ARTAから「#55 ARTA NSX GT3」が、それぞれ他社マシンからスイッチする形で参戦。
初戦の岡山で55号車が予選PPを獲得、豪雨による近年稀に見る地獄絵図と化した本戦でも2位を死守し、幸先の良い滑り出しを見せた。
- GT500でもこちらも初戦の岡山では1号車 RAYBRIG NSXと17号車 KEIHIN NSX、更に8号車 ARTA NSXがトップ3を独占しつつ走行。
最終的に1号車と17号車が同士討ちを起こし、RAYBRIGが最下位へ転落。更に追突した側の17号車はレース後に34秒のタイム加算を受けてRAYBRIGの一つ上まで順位を落としたが、後方で様子を見ていた8号車がトップに立った状態で終了した。
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