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- 1 (2010-08-23 (月) 16:10:45)
ファミ通1129号掲載 ディレクター/原案 巧舟氏書下ろしエピソード
『ミサイルとの出会い』 シ:シセル リ:リンネ ミ:ミサイル
シ「それにしても、ミサイル。アンタ、最近エラく注目されているようだが。」
リ「そうよ。人気者だからって、図に乗っちゃダメだからね。」
ミ「なんの。ボクことミサイルは、カノン様とリンネ様さえいれば、それだけでマンゾクですとも!」
リ「あなた、文字通り“ミサイル”だもんねー。ホントに、会ったあの日からずっと。」
シ「そもそも、リンネ。どうしてアンタ、こんなのと暮らすコトになったんだ?」
ミ「“こんなのって”なんですかッ!」
リ「そうねー。この子と出会ったのは……もう、2年前になるかな。《ペットショップ・ポッチ》で。」
ミ「思い出します!ボク、まだ生まれたばっかりで…何もわかっちゃいない、ヒヨッ子でしたね。」
リ「あたし。あのころ、警察官になって、生活が変わって……おトモダチを探してたの。」
シ「トモダチ……?」
リ「うん。カノンのね。どうしても夜が遅くなっちゃうことがあるから、サミシイかな、って思って。」
シ「ああ。それで小犬くんを飼おうと思ったワケだ。」
リ「それが……そうでもないのよねー。」
シ「え。」
リ「ホントはね。小鳥を見にいったの。小さくて、カワイイ声で鳴くの。」
ミ「あー、ダメですよトリは。連中、油断すると、さっさと逃げちゃいますからね。」
リ「それか、おサカナでもよかったかな。大きな水槽に、小さくてキレイな熱帯魚とか。」
ミ「あー、ヤツらはダメですね。いくらキレイでも、いずれは必ず見飽きますから。」
シ「……アンタ。いま、かなりのイキオイで好感度を下げているようだが。」
リ「とにかく、イヌはダメだって思ってたの。あたし、ルスが多いし、手間がかかるでしょ?」
ミ「でも!ホラ!手を焼いたほうが愛着も湧くじゃないですかッ!」
リ「それ、自分で言うかなー。とにかく、あたしは目をそらしてたっけ。」
シ「それなのに……どうして。この“暴れん坊”と暮らすコトになったんだ?」
リ「カノンが気に入っちゃって。この子、オリのスキ間からハナヅラをメリ込ませて、
涙をいっぱい溜めた目で、こっちをずっと見てたの。」
ミ「まあ……あのときのボクは、やや必死だったかもしれませんね。」
リ「それで、お店のおばちゃんに、オリから出してもらったの。そうしたら……。」
シ「そうしたら?」
リ「この子。いきなり、あたしのコートのムネのバッジに噛みついて、引きちぎっちゃって。」
シ「な、なんと…。」
ミ「ボク。あのころはボタンを食いちぎるのがシアワセで。
あんな大きなボタン、見たコトなくて……。やってやりましたともッ!」
リ「だから、あれは、ボタンじゃないのッ!」
ミ「ううう……その説は本当にスミマセン。」
リ「バッジに、小さな歯型がふたつ、ついちゃって。あたし。怒る前に、
悲しくなったの。とても大切なバッジだったから……。」
シ「それなのに……どうして。この“ならず者”と暮らすコトになったんだ?」
ミ「シセルさん。アナタ、さっきから言いたい放題ですね……。」
リ「あたしが悲しそうにしてたら……ミサイルがね。
そっとバッジを返してきたの。あたしの手をぺろぺろなめて。」
シ「なんと…。」
リ「そのとき、思ったの。この子は……コトバがなくても、ちゃんとキモチが通じるんだ……って。」
ミ「リンネ様……。」
リ「それ以来。ミサイルは一度も、あたしたちのものを噛んだことがないの。」
ミ「だって、ボク。あのとき決めたんです。もう、おふたりに、二度と悲しいカオをさせないぞ、って!」
シ「まあ。最初に悲しいカオをさせたのは、ほかならぬアンタなのだが。」
ミ「そいつは……言いっこナシですともッ!」